【概況】
3月23日に104.63円まで下落し、2016年12月天井118.65円以降の安値を付けたが、その後は戻りが続いている。
昨年11月以降の下落途中における反発は、12月12日への2.90円幅、2月2日への2.19円幅、2月21日への2.35円幅等で3円を超えられなかったが、今回は超えており、4月20日高値では3.22円幅となっている。またそれらの反発では超えられなかった26日移動平均、一目均衡表の26日基準線を超えて続伸している。
ドル円上昇の背景は米中貿易戦争全面化への懸念がやや後退したこと、シリア情勢一服、北朝鮮有事リスクの解消期待、日米首脳会談でも新たな円高要請的な圧力が見られていないこと、米長期金利上昇、ユーロとポンドの下落によるドル安感後退、日経平均の大幅下落に対する一服感、105円割れまで4か月半の下落に対する心理的な突込み警戒感による買い戻し等が挙げられる。積極的な円安感というよりはまだリバウンドとして戻り高値を慎重に試しているところという見方もできるだろう。
米中貿易戦争問題は両国の協議的妥協への期待もあるが、米中首脳、当局者の発言や新たな関税導入報道等により一喜一憂が続く。米長期金利上昇に対しては3月末から本来の正相関で推移しているが、2月までの円高は米長期金利上昇局面で逆相関的に発生しており、米財政収支悪化懸念を背景としたドル売りに起因していたため、再び逆相関的にドルの弱さ、ドル安誘導性がテーマ化してくる可能性がある。
日米通商摩擦問題もトランプ大統領による現状への不満表明により今後はより具体的な日本の対米黒字削減や円高誘導的な動きへと進む懸念がくすぶっている。
日経平均が3月26日からドル円と同調して戻しているものの、NYダウはほぼ乱高下状態にあり、4月19日、20日の反落も含めてまだ下振れ不安が残るため、日経平均の戻り継続性へも疑問が残る。国内政局も気になるところだ。
【5か月から6か月周期のリバウンド】
これまでの上昇は概ね5か月から6か月周期のサイクルによるリバウンドであり、概ね10か月から1年周期の天井・底打ちサイクルにおけるハーフサイクルレベルの反発過程と思われる。昨年11月天井を基準として今回の高値形成期は現状から5月序盤にかけての間と想定されるので、そろそろ戻り一巡から下落再開となっても不思議ない時間帯に入っているが、まだ4月末、5月序盤にかけての伸び代も残っていると考えられる。
5か月から6か月周期のリバウンドでは、前回が1年サイクルのリバウンドとも重なって昨年9月8日から11月6日まで2か月、7.40円幅と伸びているが、その前は昨年4月17日安値から5月11日高値への1か月弱で6.25円幅であるため、仮に5月序盤まで上昇を継続する場合には3月26日安値から5円規模、あるいは6円を超える上昇へ発展する可能性も考えておく必要があるかもしれないが、今のところは徐々に上昇力が鈍化している傾向もあるため、それらの比較対象程には戻せない可能性もある。
現在のリバウンドが一巡して下落再開となる目安は26日移動平均(現在106.54円)、26日基準線(同106.24円)等を割り込んでさらに続落し始めるところとなるため、106円台を維持するうちは上昇を継続する可能性もまた残ると考えられる。
より短期的な波動から弱気転換目安を探るとすれば、3月26日以降の「高値切り上げ、その後の修正安による安値も切り上げる」上昇パターンを破るところからと考えられる。直近の高値は4月
3日高値107.77円を4月20日高値107.85円で上抜いたところにあり、直近の安値は4月17日安値106.88円である。このため4月17日安値を割り込む場合は底上げパターンが崩れるために下落再開感が強まる可能性がある。4月17日安値を割り込み、その後の戻り高値も切り下がるなら、106円割れからは5か月から6か月周期のサイクルによるリバウンドが終了して下落期に入る可能性が考えられる。
【60分足 一目均衡表、サイクル分析】
4月20日深夜への上昇で107.85円を付けて13日夜高値107.77円を超えたため、現状は戻り高値切り上がり型の上昇波動が継続しているが、4月に入ってからが4月3日未明から4月5日深夜への上昇幅が1.82円幅、10日から13日夜への上昇幅が1.16円幅、4月17日から20日への上昇幅が0.98円幅と徐々に小さくなっており、上昇の勢いがやや鈍化している印象がある。それでも高値を切り上げてきているので、円安材料が強まれば上昇に弾みがつく可能性もあるのだが、伸びきれないで崩れ始めると市場心理も上昇力の限界感から弱気に傾斜しやすくなってくることも懸念される。
60分足の一目均衡表では18日の上昇で遅行スパンが好転、19日の上昇で先行スパンを上抜き、両スパン好転を維持して週を終えた。先行スパンを上抜いた状況を維持するうちは上昇継続とみるが、先行スパン転落からは弱気転換として遅行スパン悪化中の安値試し優先と考える。
