ドル円 世界連鎖株安一服だが為替は慎重姿勢(2/7)

6日夜のNYダウは当初500ドルを超える続落となったが、引けは567.02ドル高まで戻し、安値からの反騰幅は1000ドルを超えた。

ドル円 世界連鎖株安一服だが為替は慎重姿勢(2/7)

【概況】

2月2日夜の米雇用統計が強い内容となったことから米連銀の利上げペースが加速するのではないかとの思惑によりドルが反発、ドル円は2日深夜に110.48円まで上昇した。しかし同じく雇用統計後に米10年債利回りは4年振りの高水準へ上昇、先行きの金利上昇懸念を背景にNYダウが665.75ドルの大幅下落となったため、深夜以降はリスク回避の円買いが優勢となった。
2月5日、日経平均が592.45円安と大幅続落、NYダウも1175.21ドル安と過去最大級の暴落となったため、リスク回避の円買いによりドル円も下落。6日の日中に日経平均がさらに続落したことで昼には108.45円まで下落した。
午後から日経平均が戻し、夜間ではNYダウが乱高下しつつも大幅上昇で終了したため、ドル円も反発、7日午前は日経平均も反騰したために109.71円まで戻してきた。

【株暴落、どうなる?】

2月6日、日経平均は一時1600円安を超える暴落となり、引けでは1071.84円安。トランプショックの2016年11月9日919.84円安、英国ブレクジットショックの2016年6月24日1286.33円安等に匹敵する下げとなった。これまでの前日比による下落では歴代1位が3836円(87年)、2位が1978円(90年)、3位が1569円であった。
6日夜のNYダウは当初500ドルを超える続落となったが、引けは567.02ドル高まで戻し、安値からの反騰幅は1000ドルを超えた。7日前場の日経平均は500円を超える上昇で開始している。

日経平均で見ると、2011年3月の大震災時は一時的な外部ショック要因だったため当週の下落で下げ一巡となったが、その後は高値を更新できずに終わった。2013年5月23日天井からの急落は4週、6月15日まで3527円安となった。2015年6月天井後の急落では、8月後半に週足で1083ドル安の大陰線をつけ、翌週は安値で1721円安まで下げてから1422円の下ヒゲで反発したが、さらに翌週は1344円安となり9月29日安値まで直前の天井からは4051円安となっている。この様に、強烈な下ヒゲを見せても当週の暴落を解消しきれない場合はもう一段安へ崩れる可能性も前例としてある。
ひとまず、パニック的な世界連鎖株安が一服した。これで一件落着となるのか、暴落途中の揺れ返しに過ぎないのかどうか、週末まで展開を見定める必要がある。週足の姿は凡そ2年間の上昇から急落した状況は2015年6月24日天井と8月11日のダブル天井からの下落時に近い印象があるので、まだ油断できないと思う。

トランプ大統領当選のサプライズからNYダウは歴史的な大上昇に入ってきた。米国第一主義による米国企業優先、年末にまとまった大規模企業減税等税制改革、さらに今後具体化へ進む10年総額1.5兆ドル規模の巨額インフラ投資等は株高をバブル的に押し上げてきたテーマであるが、史上最高値を連日のように更新し続け、買いが買いを呼び、持たざるリスクを意識して過熱してきた株高が、米雇用統計が良かったといってもサプライズ的な強さではなかったのにそれをきっかけに急落したということは、市場が相当な高所恐怖症状態にあったことを示すものであり、簡単に楽観を取り戻せないかもしれないのではないかと思う。
不安から楽観に切り替わり切れなければドル円も本格的な上昇再開へと進めないのではないかと懸念する。不安が拭えないから株の大反騰程にはドル円が戻せていないともいえる。株暴落のきっかけとなった米10年債利回りは株暴落が進む中でいったん急低下したが株が戻すとまた上昇している。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、5日深夜からの急落により遅行スパンが悪化、先行スパンから転落したが、6日午後からの反騰により7日午前時点では遅行スパンが好転した。先行スパン突破には至っていない。
109.50円以上を維持し始めれば先行スパンを上抜いてくるため、戻り高値をさらに試す可能性が高まるとみるが、109.50円以下での推移に留まる場合は先行スパンが抵抗となっての失速リスクが残り、109.10円割れの状況が続くと先行スパン転落、さらに109円割れからは遅行スパンも悪化してくるため下げ再開感が出てくると思われる。

