ドル戻り歩調だが上値は重いイメージ(週報3月第二週)

先週のドル/円相場は、ドル高・円安。週のザラ場ベースでは、前週に記録した年初来安値105.24円に接近するも抜け切れず。そののち、週末にかけては一時107円台を回復する

ドル戻り歩調だが上値は重いイメージ(週報3月第二週)

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先週のドル/円相場は、ドル高・円安。週のザラ場ベースでは、前週に記録した年初来安値105.24円に接近するも抜け切れず。そののち、週末にかけては一時107円台を回復するなど、ドルの強さが目に付いた。

ドル/円は、前週末のNYクローズよりやや円高の105.45-50円で寄り付いた。週末に伝えられたドイツ政治情勢、「メルケル政権発足が確実」になったことが好感された反面、イタリア総選挙の出口調査の結果として「ハングパーラメント(与野党3陣営のいずれもが過半数に届かない)見通し」と報じられたことが嫌気され、リスク回避の動きに繋がっていた面もあったという。

しかし、下値は限定的で、ほぼ週初の寄り付きレベルを週間の底値にドルは小じっかり。一本調子の変動ではなく、細かい上下動はあったものの、週末にかけてはドルの上昇が鮮明になり一時は107円台へ。事前に改善機運が高まっていた米雇用統計が発表され、その内容が予想を上回るさらに良好なものになったことなどが好感されていた面も否めない。週末NYでは、さすがに107円台を維持することが出来なかったが、それでも106.80-85円の高値圏で取引を終え、越週している。

一方、週間を通した主な材料は、大きく2つ。ひとつは「米国の保護主義政策」関連ニュースで、もうひとつは「北朝鮮関連情勢」。前者については、週初にトランプ米大統領が自身のツイッターに「友好国も敵対国も米国につけ込んできた」と書き込むなど、いわゆる「輸入制限」導入について強い意欲を見せるなか、現地時間8日に大統領が正式署名を行っている。それに対して、後者は週末突発的に報じられたニュースで、「米大統領と北朝鮮の金委員長は5月までに会談する」との内容がポジティブサプライズとなり、リスク志向のドル買い・円売り要因になっていた面もありそうだ。
また、それ以外では、週の半ばに報じられた「コーン米国家経済会議(NEC)委員長が辞任」報道もスポット的にマーケットの波乱要因となっていた。

<< 今週の見通し >>

先週は連日のようにビッグニュースが相次いだ1週間だったが、週間を通したレンジはと言うと105.30-107.05円で、それほど広いものでもなかった。とくに週末には、「米朝首脳会談決定」と「良好な米雇用統計発表」−−という2本柱があったにもかかわらず、ドルの上昇は鈍かったイメージだ。
今週もドルは基本的に戻り歩調をたどる、との見方が有力だが予断は許さない。たとえば、先週マーケットの注目要因のひとつだった「米国の保護主義政策」については、13日に予定されている米ペンシルベニア州下院補欠選挙に向けて、またぞろ「選挙対策向けアピール」として政策を強める可能性も取り沙汰されているほか、同時に米国の地方州選挙で与党・共和党が敗北となれば、トランプ氏自身の求心力低下も懸念されることになるだろう。いずれにしても、今週は米国を中心に、日本についても「政治ファクター」が思わぬ波乱材料になる気もしないではない。

テクニカルに見た場合、先週末NYのザラ場ベースで107円台を回復するも定着はできず。年初来高値113.39円を起点とした下げ幅の23.6%戻しにあたる107.15円を前にドルは上げ渋った感もある。移動平均の25日線が位置している107.25円レベルを含めて、107円前半の攻防にまずは注意を払いたい。抜ければ、前述下げ幅のフィボナッチ38.2%戻しに当たる108.35円レベルがターゲットか。
それに対して、下値メドはNYクローズでは7営業日ぶりに上回ってきた一目均衡表の転換線(106.45-50円)が目先のサポート。割り込めば、一足飛びにトライということではないが、105.24円の年初来安値も再び視界内に入ってくる。

一方、材料的に見た場合、2月の消費者物価指数をはじめ重要な米経済指標の発表が予定されており、それらはもちろん要注意。
しかし、先でも指摘したように、今週は米国を中心とした政治的な要因により注意を払いたい。具体的な材料としては、「米ペンシルベニア州下院補欠選挙」や「トランプ米大統領のカリフォルニア州訪問」などのほか、週末には「G20財務相・中銀総裁会議」も実施される見込みで、会議においては当然、米国の保護主義政策が議題にあがるもようだ。週末の会議を前後し、各国要人からの牽制発言なども予想され、マーケットで思惑を呼ぶとともに荒れ模様の値動きをたどっても不思議はないだろう。

そんな今週のドル/円予想レンジは、105.80-108.30円。ドル高・円安については、移動平均の25日線などが位置する107円前半の攻防に注目で、抜ければ108円台回復も。
対するドル安・円高方向は、一目均衡表の転換線(106.45-50円)が目先のサポート。割り込めば106円レベル、そして105.24円の年初来安値も再び視界内に捉えられそうだ。(了)

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