ドル円見通し 26日からの安値圏持合い推移継続(2/1)

FOMCが金融政策を現状維持としつつも3月利上げの可能性を高めたことで声明発表直後にはこの日の高値109.44円を付けたが、内容にサプライズはなく

ドル円見通し 26日からの安値圏持合い推移継続(2/1)

【概況】

1月8日高値113.38円からの下落基調が続いてきた。23日の日銀金融決定会合後には円高が加速、24日の米財務長官のドル安容認発言から一段安、トランプ大統領によるドル安容認否定発言で26日未明の108.49円から26日昼には109.77円まで戻したが27日未明には108.28円まで一段安した。その後は108円台後半を中心とした安値圏持合に止まりつつ、2月1日未明のFOMC声明発表待ちとなっていた。
FOMCに先立って発表されたADP民間雇用統計が予想を上回ったこと、シカゴPMIも予想を上回ったことでややドル高反応を見せて30日の戻り高値109.20円を若干超えてきた。

FOMCが金融政策を現状維持としつつも3月利上げの可能性を高めたことで声明発表直後にはこの日の高値109.44円を付けたが、内容にサプライズはなく、イベント通過感から早々に反落、108.99円まで下げた後は109円台序盤での推移に止まっている。
FOMC後、前日大幅下落したNYダウは上昇、72.50ドル高と落ち着いた。米10年債利回りは2.7125%、この日の高値2.754%からはやや低下した。
ユーロドルは31日夜へ戻り高値を切り上げてからFOMCでいったん下落するも下げは限定的にとどまり落ち着いている。総じて株式市場は前日の急落一服、為替は落ち着いた動きであり、ドル円も26日午前の戻り高値109.77円と27日未明安値108.28円の範囲内での持合い圏に止まり、持合い放れのきっかけ待ち状態を継続している。

【FOMC】

米FRB(米連邦準備制度理事会)は連邦公開市場委員会(FOMC)において政策金利を現行の年1.25〜1.5%に据え置くことを全会一致で決定した。インフレ目標については「今年は上向くとみられる」として次回3月の会合での利上げ可能性を示唆した。2014年に就任したイエレン議長は今回の会合で退任となり、パウエル理事が2月3日からに新議長に就任する。新議長の宣誓式は2月5日に行われるが、同氏はイエレン議長の政策を一貫して支持してきたため、議長交代でも現在のFOMCによる「緩やかな利上げと金融政策の正常化」姿勢が継続してゆくと思われる。

昨年は3月、6月に利上げ、9月にバランスシート縮小開始決定、12月に三回目の利上げを決定した。2017年12月の前回会合では、メンバーの予想利上げ回数中央値は3回とされ、金利水準見通しも従前の見通しを踏襲した。インフレ目標には届いていないものの、緩やかな利上げは昨年同様に実行されてゆくと市場は見ており、3月の利上げはほぼ確実視、6月の利上げも6割以上の確率とみている。
ただ、インフレ見通しをやや強めたことで、利上げ回数が3回から4回になる可能性、あるいは引き上げ水準が上方修正される可能性も多少、市場に意識させたと受け止める見方も出ており、今回の声明文は「ハト派的」ではあるが、12月よりは「ややタカ派に傾斜した可能性」もあるため、2日夜の米雇用統計が予想より強く、その後の米経済指標が良好で、株高基調が継続なら、現在上昇基調にある米長期債利回りが先取り的な上昇を継続してゆく可能性も考えて置く必要があるかもしれない。

31日夜に発表された米民間雇用サービス会社オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)による1月の全米民間雇用報告では、非農業部門の民間就業者数が前月比23万4000人増となり、市場予想の18万5000人増を上回った。市場の反応はFOMC前だったために限定的だったが、雇用拡大基調が力強いため、2月2日の米労働省雇用統計(民間、官公労総合)も良好となると思われる。
米労働省の雇用統計に対する市場の事前予想は、非農業部門就業者数が+18.3万人(前月は+14.8万人)、平均時給伸び率は+0.3%(前月は+0.3%)、失業率は4.1%で前月と変わらずと見込まれている。

経済情報会社MNIインディケーターズが発表した1月のシカゴPMIは65.7となり、前月の67.8から低下したが市場予想の64.1を上回り、1月としては2011年以来7年ぶりの高水準となった。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、31日夜の上昇で先行スパンを上抜いた。遅行スパンも好転している。このため、先行スパン好転中は高値を試しやすいとみるが、26日以降の持合いを上抜く程の上昇へ進むに雇用統計からの上昇反応が必要と思われる。先行スパンから転落の場合は持ち合い圏下部の108円台前中半への下落に注意する。108.50円割れから続落の場合は遅行スパン悪化中の安値試しを優先し、27日安値割れへ向かう可能性を警戒する。

60分足の相対力指数は1日未明に70ポイント台に到達したが、その後は60ポイント前後まで下げている。特に弱気逆行型は形成されていないので、50ポイントを上回るうちはもう一度70ポイントに迫る可能性があるが、50ポイント割れから続落の場合、およびいったん1日未明高値を更新しても指数のピークが低下する逆行が見られる場合は下落再開注意とする。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、26日未明安値を前回のサイクルボトム、26日昼高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとみてきたが、30日夜安値では新たな底割れを回避し、26日未明安値から4日を経過しているので、ひとまず30日夜安値を直近のサイクルボトムと仮定し、2日の日中から5日にかけての間へ高値を形成しやすい時間帯にあると考える。ただし、すでに26日昼高値からも4日目に入っているので、108.50円割れからは弱気サイクル入りの可能性が警戒される。30日夜安値割れの場合は新たな弱気サイクル入りとして次のボトム形成期となる2日夜から6日への下落期へ向かうと想定する。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)目先、108.50円前後を支持線、1日未明高値109.44円を抵抗線とみておく。
(2)109.44円を超える場合は109.50円台から26日高値109.77円にかけての上昇を想定する。26日高値前後では戻り売りにつかまりやすいとみるが、109円台を維持するか、一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとする。
(3)109円割れから続落の場合は108.50円前後試しとその後の反発を想定する。108.50円割れから続落の場合は弱気サイクル入りの可能性も踏まえて30日夜安値108.41円試しとし、底割れからは108円前後試し、さらに9月8日安値試しへ向かう可能性を考える。(了)<9:50執筆>

【当面の主な予定】

2/1(木)
18:30 (英) 1月製造業PMI (12月 56.3、予想 56.5)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.3万件、予想 23.5万件)
22:30 (米) 10-12月期非農業部門労働生産性速報 前期比年率 (前期 +3.0%、予想 +1.2%)
22:30 (米) 10-12月期単位労働コスト速報 前期比年率 (前期 -0.2%、予想 +1.0%)
24:00 (米) 1月ISM製造業景況指数 (12月 59.7、予想 58.7)
24:00 (米) 12月建設支出 前月比 (11月 +0.8%、予想 +0.4%)

2/2(金)
06:45 (NZ) 12月住宅建設許可 前月比 (11月 +10.8%)
09:30 (豪) 10-12月期生産者物価指数 前年比 (前期 +1.6%)
19:00 (欧) 12月生産者物価指数 前年比 (11月 +2.8%、予想 +2.4%)
22:30 (米) 1月非農業部門雇用者数 (12月 +14.8万人、予想 +16.5万人)
22:30 (米) 1月失業率 (12月 4.1%、予想 4.1%)
22:30 (米) 1月平均時給  前月比 (12月 +0.3%、予想 +0.3%)
24:00 (米) 1月ミシガン大消費者信頼感指数確報 (速報 94.4、予想 95.3)
29:30 (米)ウイリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演

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