<< 東京市場の動き >>
週明け23日の東京市場は、ドルが強保ち合い。一時は107.90円近くまで値を上げ、先週末に記録したドル戻り高値を更新したが、値幅そのものはわずか20ポイント強に留まった。
週末に、朝鮮中央通信が「北朝鮮が核実験とICBM発射実験中止、核実験場も廃棄」と報じたことを受け、リスク回避志向の巻き戻しから、やや円安で寄り付いた。前週末のNYが107.65円レベルで大引けたなか、107.75-80円で取引を開始している。
しかし底堅いものの、上値を積極的にドンドンと買い進めることはなく、ドルの頭も重い。結局値幅は107.65-90円といった25ポイント程度に留まると、16時時点では107.85-90円で推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「北朝鮮情勢」。前週した「核実験など放棄」とのニュースが伝えられるなか、G7外相会議で「北朝鮮の核武装を認めず」との認識で一致したと報じられていた。
また、WSJ紙による「北朝鮮、米に非核化へ段階的措置を打診」「トランプ氏、核凍結では北朝鮮に見返り与えず」、ヘラルド紙による「北朝鮮の金委員長、米国による核実験場の査察を受け入れ」−−などといった報道も別途観測されている。
<< 欧米市場の見通し >>
先週後半ぐらいから、南北や米朝の融和観測が急速に高まっている。本日の東京時間にも前述したように、「北朝鮮の金委員長、米国による核実験場の査察を受け入れ」などと報じられており、本来であればもう少し円が売られても不思議はないだろう。
しかし、ある意味で順調すぎるほど順調な北朝鮮の融和スタンスに不信感を抱く向きも少なくないようで、たとえばトランプ米大統領にしても、先週末に「核実験など放棄」とのニュースが伝えられた際の初期反応は「大きな前進で良いニュース」と手放しだったものが、そののちのツイッターへの書き込みは「非核化という結末は遠い。うまくいくかもしれないし、いかないかもしれない」と明らかにトーンダウンしていた。もう少し、北朝鮮サイドの本音の部分というか具体的な対応策を見極めたいとの見方が有力だ。
テクニカルに見た場合、ドルは先週末から連日のように戻り高値を更新しており、レンジを上抜きかかっているものの、108円前後では上げ渋り。これは再三指摘しているように、年初高値を起点とした下げ幅のフィボナッチ38.2%戻しが107.95円にあたるうえ、年明け以降のチャートを見れば一目瞭然なように108円レベルは強い攻防の分岐点となっている感が見られるためだ。
したがって、いま少し108円前後をトップに揉み合う可能性も否定出来ないが、レンジ取引の長期化からエネルギーもかなり蓄積されているだけに、しっかり抜ければ、一気に値が飛ぶ展開を警戒する声も聞かれている。
一方、材料的に見た場合、4月の総合PMI速報値や3月の中古住宅販売件数といった米経済指標の発表が予定されているほか、クーレECB理事の講演やポロッツ・カナダ中銀総裁による議会証言が実施される見込みで、注意を払いたい。また、明日のトランプ米大統領との会談に向けて、マクロン仏大統領が訪米する予定となっている。
先日まで開催されていたG20では米保護主義政策に対して明確な回答が出されなかったが、2国間など個別では貿易戦争への懸念などが示されても不思議はないだろう。発言内容によっては、マーケットの波乱要因に。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.50-108.50円。ドル高・円安方向は、本日の東京高値や、フィボナッチの上値メドを含めた108円前後の攻防にまずは注視。抜ければテクニカルには109円程度までの上昇があっても不思議はないようだ。
対するドル安・円高方向は、本稿執筆時、ザラ場ベースで上抜けている移動平均の75日線(107.70-75円)が最初のサポートか。ただ、下回っても底堅そうで、現状であれば107.30円レベルに位置する一目均衡表の転換線までの下落が精々かもしれない。(了)
オーダー/ポジション状況
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