ドル円見通し 113円に迫れず下方警戒続く(1/10)

日銀は9日10時過ぎ、10〜25年と25年超の国債買いオペオファー額を前回より100億円ずつ減額すると通告したと報じられた。それをきっかけにドル円が急落した。

ドル円見通し 113円に迫れず下方警戒続く(1/10)

【概況】

年末からの下落で1月2日夜には112.05円の安値をつけたが、112円割れ、および12月15日安値112.02円割れを回避して下げ一服となり、1月8日には113.38円まで戻した。しかし、12月21日高値113.63円には届かず、年末安の起点であった12月28日の113円台前半水準までのイッテコイで行き詰まった。
1月8日夜の下落で113円を割り込んだところは戻したものの、9日午前、日銀による長期および超長期債買い入れオペ減額通告報道から急落、112.49円まで下げた。午後にかけてはやや過剰反応だったとしていったん戻したものの、深夜には一段安となって112.36円まで下落した。深夜以降はやや戻したが10日午前は再び下落気配となっている。

【日銀の買いオペ減額、米長期金利上昇】

日銀は9日10時過ぎ、10〜25年と25年超の国債買いオペオファー額を前回より100億円ずつ減額すると通告したと報じられた。それをきっかけにドル円が急落した。1月4日の年頭あいさつで黒田総裁が金融緩和を粘り強く継続してゆくと述べたばかりのため、市場もやや不意を突かれた格好だった。今回の減額が一時的なものなのか継続的なのかは今後の推移を見定める必要がある。
日銀の買いオペ減額は米長期金利にも影響したようだ。9日の米債券市場では10年債利回りが2.546%となり、昨年3月15日以来の高水準となった。日銀が金融緩和的な政策を修正してくる可能性が出てきたことは、ECBの量的緩和が年内終了見込みであること、米連銀が今年三度の利上げを計画していることも含めて日米欧の金融緩和感がさらに後退してゆくのではないかという印象を強めた。米長期金利上昇は日米金利差再拡大で9日深夜以降のドル円反発に寄与したが、効果は限定的と思われる。

【高値切り下がり、112円前後支持線の緩やかな三角持合い】

12月6日安値111.99円、12月15日安値112.02円、1月2日安値112.05円と、ここ1か月の下値支持線は112円前後でほぼフラットである。一方の高値は12月12日深夜113.75円、12月21日高値113.63円、1月8日高値113.38円と徐々に切り下がっている。このため、現状は「支持線フラット、高値やや切り下がり型の緩やかな三角持合い」、ないしは112円から113円台中盤までのボックス型横ばい持合いという印象だ。
1月8日高値を上抜く上昇へ進めば、やや切り下がってきている高値ラインを超えてくるため、12月12日高値試し、さらにボックス圏上放れへ進む可能性があるが、8日高値を超えられないうちは支持線試し、112円割れから続落に入れば下放れによる一段安へと向かう可能性が高まってくる。
9日深夜は112円台序盤で止まったが、10日朝の戻りが鈍く、再び下落気配となっているので9日深夜安値を割り込む場合は112円試し、あるいは下放れの可能性が高まってゆくと警戒される。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、9日午前の下落で先行スパンから転落した。112.75円を上回る状況がつづけば遅行スパンが好転し、先行スパン突破試しへの上昇へ進む可能性が出てくるが、112.80円台までの推移に止まるうちは先行スパンを抵抗として一段安へ進む可能性が残った状況と思われる。9日安値割れの場合は遅行スパン悪化中の安値試し優先とみる。

60分足の相対力指数は9日午前と9日深夜の安値形成期では指数のボトムが切り上がっているため、強気逆行の気配だが、50ポイント台を上回って上昇できないうちは逆行崩れから一段安する可能性が残る。35ポイント割れからは下げ再開を疑う。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、1月2日深夜安値から5日目となる9日深夜安値でボトムを付けた可能性があるので、9日夕高値を上抜く場合は11日から15日への上昇へ進む可能性が考えられる。しかし9日深夜安値を割り込む場合、底割れによる連続サイクル入りとなり、9日午前安値ないしは9日深夜安値を基準として12日から16日にかけての下落継続となる可能性が高まる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)9日深夜安値を支持線、112.75円前後を抵抗線とみておく。
(2)9日深夜安値割れ継続の場合は112円試しとし、112円割れから続落なら111.75円から111.50円のゾーンを試す下落期入りと考える。その場合は週末にかけて下落基調が継続しやすいとみる。
(3)9日安値割れ後も、112.80円を超えてくる場合は上昇再開の可能性ありとするが、113円前後では戻り売りにつかまりやすいとみる。
強気回復には113円超えからさらに続伸して8日高値に迫る必要がある。(了)<10:00執筆>

【当面の主な予定】

1/10(水)
10:30 (中) 12月 消費者物価指数(CPI) 前年比 (11月 +1.7%、予想 +1.9%)
10:30 (中) 12月 生産者物価指数(PPI) 前年比 (10月 +5.8%、予想 +4.8%)
23:00 (米) エバンス米シカゴ連銀総裁、経済見通し発表
23:10 (米) カプラン米ダラス連銀総裁、講演
27:30 (米) ブラード米セントルイス連銀総裁、経済見通し発表

1/11(木)
09:30 (豪) 11月 小売売上高 前月比 (10月 +0.5%、予想 +0.4%)
14:00 (日) 11月 景気先行指数(CI)速報値 (10月 106.5、予想 108.6)
21:30 (欧) 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨
22:30 (米) 12月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (11月 +0.4%、予想 +0.2%)
22:30 (米) 12月 生産者物価指数(PPI) 前年比 (11月 +3.1%、予想 +3.0%)
22:30 (米) 12月 生産者物価指数(PPIコア指数) 前月比 (11月 +0.3%、予想 +0.2%)
22:30 (米) 12月 生産者物価指数(PPIコア指数) 前年比 (11月 +2.4%、予想 +2.5%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 25.0万件、予想 24.5万件)

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