60分足の相対力指数は20日午前の高値形成時と20日深夜の高値形成時では指数のピークが切り下がる弱気逆行型を示しているため弱気転換注意と思われる。50ポイント割れを切り返すうちは上昇継続性ありとするが、50ポイント割れから続落なら0ポイント台前半への下落を想定する。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月13日夜高値から5日を経過した20日深夜高値でサイクルのピークを付けた可能性があるが、20日夜高値上抜いてくる場合は連続的な強気サイクル入りとしてさらに2日、3日間と上昇を継続してゆく可能性が出てくる。高値更新できないか、わずかに超えてからの反落で107.40円を割り込む場合は弱気サイクル入りとして23日の日中から24日にかけての間への下落を想定する。
以上を踏まえて4月末から5月序盤にかけてのポイントを示す。
(1)当初、107.40円を支持線、20日夜高値107.85円を抵抗線とみておく。
(2)107.85円超えへ続伸する場合は108円台序盤への上昇を想定するが、108円到達ではいったん売られやすいとみる。ただし108円台に定着し始める場合は4月末から5月序盤への上昇継続性も踏まえ、昨年11月天井からの下落に対する半値戻しとなる109.675円を目指す上昇へと発展する可能性も検討する。
(3)107.40円割れからはいったん調整安入りと仮定して107円前後試しを想定する。4月17日安値割れ回避で反騰に入って高値更新なら上昇基調はさらに継続とするが、17日安値106.88円を割り込む場合は上昇パターンが崩れるために中勢レベルの下落期入りとなる可能性を警戒し、週後半にかけては106.20円台、さらに4月末にかけて106円割れを目指す可能性を考えてゆく。(了)<22日23:00執筆>
【当面の主な予定】
4/23(月)
16:30 (独) 4月 製造業PMI、速報 (3月 58.2、予想 57.5)
16:30 (独) 4月 サービス業PMI、速報 (3月 53.9、予想 53.7)
17:00 (欧) 4月 製造業PMI、速報 (3月 56.6、予想 56.1)
17:00 (欧) 4月 サービス業PMI、速報 (3月 54.9、予想 54.6)
23:00 (米) 3月 中古住宅販売件数 (2月 554万件、予想 555万件)
23:00 (欧) クーレECB理事、講演
4/24(火)
08:50 (日) 3月 企業向けサービス価格指数 前年比 (2月 0.6%、予想 0.5%)
10:30 (豪) 1-3月期 四半期消費者物価 前期比 (前期 0.6%、予想 0.5%)
10:30 (豪) 1-3月期 四半期消費者物価 前年比 (前期 1.9%、予想 2.0%)
14:00 (日) 2月 景気先行指数(CI)改定値 (速報 105.8)
17:00 (独) 4月 IFO景況感指数 (3月 114.7、予想 102.8)
18:30 (仏) ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
22:00 (米) 2月 ケース・シラー住宅価格指数 前年比 (1月 6.4%、予想 6.4%)
22:00 (米) 2月 住宅価格指数 前月比 (1月 0.8%、予想 0.6%)
23:00 (米) 3月 新築住宅販売件数 (2月 61.8万件、予想 63.0万件)
23:00 (米) 4月 リッチモンド連銀製造業指数 (3月 15、予想 16)
23:00 (米) 4月 消費者信頼感指数 (3月 127.7、予想 126.0)
4/25(水)
シドニー、ウェリントン市場休場(アンザックデー)
ASEAN首脳会議 (28日まで)
13:30 (日) 2月 全産業活動指数 前月比 (1月 -1.8%、予想 0.5%)
20:00 (土) トルコ中銀、政策金利 (現行 8.00%、予想 現状維持)
4/26(木)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合(1日目)
20:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 現状維持)
21:30 (欧) ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.2万件、予想 23.1万件)
21:30 (米) 3月 耐久財受注 前月比 (2月 3.0%、予想 1.2%)
21:30 (米) 3月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (2月 1.0%、予想 0.4%)
4/27(金)
南アフリカ市場休場(自由の日)
非公式ユーロ圏・EU財務相会合(ソフィア、28日まで)
米独首脳会談(ワシントン)
韓国・北朝鮮 南北首脳会談
オーダー/ポジション状況
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