レンジは抜け出せずか(週報2016年3月第2週)

FX予想と振り返り「イベントは多いがレンジは抜け出せずか」

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レンジは抜け出せずか(週報2016年3月第2週)

前週の主要レート(週間レンジ)

      始値    高値    安値     終値

ドル円   113.83   114.45   112.23   113.83
ユーロ円  125.11   127.29    123.06    126.82
ユーロドル  1.0991   1.1218   1.0822   1.1148
日経平均  17024.64   17026.25  16494.80  16938.87

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

3月7日(月)

週明けの市場は全般に調整の動きが目立ちました。ドル円は金曜の雇用統計後も114円台が重たい展開が続いたことに加え、週明けの日経平均株価も売りが先行したことからじり安の展開、値幅は狭かったものの113円台後半から前半へと水準を切り下げました。いっぽうユーロは、欧州市場に入り先週後半の調整から対ドル、対円で売られる流れを見せたものの、NY市場に入ると一転買い戻し、朝方の水準を上抜け雇用統計後の高値圏へと水準を切り上げ、若干調整が入ってのクローズとなりました。

3月8日(火)

東京市場では朝から株安がリードし円買いが先行、直近の安値圏を下回るとストップと仕掛けも加わり112.75レベルの安値を付けました。上海総合も大幅安となる中で中国の貿易収支は輸出が予想を超える減少となり、リスクオフを想起させながらもNY市場まではもみあいを継続しました。NY市場では中国の輸出減少が蒸し返される形でリスクオフの動きから原油が大幅安、ドル円も112.43レベルの安値をつけやや戻してのクローズとなりました。いっぽうユーロドルは様子見の展開が続き、1.10台前半での小動き。NY市場でドル円同様一時的にユーロ買い(ドル売り)の動きは見られたものの、元の水準へ戻しての引け。結果、ユーロ円はドル円の影響が強く123.85レベルへと水準を切り下げる動きを見せました。

3月9日(水)

欧州市場序盤までは前日の流れを受け、円買いの動きとユーロのポジション調整が続きました。いっぽう株価は東京前場こそ安寄りしたものの、その後はじりじりと水準を上げ、為替市場とのかい離が見られましたが、NY市場に入りWTIが大幅高の動きとなり、それまで為替市場のみリスクオフが継続していた動きに一気に調整が入り、ドル円は112円台前半から113円台半ばまで上昇、ユーロ円はユーロドルの買い戻しも重なり123円間近の水準から125円近くまで急騰後、若干の調整を経てのクローズとなりました。

3月10日(木)

ドル円は東京市場では前日の流れを受けて円安が先行、昼過ぎには113.81レベルまで上値を広げました。いっぽう、ユーロはECB理事会を前に対ドルではややドル買いの動きとなっていましたが、基本的には様子見のまま欧州市場入りとなりました。注目のECB理事会は、市場の思惑を超える追加緩和が実施され、マイナス金利幅の拡大に留まらず政策金利の引き下げ、債券購入枠の拡大と打てる手を全て打った内容となり、発表直後はユーロドルが1.0822レベル、ユーロ円も123.65レベルと売り一色。しかし、その後ドラギ総裁が会見で当面の追加緩和は打ち止めと取れる発言を行ったことでユーロは急反発、対ドルで1.1218レベル、対円で126.77レベルへと急伸し、若干押しての引け。ドル円はユーロドルの乱高下に振り回されたものの、前日安値圏には到達せず、ユーロ円買いの影響が強い引けとなりました。

3月11日(金)

ECB理事会後の荒れ相場を受け東京市場では朝方こそ様子見が続いていましたが、株式市場の買いが強まる動きからドル円は円売り(ドル買い)へと舵を切りました。欧州市場序盤まではユーロドルもドル円同様にユーロ売り(ドル買い)の動きとなっていましたが、NY市場では再びユーロが対ドル、対円で買いが強まる動きへ転換、ユーロドルこそ前日高値を超えなかったものの、ユーロ円は127円台へと乗せ、引けにかけてやや調整が入っての引けとなりました。ドル円は、ユーロ円の買いもあり113円台後半で強い地合いのまま引けました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

3月14日(月)
**:** 今週より米国夏時間
**:** 日銀金融政策決定会合(〜15日)
19:00 ユーロ圏1月鉱工業生産
25:00 フランス中銀総裁講演

