<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場もドル高・円安。週のザラ場ベースでは107.86円を記録し、直近の戻り高値を更新する局面も観測されている。ただ、週間を通した値幅は1円にも達せず、積極的な動意は乏しい印象だった。
前週末に「米英仏3ヵ国がシリアを攻撃」したとの報道があり、週明けからリスク回避の動きが強まる公算が大きいと、戦々恐々で寄り付いた。しかし、水準的には107.40-45円で、前週末のNYクローズと大差なし。
そののち、週の半ばぐらいまではドルがやや冴えず、一時106.85-90円まで小幅に値を崩すも底堅い。週末にかけては切り返すと、前週に記録したドルの戻り高値107.78円をわずかに更新する107.86円を示現した。週末NYはやや小緩んだ107.65円レベルで取引を終え、越週している。
一方、週間を通して注目された材料は多く、逆に焦点が絞り切れなかった感がある。週初は前述した「米英仏3ヵ国がシリアを攻撃」が関心を集めたが、マティス米国防長官が「シリア攻撃、現段階では1回限り」と発言したことで、影響力は早々に減退した。
次に注視されたのは、週刊新潮が報じたセクハラ疑惑を受けた「福田財務次官の去就ならびに、安倍政権の揺らぎ」。野党6党が麻生財務相の辞任要求に動いたことなども、一部で材料視されていたという。その後は「日米首脳会談」ならびに、そこで協議される日米通商問題の行方、米紙WPが「ポンペオCIA長官、金正恩氏と極秘会談実施」、CNN「習中国国家主席が北朝鮮の平壌訪問」と報じたことを受けた米朝や中朝などのさらなる融和観測が台頭しマーケットで話題に。
<< 今週の見通し >>
先週は、日替わりで材料が変わる「猫の目相場」となったが、結果からすると、材料が多過ぎたのか、それが相場変動に繋がらなかった。実際、ドル/円は1週間を通したレンジが106.88-107.86円で、1円にも届いていない。したがって、今週は次の方向性がハッキリと示されるのかどうかにまず注目。5日以降、過去2週間ほど推移している1円強のボックス圏をめぐる攻防、どちらの方向にいつ抜けていくのかが注視されている。
ただし、リスクという点では上向き、ドル高・円安方向にバイアスか。そのひとつに、先週末にかけて実施された日米首脳会談や日米財務相会談で、「為替に関する話が出なかった」(20日・麻生財務相の発言)ことが挙げられる。また、先週急浮上した「米朝などの融和観測」についても、週末に北朝鮮が「核実験とICBM発射実験中止、核実験場も廃棄」の方針を打ち出しており、これが今週の市場で好感されることは想像に難くない。108円の壁を超える、新たなドル高ステージ入りする可能性もある。
テクニカルに見た場合、5日以降、過去2週間ほど留まっていた106.60-107.80円という1.2円ほどのボックスを上抜けるも108円には届かず。形成レンジを10-20ポイントほど上方修正したに留まっている。今週もまずは、足もとで形成している106.60-107.90円程度のボックス圏をめぐる攻防に要注意。
ちなみに、抜けるとすれば上向きだと考えており、107.95円が年初来高値113.39円を起点とした下げ幅のフィボナッチ38.2%戻しにあたるなど、108円前後はかなり強い抵抗に当たるものの、抜ければ110円レベルも視界内に捉えられそうだ。
一方、材料的に見た場合、4月の消費者信頼感指数や1-3月のGDP速報値といった重要な米経済指標の発表が予定されているほか、日銀とECBという日欧中銀による政策金利発表も要注意。
また、それ以外では、前述したような「米朝などの融和観測」が強まっているなか、北朝鮮情勢が相場の波乱要因になりかねない気がしている。ちなみに、関連する材料を幾つか挙げても「米韓、北の核問題で24日に高官級協議」「北朝鮮の朝鮮人民軍創設記念日(25日)」「南北朝鮮が27日に首脳会談実施」−−などがあり、十分な注意を払いたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、106.80-109.00円。ドル高・円安については、先週記録したドルの戻り高値である107.86円の攻防が注目され、抜ければ108円そして週末にかけて108.20円台まで切り下がってくる日足・一目均衡表の先行帯の雲の上限がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週大雑把に2度サポートされている106.85-90円が今週もドルの下支えとなるかどうかをまず注視。下回っても、106.60円レベルは過去2週間のレンジ下限で、底堅そう。(了)
オーダー/ポジション状況
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