ドル円見通し 米中貿易戦争拡大懸念で株安円高(4/3)

4月1日に中国財政省は米国製アルミニウムスクラップに25%の追加関税を4月2日から導入すると表明、2日から実施した。

ドル円見通し 米中貿易戦争拡大懸念で株安円高(4/3)

【概況】

4月1日に中国財政省は米国製アルミニウムスクラップに25%の追加関税を4月2日から導入すると表明、2日から実施した。さらに米国からの輸入品128品目への関税上乗せを発表した。果物、ワイン、鋼管など120品目に対して15%、豚肉など8品目に対して25%の関税をそれぞれ上乗せした。
3月1日に米トランプ大統領がアルミ・鉄鋼への輸入関税拡大を表明、さらに中国に対する関税強化を指示したことで世界連鎖株安となり、3月22日、23日にNYダウは大幅下落し、ドル円も105.65円まで下落した。

【米中貿易戦争拡大と世界連鎖株安懸念】

3月23日に米トランプ政権は鉄鋼等への関税拡大を発動させたが、米中がこの問題を協議するテーブルに付いたとの報道から23日への株安円高はやや過剰反応だったとして26日からはドル円も戻し、28日の米GDP上方修正により29日未明には107.00円まで反騰した。欧米の連休入り前ということもあって29日夜は反動安で下落したが106円台前半を維持して様子見となっていた。
米国連休明けの4月2日は日中をほぼ横ばいで推移したが、中国の報復関税発動による米国株安への不安から上昇できず、NYダウが大幅下落し始めたことやISM製造業景況指数悪化等から円高が再燃、106円割れへと崩れた。

NYダウは458.92ドル安と大幅下落したが、一時は700ドルを超える大幅下落で、安値では23344.52ドルを付けて2月序盤の世界連鎖株安で付けた2月9日安値23360.29ドルを割り込んでいる。終値ベースでは2月8日安値を3月23日時点で割り込んでおり、4月2日は終値ベースでの安値更新は回避しているものの、1月26日天井以降の三角持合いから下放れし始めている印象であり、貿易戦争拡大懸念が拡大して終値ベースでも安値更新となる場合は世界連鎖株安が深刻化する可能性も懸念される。。
米トランプ政権は中国に対する知的財産権侵害問題を理由として追加貿易制裁を課す姿勢を示している。ナバロ米通商顧問は「中国の知的財産権侵害は世界で周知の事実」と述べている。

【戻り高値切り下げパターンを崩せるか?】

3月26日安値から29日高値までの上昇幅は2.38円幅だったが、年初からの下落基調における戻り高値切り下がりパターンを脱却する=3月13日高値を超えるところまでにはいたらなかった。
昨年11月6日高値で概ね10か月から1年周期のサイクルにおける天井を付けて下落してきたが、その後の小反発は2月2日へ2.19円幅、2月21日へ2.35円幅、3月13日へ2.04円幅であり、いずれも戻り幅は3円に満たず、戻り高値切り下がりからその後に一段安を繰り返してきた。
3月28日は前日比で1.53円幅となる日足大陽線であったが、その後は3日間連続の陰線引けとなっている。陰線2本連続から3本目を陽線で切り返せば「つたい線うち返し」と呼ばれる強気線になりえたが、3日連続陰線=三羽烏となったことで下げ再開感が強まり始めている。まだ28日の大陽線の範囲内にあるが、28日の安値105.32円を割り込むと大陽線打消しとなって下げが加速、23日安値104.63円割れから崩れる可能性が高まると懸念される。

【60分足一目均衡表分析】

【60分足一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では2日夜の反落により遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。このため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパン好転の場合は先行スパンを上抜き返せるかどうかを試すとみるが上抜き返せない場合はその後の一段安警戒と考える。3日未明安値をさらに割り込む場合は遅行スパン好転の機会も先送りされる。

60分足の相対力指数は3日未明への下落で30ポイントを割り込んだが、今のところは強気逆行(相場が安値を更新する時期に指数のボトムが切り上がる強気サイン)は見られていないので、40ポイント台までを戻り抵抗とし、20ポイント前後を試す可能性ありとみる。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、28日未明安値を前回のサイクルボトム、29日未明高値を同サイクルトップとした下落期として3日の日中から4日午前への下落が想定されるが、米国市場休場中の30日、4月2日の日中とやや横ばいで推移してから一段安しているため、30日夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れからすでに新たな弱気サイクル入りとなっている可能性もある。その場合は安値形成期が4日から6日にかけての間へと延長される可能性もある。いずれの場合も強気サイクル入りには2日夜高値を上抜く必要がある。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)当初、106.00円を抵抗、105.50円を支持線とみておく。
(2)106円台回復、維持へと進めないうちは105.50円割れからの一段安警戒とし、105円前後試しへの下落を想定する。世界連鎖株安状況次第では104円台後半への急落にも注意する。
(3)106円超え、維持へ戻す場合は2日夜高値106.45円試しとみるが、高値更新へ進めずに106円割れするところからは下げ再開とみる。(了)<9:20執筆>

【当面の主な予定】

4/3(火)
13:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、政策金利発表 (現行 1.50%、予想 据え置き)
16:55 (独) 3月 製造業PMI、改定値 (速報 58.4、予想 58.4)
17:00 (欧) 3月 製造業PMI、改定値 (速報 56.6、予想 56.6)
17:30 (英) 3月 製造業PMI (2月 55.2、予想 54.8)
22:30 (米) カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演

4/4(水)
10:30 (豪) 2月 住宅建設許可件数 前月比 (1月 17.1%、予想 -5.0%)
10:30 (豪) 2月 小売売上高 前月比 (1月 0.1%、予想 0.3%)
10:45 (中) 3月 財新サービス業PMI (2月 54.2、予想 54.6)
18:00 (欧) 2月 失業率 (1月 8.6%、予想 8.5%)
18:00 (欧) 3月 消費者物価指数(HICP) 速報値 前年比 (2月 1.2%、予想 1.4%)
21:15 (米) 3月 ADP民間非農業部門就業者数 前月比 (2月 +23.5万人、予想 20.0万人)
22:45 (米) ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
23:00 (米) 3月 ISM非製造業景況指数 (2月 59.5、予想 59.0)
23:00 (米) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 -1.4%、予想 1.7%)
24:00 (米) メスター米クリーブランド連銀総裁、講演

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