3月15日(火)
09:30 豪中銀金融政策決定会合(1日)議事録公表
**:** 日銀金融政策決定会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見
17:00 トルコ12月失業率
21:30 米国2月小売売上高
21:30 米国2月PPI
21:30 米国3月NY連銀製造業景況指数
23:00 米国3月NAHB住宅市場指数
29:00 米国1月対米証券投資
**:** オハイオ州予備選挙
**:** FOMC(〜16日)

3月16日(水)
06:45 NZ10〜12月期経常収支
18:30 英国2月失業率
21:30 英国財務相議会証言
21:30 米国2月CPI
21:30 米国2月住宅着工、建設許可件数
22:15 米国2月鉱工業生産
22:15 米国2月設備稼働率
23:30 米国週間原油在庫発表
27:00 FOMC結果発表
27:30 イエレンFRB議長会見

3月17日(木)
06:45 NZ10〜12月期GDP
08:50 本邦2月貿易収支
09:30 豪州2月失業率
15:30 黒田日銀総裁挨拶
17:30 スイス中銀政策金利発表
**:** 南ア中銀政策金利発表
19:00 ユーロ圏1月貿易収支
19:00 ユーロ圏2月CPI確報値
21:00 英中銀政策金利発表
21:30 米国10〜12月期経常収支
21:30 米国3月フィラデルフィア連銀製造業指数
21:30 米国新規失業保険申請件数
23:00 米国2月景気先行指数
**:** EU首脳会議(〜18日)

3月18日(金)
08:50 日銀金融政策決定会合議事(1月28・29日)要旨公表
22:00 NY連銀総裁挨拶
23:00 米国3月ミシガン大消費者信頼感指数速報値
23:30 ドイツ財務相講演
24:00 ボストン連銀総裁講演
27:00 セントルイス連銀総裁講演

今週の週間見通し

週後半はECB理事会、そしてその後のドラギ総裁発言に振り回される結果となりましたが、それでもドル円は引き続き112円台の買いと114円台の売りとに挟まれ、方向感の出にくい展開が続いています。また、長期的には日足チャートを見てもわかる通り115円台半ば(ピンクの太線)を下抜けたことで、115円台半ばが強力なレジスタンスとなるいっぽうで、2月の111円前後の2度の安値によるダブルボトム状のチャートパターンから下値にも強いサポートがある状況です。

つまり、仮に112円台から下がっても111円前後、114円を上昇しても115円台半ばと両側に壁が存在する状況下、ドル円は動きづらい地合いとなっています。そうした中で、今週は今日明日と日銀の金融政策決定会合、明日明後日とFOMCが開催され、日米双方の金融政策自体は現状維持との見方がコンセンサスとなっているものの、その後の会見で今後の見通しについて当局の思惑を探ることとなります。

ECB理事会で予想以上の追加緩和を行ったにもかかわらず、その後のドラギ総裁会見でぶち壊しになったことを踏まえると、結果発表にサプライズは無くとも一時的に振れる可能性には注意が必要です。そういった意味では、イベントを経過するまでは動きにくく、相変わらず冒頭に書いた112円台の買いと114円台の売りとに挟まれる流れは変わりそうもありません。

他にも、気にすべきイベントがいくつかありますので、列挙していきます。15日火曜にオハイオ州の米国大統領予備選挙がありますが、過去オハイオ州の予備選挙で負けて大統領になった共和党候補はゼロ、また民主党候補も過去100年間でルーズベルト、ケネディ両大統領の2名のみと、ジンクス的に注目を浴びやすい予備選挙となっています。現状では、クリントン、トランプ両候補が優勢ではあるものの、番狂わせが起きた場合には注意が必要かもしれません。

また、日柄の話となりますが、本日14日から15日にかけてはドル円でドルが売られやすい時間帯となっていて、日米両国の金融政策と予備選挙も含め、直近では堅調な株式市場を受けてややドル買いに動いていることから、そのカウンターの動きには注意が必要です。きっかけには事欠かない週前半となりますので、日柄の面でも注意が必要でしょう。

週後半には17日木曜に英中銀のMPC(金融政策決定会合)があります。ポンドは、対ドル、対円ともに、中期的な下げトレンドの中で2月下旬以降は大きく買い戻される動きとなっていて、ドルに与える影響、クロス円に与える影響と、こちらも無視できません。ただ、週が終わって振り返ってみると結局はこれまでのレンジの中での動きという展開になっていそうな気がします。今週は、113.00レベルをサポートに、114.50レベルをレジスタンスと先週からさらにレンジを縮めての見通しを立てておきます。

            ドル円(日足)チャート

            ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

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