【概況】
2月2日夜の米雇用統計が強い内容となったことから米連銀の利上げペースが加速するのではないかとの思惑によるドルが反発、ドル円は2日深夜に110.48円まで上昇した。しかし同じく雇用統計後に米10年債利回りは4年振りの高水準へ上昇、先行きの金利上昇懸念を背景にNYダウが665.75ドルの大幅下落となったため、リスク回避の円買いも入って深夜以降は上げ渋った。
2月5日、日経平均が2日の211.58円安からさらに592.45円安と大幅続落したことで株安連鎖不安からドル円は下落、欧州株安から20時台には109.65円まで下げた。深夜には一旦110.26円まで戻す場面もあったが、NYダウが大幅下落で開始、一時は1500ドルを超える暴落となる中でリスク回避感が拡大、ドル円は急落商状に陥って6日早朝には108.99円まで下落した。深夜からの数時間で1円強の下落、2日夜高値からは1.48円幅となった。
2月6日午前、日経平均は千円近い大幅続落となっているが、昨晩の急落での織り込みもあり、ドル円は109円台序盤で下げ渋っている。
【株暴落、今後の状況次第では利上げ先送りの可能性も?】
米連銀ではパウエル新議長が就任したばかりだが、株安の連鎖状況、続落度合によっては今後のかじ取りが難しくなりそうだ。
2月2日の米雇用統計が強かったことで、米連銀の利上げが年3回ペースから4回ペースへ加速するのではないかという懸念と、2.8%を超えて米10年債利回りの上昇が懸念水準に入ったこと、欧州の長期金利も独10年債利回りを中心として一段と上昇してきたことなどが重なって2日の株安を発生させた格好だが、あくまでもきっかけに過ぎないと思う。
2016年11月のトランプ大統領誕生のサプライズで当選当日は株安の混乱となったが、その後はトランプラリーとして株高が続いてきた。確かに米国第一主義による米国企業への便宜、大規模企業減税も年末に成立、今年は10年間で1.5兆ドル規模の巨額インフラ投資計画も具体化してゆく等、材料的にはバブル相場を押し上げるネタも続いてきた。しかし、さすがに異常ともいえる連日の史上最高値更新、大きな調整も入れずに棒上げしてきたことで、いつかはバブルが弾ける懸念はみな、持っていただろうが、眼前で連日の上昇となれば、持たざるリスクで買いが買いを呼ぶバブルの膨張となり、相場格言でいう「もうは、まだなり」を地で行く相場展開となってきた。だが、そろそろ「まだは、もうなり」かもしれないというところで雇用統計のひと刺しがあったという事なのだろう。
株安が落ち着けばドル円も落ち着くだろうが、株安が続くならリスク回避による円高へ進まざるを得なくなるだろう。
2016年、米連銀は当初4回の利上げ姿勢を示していたが、2016年1月の中国株暴落を発端とした世界連鎖株安、7月にも同様の株安が発生したことで追加利上げを見送り、2016年12月まで利上げできなかった前例がある。株安が拡大すれば、金融市場全体のパニックリスクにより米連銀が利上げを先送りしてゆく可能性がある。
短期的な株安が収束して上昇再開なら、3月の利上げ可能性が再浮上するだろうが、株式市場が暴落から立ち直れない状況を引きずる場合は利上げ見送りや、「状況次第では利下げもありうる」という口先介入的な姿勢を示す可能性も考えられる。今後の地区連銀総裁ら当局の発言が注目される。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では、5日深夜からの急落により遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。109円台を維持して推移してゆけば明朝には遅行スパンが好転する可能性があるが、続落基調の場合は好転の機会がさらに1日、2日と先送りされる可能性がある。遅行スパン悪化中は安値試しを優先し、遅行スパンが実線と交錯するところは好転から上昇へ進む可能性がある一方で、好転できずに一段安する可能性にも注意する。遅行スパン好転の場合でも先行スパン突破には大きな強材料を伴った上昇が必要だろう。
60分足の相対力指数は6日午前への下落で30ポイントを割り込んでいる。目先は突っ込み警戒水準ではあるが、1月26日未明への下落期においては24日深夜に20ポイント割れし、その後に相場が一段安する中で指数がボトムを切り上げて強気逆行を形成しているので、今回も20ポイント割れの可能性、その後に相場が一段安して強気逆行型を形成するような展開になる可能性に注意する。
概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、1月27日未明安値と30日深夜安値をダブル底型として上昇してきたが、2月2日深夜高値でサイクルトップをつけて下落期に入ったと思われる。30日深夜安値からは4日を経過しているので、ボトムをつけての反発注意期ではあるが、一時的に戻してから底割れとなる場合には連続的な弱気サイクル入りにより、9日から13日にかけての間へと下落期が継続する可能性がある。このため、109.50円超えから続伸する場合はいったんサイクルボトムをつけての反騰入りと考えるが、その後に底割れする場合は新たな弱気サイクル入りによる下落継続を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.50円を抵抗とし、下回る内は一段安警戒とみる。
(2)109円割れの状況が続く内は108.50円、さらに1月27日安値108.28円前後試しを想定する。株安等リスク回避感が拡大する場合には108円割れへ向かう可能性、9月8日安値107.32円試しの可能性も念頭に入れておく。
(3)109.50円超えの場合はひとまず戻りを試しに入ったと仮定するが、109.80円前後までを戻り抵抗とし、その後の109.50円割れからの下げ再開注意とみる。(了)<10:00執筆>
【当面の主な予定】
2/6(火)
NZ休場(建国記念日)
ペンス米副大統領、来日
09:30 (豪) 12月 貿易収支 (11月 -6.28億豪ドル、予想 2.00億豪ドル)
09:30 (豪) 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.2%、予想 -0.2%)
12:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)政策金利発表 (現行 1.50%、予想 据え置き)
18:00 (独)ワイトマン独連銀総裁、講演
22:30 (米) 12月 貿易収支 (11月 -505億ドル、予想 -520億ドル)
22:50 (米) ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
2/7(水)
06:45 (NZ) 10-12月期 四半期失業率 (前期 4.6%、予想 4.7%)
午 後 (日)ペンス米副大統領・安倍首相会談
14:00 (日) 12月 景気先行指数(CI)速報 (11月 108.3、予想 107.9)
16:00 (独) 12月 鉱工業生産前月比 (11月 3.4%、予想 -0.5%)
18:00 (欧) ラウテンシュレーガーECB理事、ヌイECB銀行監督委員長、講演
20:00 (米) カプラン米ダラス連銀総裁、講演
22:30 (米) ダドリー米NY連銀総裁、講演
24:15 (米) エバンス米シカゴ連銀総裁、講演
オーダー/ポジション状況
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