60分足の相対力指数は6日昼への下落で30ポイントを割り込んだが、その後の反発で50ポイント台を回復している。50ポイントを割り込んでも早々に回復する内は上昇継続性ありとするが、40ポイント割れ、その後も50ポイント台回復に至らなくなる場合は下げ再開注意とみる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、1月30日深夜安値から4日半となる6日昼安値でサイクルボトムをつけて反騰に入っている。新たな底割れ回避の内は7日夜から9日深夜にかけての間へと戻りを試す可能性があるが、6日昼からの戻り幅の半値を削る場合及び109円割れしてくる場合は下げ再開を疑い、6日昼安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りにより次の安値形成期となる9日から13日にかけての間への下落が想定される。

1月26日未明安値108.45円、27日安値108.28円、30日安値108.41円、2月6日安値108.45円と、四度108.50円割れを切り返してきた。108円台前半が重要な支持帯となっているが、逆に言えばこれを割り込むところからは一段安が厳しくなる可能性がある点に注意する。
1月8日高値以降、戻り高値切り下がりが続いているため、2月2日深夜高値110.48円を超えられない内は今回も戻り高値を切り下げて一段安へ進む可能性が残る。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.10円を支持線、7日朝高値109.70円を抵抗線とみておく。
(2)109.50円以上での推移、109.70円超えからは110円台序盤試しへ向かう可能性があるが、よほど楽観的な市場心理へと切り替わらない内は110円前後では戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)109.50円以下での推移が続く場合は109.10円割れからの下げ再開注意とみる。109.10円、109.00円割れと続く場合は弱気サイクル入りの可能性を踏まえて6日安値108.45円試しへ向かうとみる。108.50円以下はもう一度買い戻しが入るとみるが、108.45円割れの場合は来週序盤への一段安警戒とみる。その場合は9月8日安値107.32円試しへ向かうと考える。(了)<9:50執筆>

【当面の主な予定】

2/7(水)
午 後 (日)ペンス米副大統領・安倍首相会談
14:00 (日) 12月 景気先行指数(CI)速報 (11月 108.3、予想 107.9)
16:00 (独) 12月 鉱工業生産前月比 (11月 3.4%、予想 -0.5%)
18:00 (欧) ラウテンシュレーガーECB理事、ヌイECB銀行監督委員長、講演
20:00 (米) カプラン米ダラス連銀総裁、講演
22:30 (米) ダドリー米NY連銀総裁、講演
24:15 (米) エバンス米シカゴ連銀総裁、講演

2/8(木)
朝鮮人民軍創建日
05:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行 政策金利 (現行 1.75%、予想 据え置き)
07:20 (米) ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演
08:50 (日) 12月 国際収支 経常収支 (11月 1兆3473億円、予想 1兆514億円)
08:50 (日) 12月 国際収支 貿易収支 (11月 1810億円、予想 4881億円)
未 定 (中) 1月 貿易収支(米ドル) (12月 546.9億ドル、予想 523.5億ドル)
未 定 (中) 1月 貿易収支(人民元) (12月 3619.8億元、予想 3300.0億元)
16:00 (独) 12月 貿易収支 (11月 237億ユーロ、予想 210.億ユーロ)

16:00 (独) 12月 経常収支 (11月 254億ユーロ、予想 250憶ユーロ)
19:30 (欧) メルシュECB理事、講演
19:45 (欧) プラートECB理事、講演
21:00 (英) イングランド銀行(BOE)金利発表 (現行 0.50%、予想 据え置き)
21:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 4350億ポンド、予想 据え置き)
22:00 (米) ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.0万件、予想 23.5万件)
23:00 (米) カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
28:00 (メ) メキシコ中銀 政策金利 (現行 7.25%) 

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