【概況】
1月17日に110.19円まで下落したところは110円割れを時期尚早として戻していたが、18日高値111.48円から下落、19日安値110.49円から23日未明へ小反発し、日銀黒田総裁会見直後に23日未明高値を試したが高値更新には至らず、23日夜の下落で19日安値を割り込んだ。
1月23日未明の上昇は米連邦政府のつなぎ予算切れによる政府機関一部閉鎖問題に対して上下院が妥協、2月8日までのつなぎ予算を可決したことでのドル買い戻しであった。
23日昼には日銀金融政策決定会合があり、金融政策を現状維持とされたことで昼過ぎに110.549円まで下落、15時半の黒田総裁会見で金融緩和の維持を強調したことで買い戻しが入って111.178円をつけたが、23日未明高値との小規模ダブルトップに留まったことで、かえってその後のドル売り円買いのきっかけを作ってしまった印象だ。
1月24日午前、17日安値も割り込んで年初来安値を更新する一段安となっている。
【日銀金融政策決定会合 骨子】
@金融政策の現状維持を決定
A8対1の賛成多数で金融政策の現状維持を決定
B長短金利操作、賛成8人、反対1人=片岡委員が反対
片岡委員は10年以上の金利を幅広く下げる国債買い入れを主張して反対した
C資産買い入れ方針は全員一致で賛成
D国債買い入れペース年80兆円増を目処とすることを維持
E景気は緩やかに拡大しているとして基調判断を据え置き
F2%物価目標達成時期については19年度頃で据え置き
GCPI見通し
2017年度 +0.8%(前回から据え置き)
2018年度 (+1.4%、同)
2019年度 (+1.8%、同)
H実質GDP見通し
2017年度 +1.9%(同)
2018年度 +1.4%(同)
2019年度 +0.7%(同)
I物価は下振れリスクの方が大きい
J貸出増加支援などの1年間延長を―全員一致で決定
日銀は2017年に現状維持を続け、新たな手立てを採らなかった。今年1月9日、長期・超長期国債の買いオペを減額したことで金融緩和姿勢が後退するのではないかとの懸念が発生したが、これまでも何度か減額されたことはあり、また政府の国債発行状況とこれまでの買い入れ規模を踏まえれば、目標とする80兆円規模から実質は60兆円規模まで縮小せざるを得ない状況にあると思われる。これに対して黒田総裁は会見で「国債購入減額はあくまで市場の需給要因によるもの」「減額が先行きの金融政策スタンスを示すことはない」と述べたが、国債大量買入れによる量的金融緩和の規模拡大は限界に来ているのだろう。
日銀金融政策発表、総裁会見はかえってその後の円高進行への逆トリガーとなってしまった印象だ。
【パウエル米連銀議長誕生へ】
米議会上院は23日、米連銀の次期議長にパウエル現理事を充てる人事を承認した。パウエル氏は2012年に米連銀理事に就任、以降はイエレン現議長の金融政策を一貫して支持してきた。今後も従来のFOMCスタンスを維持するものと思われる。パウエル氏は64歳、プリンストン大、ジョージタウン大院卒の弁護士。投資銀行で活躍し共和党のパパ・ブッシュ政権で財務次官を務めた。1997年から2005年までは巨大投資ファンド「カーライル」の共同経営者だった。
【ユーロ上昇、ドル指数3年振り安値】
ユーロドルは24日午前、1.230ドル台を回復して1月17日高値1.2322ドルに迫っている。18日にかけては独大連立協議不調を警戒して下げたが、21日に独SPDが協議参加を党大会で承認したためにユーロへのリスクが後退、ドル安の先導役として上昇を再開している。
25日にはECB理事会があるが、前回に量的緩和規模を縮小したばかりなので、今回の金融政策は現状維持と思われる。金融政策のスタンスを変更する際のサインとしてのフォワードガイダンスのありかた変更が前回は議論されている。市場は年内に一段と量的緩和規模が縮小され、来年の利上げ再開見通しが示されるプロセスに入っているとみている。今回、目立った発言や声明がなくても、1月までの流れに逆行しなければユーロ高基調が継続しやすいとみる。
ドルのメジャー通貨に対する加重平均であるドル指数は23日に90.05ポイントまで下落、年初来、昨年1月以降の安値を更新し、2014年6月以来の低水準となった。9月安値からいったん戻した後の一段安であり、下落の長期化が進んでいる。ユーロが上昇基調を継続し、ブレクジット問題も落ち着いてポンドも上昇基調、ドル円は2016年12月天井からの下落一服で昨年春以降は持合い相場ではあるが、11月から下落し始めており、持ち合いの下限を試し、あるいは持ち合い下放れへ進みかねない状況になってきているのではないかと思われる。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では、23日未明と午後の反発では先行スパンを一時的に上抜いたが続かず、23日夜の下落で転落した。遅行スパンも悪化しており、両スパン悪化中は安値試しへ進むとみる。強気回復にはまず遅行スパン好転が必要だと思われる。
60分足の相対力指数は23日未明高値と午後高値のダブルトップに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行となって下落した。30ポイント割れまで下げているが、新たな強気逆行は見られていないので20ポイント台序盤への下降が考えられる。また反発してもその後の下落で安値を更新し、指数が強気逆行型を示すような展開になるかもしれない。
概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、19日午後安値と22日朝安値をダブル底として上昇期に入ったが、23日未明と午後の高値をダブルトップとして新たな弱気サイクルに入ったと思われる。今回の安値形成期を25日朝から29日朝にかけての間と仮定し、24日夜にかけてはまだ一段安警戒が優先されるとみる。強気回復には111円台をもう一度回復するような材料を伴った反騰が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.00円を支持線、110.50円を抵抗線とみておく。
(2)110.50円以下での推移中は110円割れからの一段安警戒とし、109.50円前後への下落を想定する。109.50円割れは目先の突っ込み警戒、反発注意とするが、110.20円以下で終了なら25日も続落しやすいとみる。
(3)110.50円台回復、維持へと戻す場合は110.70円台への反発とその後の反落を想定する。
(4)週後半のイベントを下落で通過なら108円台を目指す一段安へ進みやすい状況とみる。(了)<9:45執筆>
【当面の主な予定】
1/24(水)
17:30 (独) 1月製造業PMI・速報 (12月 63.3、予想 63.0)
17:30 (独) 1月サービス業PMI・速報 (12月 55.8、予想 55.5)
18:00 (欧) 1月製造業PMI・速報 (12月 60.6、予想 60.3)
18:00 (欧) 1月サービス業PMI・速報 (12月 56.6、予想 56.4)
23:00 (米) 11月住宅価格指数 前月比 (10月 +0.5%、予想 +0.4%)
24:00 (米) 12月中古住宅販売件数 (11月 581万件、予想 569万件)
1/25(木)
18:00 (独) 1月Ifo景況感指数 (12月 117.2、予想 117.0)
21:45 (欧) 欧州中銀金融政策発表
22:30 (欧)ドラギ総裁会見
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.0万件、予想 23.5万件)
24:00 (米) 12月新築住宅販売件数 (11月 73.3万件、予想 67.5万件)
24:00 (米) 12月新築住宅販売件数 前月比 (11月 +17.5%、予想 -7.9%)
オーダー/ポジション状況
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