ドル円 110円割れ回避から反騰高値切り上げに(1/18)

米連銀が18日未明に発表した12地区の連銀景況報告(ベージュブック)では、2017年11月末から12月末までの米景気は拡大が続いた。

ドル円 110円割れ回避から反騰高値切り上げに(1/18)

【概況】

1月8日高値113.38円からの下落が続き、1月11日からは戻り高値を切り下げ、その後に一段安するパターンを繰り返して17日午前には110.19円まで下落した。110円割れを時期尚早として下げ渋り、17日夜は16日の戻り高値を上抜けない程度で110円台後半の持合いに止まっていたが、18日未明の米地区連銀報告(ベージュブック)が景気拡大と労働需給のひっ迫感を示す強い内容だったことから米国株が大幅に上昇、NYダウが300ドル以上の急騰で26000ドル台へ乗せたことからリスクオン心理が急拡大し、ドル円も16日高値を上抜いて111.30円台まで戻した。

【米地区連銀景況報告(ベージュブック)】

米連銀が18日未明に発表した12地区の連銀景況報告(ベージュブック)では、2017年11月末から12月末までの米景気は拡大が続いた。12地区連銀のうち11地区が景気は「緩慢から緩やかに拡大」とし、特にダラス地区は景気が力強いと報告した。また昨年末に成立した大型減税等の税制改革については景気拡大への貢献となる楽観論が広がっていることが示された。
ダラス連銀やシカゴ連銀は「多くの企業は税制改革が企業活動の追い風になると楽観している」と指摘した。
また労働市場の需給逼迫が続き、大半の地区で企業が熟練労働者の手当てに腐心しているという報告もあった。
ベージュブックは1月30日から31日に開催される次回FOMCの討議資料となる。

米ダラス連邦準備銀行のカプラン総裁は、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)のインタビューで、「今年の利上げは3回が基本と強く確信している」、米景気が過熱する恐れがある場合は「それ以上の可能性もある」と指摘した。また米経済が今年は力強くなり、労働市場の需給が逼迫して失業率が年末までに4%を下回るとの予想を示した。
カブラン総裁は今年のFOMCにおける投票権は無いが、概ねFOMCの基本姿勢に沿っていると思われる。FOMCは昨年12月会合で、メンバーによる2018年の利上げ回数予想中央値を3回とした。市場は1月現状維持と予想、3月会合での利上げを80%以上の確率とみている。

NYダウは前日比322.79ドル高の2万6115.65ドルへ上昇、史上最高値を更新した。ナスダック総合指数も74.59ポイント高の7298.28へ上昇、史上最高値を更新した。ベージュブックの内容が強かったことと株高により、米長期債は下落、長期金利は上昇したため、日米長期金利差が拡大した。株高によるリスクオン心理も加わってドル円は早朝に急騰した。

【60分足一目均衡表・RSI・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・RSI・サイクル分析】

ひとまず110円割れを回避して戻している。
1月8日からの下落期においては、11日高値111.87円、12日高値111.69円、16日高値110.98円と戻り高値は切り下がってきた。17日の日中は16日高値に届かなかったが18日早朝への上昇で16日高値を上抜いた。またこれまでの戻り幅は0.60円前後だったが、今回は1円以上の反騰幅となった。
高値切り下がり型を崩して上昇したため、8日からの下落がひとまず一服、リバウンドを試す状況に入っているが、問題はこれが長続きするのかどうか、週を跨いで数日間の反発へと伸びるかどうかというところだろう。
前回のリバウンド期は1月2日夜から1月8日まで4営業日だった。急反発の反動も出やすいが、111円から110円台後半まででしっかりして18日未明急騰前安値110.60円を割り込まないうちは高値更新余地ありとみる。

60分足の一目均衡表では18日未明の反騰により遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いた。111.30円以下での推移が続く場合は明朝にかけて遅行スパンが悪化してくる可能性があるが、高値を切り上げてゆけば遅行スパン好転状態が19日へ継続しやすくなる。このため遅行スパン好転中は高値試しを優先し、遅行スパン悪化から弱気転換とみる。

60分足の相対力指数は16日未明安値と17日午前安値への下落期において指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて上昇、60ポイントを超えてきている。50ポイント以上を維持するか、わずかに割り込んでも早々に回復する内は上昇継続性ありとみる。ただし70ポイント以上での推移が続き、高値更新に対して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られ始める場合は弱気転換注意とする。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、16日未明安値と17日午前安値をダブル底として戻しに入った可能性がある。110.58円割れに至らない内は上昇継続余地ありとし、18日夜へ続伸の場合は19日から23日にかけての間へと上昇期が伸びる可能性を考える。ただし、110.58円割れへと失速する場合は弱気転換注意として17日午前安値試しとし、底割れからは直前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる22日朝から24日朝への下落を想定する。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)111.00円から110.90円までを支持帯、111.50円を戻り抵抗とみておく。
(2)111円台維持か、一時的に割り込んでも回復する内は上昇余地ありとし、111.50円超えの場合は12日夜高値111.69円、11日高値111.87円試しへ向かうとみるが、111.69円以上は反落警戒圏とみる。
(3)110.90円割れから回復できなくなる場合は18日未明安値110.60円試しとし、110.60円割れからは弱気転換注意として17日午前安値試しを想定する。さらに底割れの場合はもう一段安への下落開始として109円割れを目指すとみる。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

1/18(木)
13:30 (日) 11月鉱工業生産・確報  前月比 (速報 +0.6%
16:00 (中) 10-12月期GDP 前期比 (前期 +1.7%、予想 +1.7%)
16:00 (中) 10-12月期GDP 前年比 (前期 +6.8%、予想 +6.7%)
16:00 (中) 12月鉱工業生産 前年比 (11月 +6.1%、予想 +6.1%)
16:00 (中) 12月小売売上高 前年比 (11月 +10.2%、予想 +10.2%)
17:15 バイトマン独連銀総裁、講演 
20:00 (ト) トルコ中銀政策金利発表 (現行 8.00%、予想 据え置き)
22:30 (米) 12月住宅着工件数 (11月 129.7万件、予想 127.0万件)
22:30 (米) 12月建設許可件数 (11月 129.8万件、予想 129.5万件)
22:30 (米) 1月フィラデルフィア連銀製造業指数 (12月 26.2、予想 23.0)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 26.1万件、予想 25.0万件)
未定 (南) SARB政策金利発表 (現行 6.75%、予想 据え置き)

1/19(金)
24:00 (米) 1月ミシガン大消費者信頼感指数速報 (12月 95.9、予想 97.0)

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