ドル円見通し FOMC議事録公開から伸びず(2/22)

米連銀は1月30−31日のFOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨を公表した。議事録ではトランプ政権の減税政策等により短期的な景気見通しが上振れる可能性があり、

ドル円見通し FOMC議事録公開から伸びず(2/22)

【概況】

2月2日深夜の戻り高値110.48円から丸2週間の下落となり、2月14日には昨年9月8日安値107.32円および107円割れ、2月16日には105.546円まで安値を切り下げた。しかし19日が米国市場休場(プレジデンツデー)で3連休となったため、連休前のポジション調整、今週の米国債大量入札、22日未明のFOMC議事録公開等を控えてドルが戻しに入り、ドル円も19日、20日とリバウンドを継続、107円台を回復した。
21日昼には107.90円を付け、また22日未明のFOMC直後にも107.90円を付けたが、議事録公開をきっかけとして上昇に弾みがつくところまでは反応せず、108円台には届いていない。

【FOMC議事録要旨】

1.数人、短期的な経済見通しが上振れする公算が強まったと指摘
2.大半の参加者、さらなる緩やかな利上げが適切=経済上振れリスク増大
3.大半の参加者、12月時点の経済見通しの緩やかな上振れを予想
4.数人の参加者、法人減税による価格切り下げはインフレ目標の重し
5.数人の参加者、金融市場の不均衡が浮上し始めた可能性を指摘
6.数人の参加者、労働市場の需給ひっ迫は賃金上昇につながる可能性
7.数人の参加者、インフレ2%到達への自信が強まったと発言

米連銀は1月30−31日のFOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨を公表した。議事録ではトランプ政権の減税政策等により短期的な景気見通しが上振れる可能性があり、大半の参加者が「さらなる緩やかな利上げが適切である公算が大きい」として利上げに積極的な姿勢であることが示された。
昨年12月に米FOMCはメンバーによる2018年の利上げ予想回数の中央値を3回とし、市場は3月、6月、12月の三回の利上げが決定されてゆく公算が大きいと受け止めてきた。3月の追加利上げについてはほぼ確実視してきた。

年末にトランプ政権が大規模企業減税等を伴う税制改革法案を成立させたこと、さらに年明けには連邦予算における債務上限が引き上げられたこと、予算教書等で示された巨額インフラ投資を助長する歳出の拡大が現実味を帯びてきたこと等により、米国債の増発が債券市場の需給緩和感を拡大、年末から市中の長期金利が上昇し、米10年債利回りは2.9%を超えて4年ぶりの高水準に達した。

市場は利上げペースがさらに加速するのではないかとの懸念を抱いてきたわけだが、今回の議事録要旨により、12月会合時点よりも景気の上振れ感、インフレ進捗への自信、利上げ継続姿勢が強調された。このため、3月利上げの上で、さらに6月以降の追加利上げ確率も上昇、利上げ回数が3回から4回へと拡大する可能性も意識されることとなった。
議事録公開後に米長期金利は上昇、10年債利回りは2.95%へ上昇して2014年1月以来4年1か月振りの高水準を維持。また30年債利回りは3.22%へ上昇して2015年7月以来約2年7か月ぶりの高水準となった。
為替市場では16日から下落してきたユーロが下落、金利上昇を嫌うゴールドが下落したが、ドル円は戻り高値圏を維持しつつも一段高へは進めず、反応は限定的なものに止まっている。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、16日午後からの上昇により19日には遅行スパンが好転、19日夜には先行スパンを上抜いた。22日朝時点でも両スパン好転状態が維持されているが、21日昼以降は新たな高値更新へ進めずにいるため、横ばいないしは107.50円以下へと下落の場合は遅行スパンが悪化してくる。107.15円割れへ下落の場合は先行スパンからの転落となる。このため先行スパンからの転落回避中は上昇基調継続余地ありとするが、先行スパンにもぐりこむ場合は弱気転換注意、先行スパン転落からは下げ再開を疑う。

60分足の相対力指数は21日昼への上昇時に80ポイントを超えたが、その後は相場が高値圏でフラットなのに対して指数のピークが22日未明には切り下がっているので弱気逆行の可能性がある。50ポイントを割り込んでも切り返すうちは65ポイント超えから上昇再開の可能性ありだが、50ポイント割れの状況が続く場合は下げ再開を疑う。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月10日未明安値から4日目となる2月16日昼過ぎ安値で直近のサイクルボトムを付けて上昇期に入った。既に上昇も4日目に入り、議事録公開から一段高へ進めなかったためトップアウト警戒期と思われる。22日未明安値(107.28)割れからは弱気転換注意、107.15円割れからは弱気サイクル入りとして次のボトム形成期となる22日の日中から23日の日中にかけての間への下落を想定する。また21日夜安値ないしは22日未明安値を直近のサイクルボトムとし、ミニダブルトップ形成からの弱気サイクル入りとしてみればボトム形成期が26日から28日にかけての間へと長引く可能性がある点にも注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.30円レベルを支持線、107.90円を抵抗線とみておく。
(2)107.30円を上回るうちは上昇余地ありとし、107.90円を超える場合は108.00円から108.50円にかけてのゾーンを試す上昇を想定する。この場合、108.35円以上は反落注意とするが、107.30円を上回るうちは上昇再開余地ありとする。
(3)107.30円割れからは弱気転換注意、107.15円割れからは弱気サイクル入りと仮定して106円台後半試しへ向かうとみる。また107.15円以下での推移が続く場合は23日にかけても安値試しを継続しやすくなるとみる。その場合は16日安値試しまで下値目途が切り下がる可能性ありと注意する。(了)<10:05執筆>

【当面の主な予定】

2/22(木)
14:15 (米) クオールズFRB副議長、講演
18:00 (独) 2月 IFO企業景況感指数 117.6 ―
18:30 (英) 10-12月期 四半期国内総生産(GDP、改定値) [前期比] 0.5% 0.5%
18:30 (英) 10-12月期 四半期国内総生産(GDP、改定値) [前年同期比] 1.5% 1.5%
21:30 (欧) 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨
22:30 (米) 前週分 新規失業保険申請件数 23.0万件
24:00 (米) ダドリー米NY連銀総裁、講演
26:10 (米) ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演

2/23(金)
06:45 (NZ) 10-12月期 四半期小売売上高指数 [前期比] 0.2% ―
08:30 (日) 1月 全国消費者物価指数(CPI) [前年同月比] 1.0% 1.3%
08:30 (日) 1月 全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く) [前年同月比] 0.9% 0.8%
08:30 (日) 2月 東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く) [前年同月比] 0.7% ―
08:50 (日) 1月 企業向けサービス価格指数 [前年同月比] 0.8% 0.8%
16:00 (独) 10-12月期 GDP、改定値 前期比 (速報 0.6%、予想
16:00 (独) 10-12月期 GDP、改定値 前年比 (速報 2.9%、予想
19:00 (欧) 1月 消費者物価指数(HICP)改定値 前年比 (12月 1.3%、予想
2/24(土)
05:40 (米) ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演

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