ドル円 11月からの下落に対する半値戻し(5/2)

5月1日にはユーロ、ポンドが一段安となった。ユーロドルは1日深夜の下落で1.1981ドルの安値をつけたが、1.20ドル割れは1月11日以来の安値水準。

ドル円 11月からの下落に対する半値戻し(5/2)

【概況】

4月23日の上昇で108円を突破、11月天井からの下落に対する3分の1戻しを超えて半値戻しの109.675円まで上値目処が切り上がったが、109円台に乗せて以降は109.50円超えへ一挙に進めず、109円台前半での持合いが続いてきた。しかし先週末安値で108.94円をつけたところからはジリ高で推移し始め、30日深夜の小反落も消化して1日夕刻には109.50円を超えて持ち合いを上放れ、110円に迫ってきた。
日足において26日移動平均及び一目均衡表の26日基準線を超えて続伸し始めた段階からは概ね5か月から6か月周期のサイクルによる中勢のリバウンド入りとし、半値戻しの109.675円、あるいはそれも超えて110円超へ戻しに入る可能性が出てきていたが、4月18日以降のドル高加速により半値戻しを超えてきた。

【ユーロ、ポンドが一段安 FOMC、米雇用統計も迫る】

5月1日にはユーロ、ポンドが一段安となった。ユーロドルは1日深夜の下落で1.1981ドルの安値をつけたが、1.20ドル割れは1月11日以来の安値水準。2月16日高値1.2555ドルからは凡そ5%の下落であり、既に3月1日安値を割り込んだことにより1月後半からの高値圏持ち合いから下放れしている。下落規模としては昨年9月8日から11月7日への下落時とさほど変わらないものの、2017年1月から1年以上の上昇後の下落であるため、今回の持合い下放れがさらに深刻化する可能性も警戒される。

英ポンドも1.3586ドルまで急落して3月1日安値を割り込んで1月12日以来の安値まで崩れた。ポンドもまた2017年1月底から1年を超える上昇後の下落であり、既に下落規模も昨年9月高値からの反落時のレベルを超えている。また2016年10月底からの上昇としては1年半の上昇後に週足の26週移動平均を割り込む状況となっており、2014年7月天井から下落再開した時との類似性もみられる。

4月18日以降のユーロ、ポンド下落は英中銀やECBの金融政策引き締め化への姿勢が鈍化する一方、米連銀が利上げペースを加速させる可能性が強まるという対照性によるものだ。それに加えて米国の積極財政政策による国債増発観測から米長期債利回りが上昇してきたことも長期金利面からのドル高要因となってきた。このため週末にかけての米FOMC、米雇用統計反応からさらに続落してゆく場合はユーロ、ポンドの下落が深刻化する可能性も考えられる。そうなればドル高感が強まり、ドル円にとっても更に一段高へ向かいやすくなるかもしれない。ただし、これら重要イベントでは材料出尽くしにより基調転換のきっかけにもなりうるので、材料出尽くしになるのか、ドル高加速要因になるのかが注目される。

FOMCは米国時間1日から2日に開催、3日未明に声明を発表する。議長会見はないため政策金利は現状維持と予想されるが、声明文が従来よりタカ派となるかどうかがポイント。
米雇用統計では非農業部門就業者数が前月比19.5万人増と事前予想されている。前月は予想外に10.3万人増と少なかったので今回は良いだろうという見方。ただ、サプライズは付き物なので油断できない。

【半値戻しを超えたその上は】

回も記載したが、今回の上昇は概ね5か月から半年周期のサイクルによる中勢レベルの反騰であり、今回の高値形成期は現状から5月半ばまでと考えられる。また上昇規模の比較対象としては2017年4月17日底から5月11日高値まで1か月弱での6.25円幅、2017年6月14日から7月11日への5.65円幅が挙げられるが、1年サイクルの底打ちと重なった前回のリバウンドは2017年9月8日から11月6日への2か月、7.40円幅となっている。今回もそれらと同レベルの上昇へ発展する可能性があると考えておく必要がある。

既に半値戻しを超えているので、昨年5月反騰や7月反騰等の5円を超える上昇の場合は110円台、昨年11月27日安値(110.84円)から111円に迫る可能性も考えておく必要がある。3分の2戻しまで進めば111.357円まで上値目処も切り上がってくる可能性がある。
ただし、上昇中はさらに高値更新へ進みやすいと思い込みがちであり、総強気の中で基調がガラリと変わるものであることも頭に入れておく必要がある。直近の高値から1円以上の反落となり、さらに続落し始める場合は弱気転換注意として26日移動平均(現在107.65円)試しへ向かい、さらに26日移動平均割れから続落し始めれば中勢の戻りは一巡して下げ再開へ入ると考えられる。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

60分足の一目均衡表では1日夜の一段高で遅行スパンが好転、先行スパンから上抜けた。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、遅行スパン悪化の場合は弱気転換注意として先行スパン試しとし、先行スパンから転落の場合は弱気転換として高値から1円超規模の反落警戒と考える。

