ドル円 17日安値崩壊なら中勢の弱気転換注意(4/20)

日米首脳会談では新たな円高圧力等が表面化しなかったとして107.51円まで上昇したが、107.50円超えからさらに続伸へと進めず、その後は107.24円を下値に

ドル円 17日安値崩壊なら中勢の弱気転換注意(4/20)

【概況】

日米首脳会談では新たな円高圧力等が表面化しなかったとして107.51円まで上昇したが、107.50円超えからさらに続伸へと進めず、その後は107.24円を下値に横這いが続いている。
英ポンドが18日に消費者物価の伸びが鈍化したとして0.0085ドル安、19日も小売統計が悪かったとして0.0111ドル安と続落、これで日足が3日連続陰線(三羽烏)となった。英中銀のカーニー総裁がBBCインタビューで「今後数年間に数回の利上げを準備すべきだが、広く予想されている来月の利上げが既定路線ではない」と述べたことも下落要因だったが、1月天井を超えたことで高値警戒感も出ていたために失速しているようだ。このポンド安がユーロ安も発生させてユーロドルは19日に0.0028ドル安、19日も続落して18日未明安値を割り込んだため、ポンド安とともにドル高感が強まった。米長期金利でも10年債利回りが2.9%を超えてきたこと、米経済指標も概ね良好だったこともドル円を支えた。しかしドル高円安へと加速するには力不足という印象だった。

4月19日の米経済指標はおおむね良好だった。フィラデルフィア連銀の4月製造業景況指数は23.2で前月の22.3から上昇、市場予想の20.1を上回った。
米労働省が発表した週間新規失業保険申請は季節調整済みで23万2000件となり前週比1000件減少したが市場予想の23万件を若干上回った。
米コンファレンス・ボードが発表した3月の景気先行指数は109.0となり前月比0.3%上昇で市場予想と一致したが前月の0.7%上昇からはやや鈍化した。 これらは総じて良好と受け止められてドル高に寄与した。
最近の米経済指標は概ね良好であり、米連銀の2018年3回の利上げ姿勢を崩す状況にはなく、今後の経済指標が良好で米国株が落ち着いた状況を維持すれば年4回の利上げへとペースが加速する可能性もあるだろう。ただし株価は乱高下が続き、ボラティリティも上がっており、特にNYダウは1月天井以降を三角持合い型で推移しているので、再び下落に転じて4月2日安値を割り込む場合は三角持合い下放れによる一段安入りへと波乱する可能性も警戒される。

【保護主義による通商摩擦と国際商品市況】

日米首脳会談ではトランプ大統領が対日貿易赤字削減を強く主張しており、為替への直接的な言及はなかったものの過度な円安期待は抑制されるものと思われる。米中通商摩擦は対話による妥協への期待があるものの現在も関税強化方針表明の応酬が続いており、今後も緊張感が継続してゆく可能性がある。ロシア制裁問題も、アルミ最大手のルサール社への制裁、取引からの締め出しにより非鉄相場が急騰する等、国際商品市場に波乱を起こしている。中国が米国産大豆への関税強化を打ち出した時にはシカゴ大豆が急落する場面もあったが、世界貿易の絶対量を踏まえれば、中国が南米産に買い付けをシフトすれば欧州が米国産買いにまわり、南米も自国生産では足りずに米国産を輸入して三角貿易するようなことにもなるため、これも国際商品市場全般を混乱させる。そうした国際商品市場の混乱と上昇がドルベースでのインフレ感を助長し、ドル建て商品上昇の一方でインフレによるドル安という状況が先行きに発生する可能性も最近は意識され始めている。米10年債利回りの上昇気配もそうした動きを反映している印象だ。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

4月17日安値106.88円からジリ高で推移し、19日には107.51円をつけたがその後は横ばい。高値更新後の調整安で目先の底をつけてから上昇再開したということでは、4月3日未明安値からの反騰、11日深夜安値からの一段高への上昇時と比較すると勢いが鈍い。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは4月13日夜高値を前回のサイクルトップ、17日午後安値を同サイクルボトムとして上昇してきた。今回の高値形成期は18日夜から20日夜にかけての間と想定されるので、20日夜にかけては上昇余地ありとし、107.51円を超えてくれば13日高値107.77円試し、あるいは108円挑戦へ進む可能性がある。しかし20日未明安値107.24円割れからは弱気転換注意とし、107円割れからは新たな弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる20日夜から24日の日中にかけての間への下落が想定される。

60分足の一目均衡表では、18日午前の上昇で遅行スパンが好転、19日午前の上昇で先行スパンを上抜いてきた。19日午後からの横這いで遅行スパンは悪化しやすくなっているが、戻り高値更新なら遅行スパンの悪化も先送りされる。このため先行スパンを上回る内は上昇余地ありとするが、先行スパンへ潜り込むところからは弱気転換注意、先行スパン転落からは弱気サイクル入りの可能性を踏まえて安値試し優先と考える。

60分足の相対力指数は18日から19日への高値更新ではいずれも70ポイントを超えられずにやや弱気逆行気配となっている。このため50ポイントを上回る内は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開注意とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、下値支持線を20日未明安値107.24円、次いで107.00円、上値抵抗を19日高値107.51円とみておく。
(2)107.24円を上回る内は107.51円超えから13日夜高値107.77円試し、さらに108円試しへ向かう可能性ありとみるが、13日夜高値前後からは反落警戒とする。また20日夜へ上昇する場合もサイクルトップをつけての反落警戒期とみる。
(3)107.24円割れからは弱気転換注意として107円試しとし、107円割れからは弱気サイクル入りとして17日安値106.88円試し、さらに底割れなら来週前半に106.50円割れを試す可能性ありとみる。
※ 3月26日以降の上昇波動では、高値更新後の安値を切り上げてきたが、17日安値を割り込む場合はその強気パターンが崩れる。また13日高値を上抜けずに17日安値を割り込む場合は「高値切り下げ、その後の安値も切り下げる」弱気パターンに入るため、下落の本格化が警戒される。(了)<10:00執筆>

【当面の主な予定】

4/20(金) 
 G20財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン)
13:30 (日) 2月 第三次産業活動指数 前月比 (1月 -0.6%、予想 0.0%)
15:00 (独) 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 -0.1%、予想 0.2%)
22:40 (米) エバンス米シカゴ連銀総裁、講演
23:00 (欧) 4月 消費者信頼感 速報 (3月 0.1、予想 -0.1%)

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