ドル円失速 高安値切り上がり型を維持できるか(3/14)

21時半に発表された2月の米消費者物価指数では、全体の前年比が+2.2%となり前月の+2.1%を上回ったものの市場予想通りだった。

ドル円失速 高安値切り上がり型を維持できるか(3/14)

【概況】

3月9日の米雇用統計後に107.05円をつけて3月2日安値105.24円以降の戻り高値を更新して先週を終えたが、米雇用統計ではドル高基調継続への決定打にはならず、週明けは国内政局不安等もあって反落、13日午前には106.31円まで押し返されていた。その後は13日夜の米消費者物価指数が強ければ米連銀の利上げペース加速の可能性が高まるとして買い戻し優勢となり、米消費者物価指数発表直後の上昇で107.29円を付けて先週末高値を上抜いた。しかし初期的な買いが一巡した後は反落、ティラーソン国務長官解任報道、NYダウの続落もあり14日未明には106.50円を割り込むところまで下げた。

【米消費者物価指数と米連銀利上げペース問題】

21時半に発表された2月の米消費者物価指数では、全体の前年比が+2.2%となり前月の+2.1%を上回ったものの市場予想通りだった。コア指数の前年比は+1.8%となり前月および予想と一致した。全体の前月比は+0.2%となり予想と一致したが前月の+0.5%からは鈍化、コア指数の前月比も+0.2%で予想と一致したが前月の+0.3%からは鈍化した。
発表当初は概ね予想通りの内容で米連銀の利上げペース加速の判断に寄与するのではないかとの見方でドル買い優勢となったが、ドル買いは続かず早々に失速した。前月比の伸び鈍化が利上げペース加速判断を鈍らせる可能性もあるということでさらにドル高を勢いつかせるものではないとし、「知ったらしまい」の反応に止まったということだろう。
14日夜には米生産者物価指数、小売売上高の発表がある。それらを含めて今後の経済指標等で利上げペースが加速するのか様子見になるのか、市場も迷うところだ。迷いながら3月20-21日のFOMCを迎え、声明文および議長会見により大きく動いだすという流れだろうか。

【ティラーソン国務長官解任騒動】

トランプ米大統領は13日夜のツイッターでティラーソン国務長官を解任し、ポンペオCIA長官を後任に充てると突然発表した。CIA長官には副長官のジナ・ハスペル氏がスライドする予定で、いずれの人事も上院の承認が必要となる。トランプ氏は記者団に対してイラン核合意などでの意見の相違をティラーソン氏の解任理由としている。トランプ大統領が北朝鮮との首脳会談を独断的に決定したことへの反対姿勢も背景と思われる。
米朝首脳会談が世界の金融市場全般に対して楽観的建設的なテーマとして受け入れられるのかは今後の進展による。現状では米国側のスタンスが定まらず、北朝鮮側が態度を豹変させるリスクもあるため、今回のティラーソン長官解任騒動のようなトランプ政権への不安感がドルや株にとってのマイナス材料になりやすいと思われる。

【中国への大規模関税導入姿勢】

14日未明、トランプ米政権が中国に年間600億ドル規模の関税適用を検討していると報じられた。中国の知的財産権侵害への対抗措置と見られる。報道ではこの関税対照は電機、通信機器、家具、玩具など100以上の品目が対象とされ、来週にも方針が発表される可能性があるとしている。関税以外でも中国企業の対米投資制限措置が検討されているという。
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は先週、トランプ大統領に中国に対する300億ドル規模の関税引き上げを提案したが、トランプ大統領はそれを拒否して「より巨額の措置」を要求したとも伝えられている。

3月1日にトランプ大統領が関税導入を宣言、3月8日には鉄鋼・アルミへの関税導入が決定された。トランプ大統領による保護主義政策は着実に実行、拡大し始めている。NAFTAの再交渉を踏まえて鉄鋼・アルミの関税対象からはメキシコとカナダが除外されたため市場もやや安堵していたが、今回の対中国措置により保護主義懸念、貿易戦争懸念が強まり始めている。
トランプ大統領による昨年末の大規模減税を好感して史上最高値を更新したNYダウは2月序盤に急落、その後は戻してきたが再び関税問題、政治不安、米連銀の利上げペース加速問題等、圧迫感の出やすいテーマに覆われ始めている。

