株価にらみつつ落ち着きどころを探る展開(2月第二週)

先週のドル/円相場は、終わってみれば「週初高・週末安」。株価の動きに振り回されつつ乱高下をたどるなか、週末には108.05円を記録し、年初来安値を更新する局面も

株価にらみつつ落ち着きどころを探る展開(2月第二週)

株価にらみつつ落ち着きどころを探る展開

先週のドル/円相場は、終わってみれば「週初高・週末安」。株価の動きに振り回されつつ乱高下をたどるなか、週末には108.05円を記録し、年初来安値を更新する局面も観測されていた。

前週末にNYダウが大幅安で引けたことが警戒され、寄り付きこそ110.15円でNYクローズレベルを維持したが、その後は日経平均株価の連れ安にあわせ、ドル売り・円買いが優勢となった。一時108円半ばまで値を崩している。
しかし、日米を中心に株価がかなりの乱高下をたどるなど不安定な値動きをたどったことで、為替も落ち着かず荒れ模様の相場付き。ドル/円は先の108円半ばから109.80円近くまで値を戻したのち、再び急落し108.05円となるなど、激しい上下動となった。そののち、NYの大引けにかけては小戻し、108.80円レベルで取引を終えて越週している。

一方、週間を通した主な材料のひとつは、前述したように、なんといっても「日米を中心とした大荒れの株価」だが、それと絡めた格好で金融市場に関する要人発言も多かった。一例を挙げると、米国ではサンダース・ホワイトハウス報道官から「米経済のファンダメンタルズは非常に強い」、トランプ米大統領は「経済好調なのに株安は大間違い」との火消しコメントが聞かれたのに対し、日本側は菅官房長官による「為替の安定は極めて重要、動向を緊張感持って注視」、黒田日銀総裁からは「金融資本市場の動き十分注意したい」、麻生財務相「市場動向を引き続き注視」−−などといった発言が報じられていた。
また、それとは別に、週末から始まった平昌オリンピックをにらんだ「北朝鮮情勢」と要人会談を中心とした「政治ファクター」、再び政府機関の閉鎖も懸念された「米暫定予算案をめぐる動き」も、相場の波乱要因に。

<< 今週の見通し >>

先週は1週間を通して、米国を中心とした世界的な株価変動に振り回された。週の初めにNYダウが「過去最大の下げ幅」となる終値ベースで1175ドルもの暴落をたどったことに始まり、以降、週末まで不安定な地合いは収まることがなかった。実際、週末のNYダウも一時450ドル近い下落となったものの、大引けは330ドル高となるなど、まさにジェットコースター相場といえるような値動きが、いまだ続いている。
今週もまずは、日米を中心とした株価の動きには注意が必要で、「落ち着きどころ」を探る展開のなか、為替も状況次第で激しい上下動が続くことになりそう。別名「恐怖指数」とも言われる「米国株のボラティリティー指数(VIX指数)」をみると、目先のピークからやや落ち着きを取り戻しつつある感がみられるが、実際のところは果たして如何に!?

テクニカルに見た場合、過去1週間以上推移していたボックスの下限である108円半ばだけでなく、年初来安値の108.28円も一時更新するなど、ドルの下値余地が広がったことは間違いない。先週末に記録した安値108.05円を割り込めば、昨年9月安値の107.32円が名実ともにターゲットとして意識されそうだ。
ただ、先週末は前述したようにザラ場ベースではドル安が進行したものの、終値ベースでも急回復に転じており、日足は十字線に近い小陽線だった。それだけをもち、ドルの底入れを断言することなどできないが、チャート的には目先的に下値でドルを売りにくい環境にあると言えるかもしれない。焦らず、動静をしっかりと見極めたい。

一方、材料的に見た場合、週末にかけて1月の生産者物価や消費者物価、2月のミシガン大消費者信頼感指数などの米経済指標が発表されるほか、週初には2019年度の米予算教書の公表も予定されている。それらは当然要注意。
また、米国を中心とした金融当局者による講演や、「政治オリンピック」と化している韓国発の動静、日経新聞などで報じられた「黒田日銀総裁続投」観測についての真偽ならびに、マーケットの反応なども気になるところだ。とくに、最後に記した「黒田氏続投」が事実であるなら、為替市場においては円高に歯止めをかける一因として受け止められても不思議はない気がしている。

そんな今週のドル/円予想レンジは、107.50-110.00円。ドル高・円安については、先週8
日高値の109.80円レベル、110円などが最初の抵抗で、上抜ければ2月高値の110円半ばなどがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週記録した年初来安値の108.05円の攻防が注視されており、割り込むと昨年9月安値の107.32円が視界内に捉えられそうだ。(了)

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