60分足の相対力指数は1日夜の一段高で70ポイント台後半へ上昇したが、2日午前の高値更新時には指数のピークが切り下がっているので弱気逆行の可能性がある。55ポイント割れへ低下する場合は弱気逆行からの下落期入りと考えるが、55ポイントを上回るか、一時的に割り込んでも65ポイント以上へ上昇する場合はまだ高値更新へ進む可能性ありと考える。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、25日未明安値から3日目となる28日未明安値で直近のサイクルボトムをつけて上昇期に入った。27日夜高値を基準として今回の高値形成期を5月2日夜から4日夜にかけての間と想定する。109.50円を上回るか、一時的に割り込んでも切り返す内はサイクルトップ形成への上昇継続の可能性を優先するが、109.50円割れから続落し始める場合は弱気サイクル入りの可能性を踏まえて28日安値108.94円試しへ向かうとみる。FOMC後に下落する場合は弱気サイクル入りと仮定して次の安値形成期となる5月3日朝から7日朝にかけての間と想定する。その場合は雇用統計から続落なら5日朝ないしは7日朝への下落後はひとまず売り一巡から反騰に入る可能性にも注意する。
また、2日夜へ高値を更新してからFOMC前後へ反落、その後に上昇再開して下落幅の半値以上を解消する場合は直前安値をボトムとした新たな強気サイクル入りとなる可能性がある。FOMC前後で反落、雇用統計から一段高なら新たな強気サイクル入りとして5月8日から10日にかけての上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.50円を支持線、110.00円を抵抗線とみておく。
(2)109.50円以上を維持するか、一時的に割り込んでも回復する内は一段高の可能性ありとし、110円超えの場合は110.25円から110.50円にかけての上昇を想定する。FOMC、米雇用統計と連続的に強気反応の場合は111円試しまで上値目処を切り上げる。

(3)109.50円割れから続落の場合は28日安値108.94円試しへの下落を想定するが、底割れ回避から109.50円超えへ戻す場合は上昇再開の可能性ありとみる。
(4)FOMC前後に下落してから戻しても、雇用統計から反落して安値更新となる場合は底割れによる新たな弱気サイクル入りの可能性も踏まえて108円台前半試しへの下落を想定する。またその場合は8日から10日にかけて下落継続しやすいとみる。(了)<9:55執筆>

【当面の主な予定】

5/2(水)
16:55 (独) 4月 製造業PMI、改定値 (速報 58.1、予想 58.1) 
17:00 (欧) 4月 製造業PMI、改定値 (速報 56.0、予想 56.0) 
18:00 (欧) 3月 失業率 (2月 8.5%、予想 8.5%)
18:00 (欧) 1-3月期 四半期GDP、速報値 前期比 (前期 0.6%、予想 0.4%)
18:00 (欧) 1-3月期 四半期GDP、速報値 前年比 (前期 2.7%、予想 2.5%)
21:15 (米) 4月 ADP民間雇用者数 前月比 (3月 24.1万人、予想 19.5万人)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利発表 (現行 1.50-1.75%、予想 据え置き)

5/3(木)
10:30 (豪) 3月 貿易収支 (2月 8.25億豪ドル、予想 9.50億豪ドル)
10:30 (豪) 3月 住宅建設許可件数 前月比 (2月 -6.2%、予想 +1.0%)
17:30 (英) 4月 サービス業PMI (3月 51.7、予想 53.5)
18:00 (欧) 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 0.1%、予想 0.1%)
18:00 (欧) 3月 生産者物価指数 前年比 (2月 1.6%、予想 2.1%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価指数 速報 前年比 (3月 1.3%、予想 1.3%)
21:00 (欧) コンスタンシオECB副総裁、講演
21:30 (米) 1-3月期 四半期非農業部門労働生産性・速報 前期比 (前期 0.0%、予想 1.0%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数  (前週 20.9万件、予想 22.0万件) 
21:30 (米) 3月 貿易収支 (2月 -576億ドル、予想 -564億ドル)
23:00 (米) 4月 ISM非製造業景況指数 (3月 58.8、予想 58.1)
23:00 (米) 3月 製造業新規受注 前月比 (2月 1.2%、予想 1.4%)

5/4(金)
10:45 (中) 4月 財新サービス業PMI (3月 52.3、予想 52.3)
16:55 (独) 4月 サービス業PMI、改定値 (速報 57.4、予想 57.4)
17:00 (欧) 4月 サービス業PMI、改定値 (速報 55.0、予想 55.0)
18:00 (欧) 3月 小売売上高 前月比 (2月 0.1%、予想 0.5%)
18:00 (欧) 3月 小売売上高 前年比 (2月 1.8%、予想 1.9%) 
21:30 (米) 4月 非農業部門雇用者数 前月比 (3月 10.3万人、予想 19.0万人)
21:30 (米) 4月 失業率 (3月 4.1%、予想 4.0%)
21:30 (米) 4月 平均時給 前月比 (3月 0.3%、予想 0.2%)
25:00 (米) ダドリー米NY連銀総裁、講演

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