【60分足 一目均衡表、相対力指数、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、相対力指数、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月2日夜安値と7日午前安値をダブル底として上昇してきたが、9日深夜高値でいったんピークを付けて下落した。13日午前安値からの反騰で9日深夜高値を上抜いたため、その段階では高値更新による新たな強気サイクル入りとなったが、13日夜高値からの反落で13日午前安値に迫ってきているため、底割れからの弱気サイクル入りも懸念されるところだ。
13日午前安値割れ回避のうちは106.75円超えから上昇再開、高値更新の場合は107.50円前後を目指す可能性がある。また反落しても安値切り上がりが続くうちは14日夜から16日深夜にかけての間へ上昇基調を継続してゆくことも考えられる。
ただし、13日午前安値割れからは安値切り上げ型が破られるために弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる16日から20日にかけての間への下落へ向かう可能性が高まると注意する。

60分足の一目均衡表では14日朝への反落で先行スパンから転落しかけたが、その後は回復している。遅行スパンもギリギリのところで悪化せずに戻しているが、9日夜以降は往来相場になっているため、新たな高値更新へと進めないうちは先行スパンから転落、遅行スパンも悪化となりやすい。
当面、先行スパンを上回るうちは高値試し優先とし、先行スパン転落からは弱気転換注意、13日午前安値割れからは弱気サイクル入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は9日夜高値形成時と13日夜高値形成時との間では指数のピークが切り下がる弱気逆行型となってるので、40ポイント割れへと低下する場合は弱気転換注意とみる。60ポイントを回復してくる場合は上昇継続とみるが、高値更新の場合は二度目の弱気逆行を見せて反落しやすいと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13日午前安値106.25円を支持線、106.75円を抵抗線とみておく。
(2)13日午前安値割れ回避のうちは106.75円超えから上昇再開と仮定して13日夜高値107.29円試しへ向かう可能性ありとみる。ただし、107円台序盤は戻り売りにつかまりやすいと注意し、高値更新の場合も13日夜反落のようにその後に反落しやすいと注意する。
(3)106.25円割れからは底割れによる弱気サイクル入りとして106.00円から105.70円にかけての下落へ向かいやすくなるとみる。106.00円以下は突っ込み警戒、反発注意だが、106.50円以下に止まるうちは15日の日中へ安値を試しやすいとみる。(了)<9:50執筆>

【当面の主な予定】

3/14(水)
(独) メルケル独首相、就任宣誓
11:00 (中) 2月 小売売上高 前年比 (12月 9.4%、予想 10.0%)
11:00 (中) 2月 鉱工業生産 前年比 (12月 6.2%、予想 6.2%)
16:00 (独) 2月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.5%、予想 0.5%)
17:00 (欧) ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
19:00 (欧) 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 0.4%、予想 -0.4%)
21:30 (米) 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 0.4%、予想 0.1%)
21:30 (米) 2月 生産者物価コア指数 前月比 (1月 0.4%、予想 0.2%)
21:30 (米) 2月 生産者物価指数 前年比 (1月 2.7%、予想 2.8%)
21:30 (米) 2月 生産者物価コア指数 前年比 (1月 2.2%、予想 2.6%)
21:30 (米) 2月 小売売上高 前月比 (1月 -0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 2月 小売売上高(除自動車) 前月比 (1月 0.0%、予想 0.4%)
23:00 (米) 1月 企業在庫 前月比 (12月 0.4%、予想 0.6%)

3/15(木)
06:45 (NZ) 10-12月期 四半期GDP 前期比 (前期 0.6%、予想 0.8%)
21:30 (米) 3月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (2月 13.1、予想 15.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.1万件、予想 22.8万件)
21:30 (米) 3月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (2月 25.8、予想 23.5)
21:30 (米) 2月 輸入物価指数 前月比 (1月 1.0%、予想 0.3%)
23:00 (米) 3月 NAHB住宅市場指数 (2月 72、予想 72)

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