ドル円上昇、貿易戦争懸念緩和でリスク後退
週明けの海外市場では米中間の通商協議により両国の貿易戦争を回避できる見通しが出てきたことからリスク選好がやや戻り、NYダウは669ドル上げて24,202.60ドルで終了したほか、主要米株価指数はいずれも2.5%以上上昇して引け、ドル円はニューヨーク時間終盤に105円台半ばまで上昇しています。
米WSJ紙は26日に米中が米国による中国市場へのアクセス改善を巡り水面下での交渉を開始したと報じています。
記事によれば米国のムニューシン財務長官とライトハイザー通商代表部代表は先週末に中国に対して米政府の具体的な要求を提示、内容的には中国の米国製自動車に課している関税の引き下げ、半導体の購入拡大、中国金融セクターへのアクセス改善などが含まれるとのこと。ムニューシン財務長官は交渉のため北京訪問も検討しているとされています。
これに対し中国側は経済ブレーンである劉副首相が交渉窓口となり、ムニューシン財務長官との電話会談では両氏が「対話を続け互いに納得できる形で赤字を縮小させる方法を見出していくことを約束した」と伝えられました。
報道受けて週明けの株式市場は先週の過度なリスク回避の動きから回復、NYダウは先週の下落分の約半分を戻した形です。ドル円もリスク回避の円買いが弱まったことから底値の104.56から1円弱戻して東京時間7:00現在は105.47レベルでの取引です。
政治面でも動きがあり、まず、ブルームバーグは北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が北京を電撃訪問したと伝えています。これは北朝鮮の核開発問題に関し、これまで北朝鮮が必ずしもその意向に沿っていないとみられていた中国に助けを求めたことでより実質的な進展が望めるのではないかとの期待がもたれています。
一方でアメリカは英国での元スパイ殺害に関連してロシアの外交官60人を国外退去させ、シアトルのロシア領事館閉鎖を命じました。これに対しロシア政府は報復実施を匂わせており、欧米諸国とロシアの対立がより先鋭化することが懸念されます。
また、本邦では本日、森友学園との土地取引に絡む公文書の改ざん問題で当時財務省の理財局長で改ざんを主導したとされる佐川前国税庁長官の証人喚問が行われ、その対応が注目されます。
この中で特に北朝鮮要人の中国訪問は地政学リスクの状況に大きな変化をもたらす可能性があり要注意、また佐川前国税庁長官の証人喚問も、内容次第では安倍政権の基盤を揺るがす可能性無きにしも非ずで、注目されます。
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