トランプ大統領を巡る報道でやや神経質に(1月第二週)

当面は112円前後から113.70円前後までのレンジ相場とみておく。

トランプ大統領を巡る報道でやや神経質に(1月第二週)

【概況】

12月6日安値111.99円からの上昇、12月12日深夜に113.75円の高値を付けたが12月15日安値112.02円まで下落。12月21日への反発で113.63円まで戻すも高値更新には至らずに1月2日深夜には112.05円まで下落、112円割れ回避から戻し、4日未明のFOMC議事録公開、5日夜の米雇用統計を通過して8日夕刻には113.38円まで上昇してきた。
この様に、12月序盤からは112円前後支持線、113円台後半抵抗線での往来相場の範囲に止まっている。高値が若干切り下がっているが、112円割れを二度切り返しているので底固さもある。

上昇局面では史上最高値を連日のように更新してきた株高、欧州長期金利上昇に連鎖した米長期金利上昇により日米長期金利差が拡大したことが上昇要因とされたが、一方ではユーロ高ドル安、豪ドル高米ドル安のように、ドル全般としては年明けまでドル安が強かったため、株高と比較すればドル円の上昇は鈍いという状況が続いてきた。
週明けはユーロ高が一服してユーロドルが下落、ユーロ円も下落していることが逆にドル円の上昇にブレーキをかけている印象があるが、まだレンジ内取引から抜け出すようなきっかけに乏しいところだ。

1月5日夜に発表された米雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想の19万人増に対して14.8万人増にとどまったが、雇用拡大の目安である10万人増を上回ったこと、失業率は2000年12月の3.9%以来の低水準となる4.1%を3か月連続で維持したことから相場の方向性を決定付けるほどの動きにはならなかった。

【トランプ大統領を巡る話題】

米紙ワシントン・ポスト電子版は8日、ロシアゲート問題を担当するモラー特別検察官が数週間以内にトランプ大統領の事情聴取を行う可能性があると報じた。
米政権当局者の話として、トランプ米大統領が米連銀の副議長人選で近く決定を下す見通しだという。
トランプタワーで火災が発生、重傷者を含め数名の負傷者が出た模様。大統領の息子エリック・トランプ氏のツイートでは「トランプ・タワー屋上の冷却塔で漏電による小規模な火災があった」という。
トランプタワーの火災は8日夜だったが、週末の米雇用統計後にやや下げていた流れを切り返して1月2日以降の高値を更新してきていたドル円にとっては上昇のブレーキとなり、いったん113円を割り込む場面があった。

トランプ大統領の暴露本発行、ロシアゲート問題、トランプタワーの火災等、相変わらずトランプ氏の動向、関連報道に対して神経質にならざるを得ない状況が続いている。
米国でレーガン政権以来30年ぶりとなる大規模な税制改革、減税法案が成立したことで株高・トランプラリーは継続している。1月中にはこれも選挙公約であった1兆ドル規模の巨大インフラ整備計画も具体的な内容が出てくると思われる。ロシアゲート問題等をクリアし、減税効果とインフラ投資期待でさらに株高が盛り上がればドル円にとっては現在のレンジをブレイクしてドル高円安へ走る可能性もあるわけだが、期待の先取りがややバブルとなって株高が暴走してきたところもあるので、楽観の梯子が外れれば株安によるリスク回避へと市場心理が一挙に冷やされてドル円がレンジを下方ブレイクしてしまう可能性もあるだろう。

【中勢は12月序盤からのレンジ相場】

当面は112円前後から113.70円前後までのレンジ相場とみておく。
12月12日、21日、現状とレンジ内の高値はやや切り下がり気味での推移となっているので、12月21日高値を超えてくる場合は高値切り上がり型へと発展し、レンジの上方ブレイクとなり114円台回復へと向かう可能性が出てくると思う。112.75円以上を維持し、113円割れを切り返すうちはその可能性も維持されると思う。
112.75円割れから続落し、高値切り下がりからの下落再開となる場合は112円試し、さらに112円割れから続落ならレンジ下方ブレイクとして111円前後へ向かう可能性が高まるとみる。
週末には米消費者物価、小売売上高の発表があるので、そのあたりが次の動向への決め手になってくると思われる。逆にそれまでは決め手にやや欠く状況かもしれない。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、8日夜の下落で先行スパン上限を割り込んだが切り返しており、先行スパンを上抜いた状況を維持している。このため先行スパンを上回るうちは上昇継続、8日高値超えからの一段高へ進む可能性があるが、113円割れしてくる場合は8日夜安値割れ、先行スパンからの転落となるため弱気転換として安値試し優先の流れへ進むと思われる。その場合は再び先行スパンを上抜き返す上昇に入れないうちは一段安警戒を優先してゆく。

60分足の相対力指数は5日夜と8日昼の高値更新時では指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるため、8日高値超えへ進めないうちは8日夜安値割れからの一段安警戒がやや優先される姿と思われる。50ポイント割れの状況が続く場合は30ポイント割れへの下落を警戒する。ただし8日高値を超えるば場合は逆行破りからの一段高へ進み、70ポイント台を回復してくる可能性がある。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、8日昼高値でサイクルトップを付けて下落したと思われる。今回の安値形成期は5日から9日深夜にかけての間と想定されるため、すでに8日夜安値でボトムを付けて上昇期に入った可能性がある。このため、8日高値を上抜く場合は週の中後半で113.70円から114.00円にかけてのゾーンを試す上昇を想定する。

8日夜安値を割り込んで一段安する場合は連続的な弱気サイクル入りにより1月2日からの上昇に対する揺れ返し、イッテコイでの下落へ向かう可能性が高まると思われるので、112.75円割れからは下落期入りと仮定して112円前後試しへ向かうとみる。(了)<9:25執筆>

【当面の主な予定】

1/9(火)
16:00 (独) 11月 貿易収支 (10月 189億ユーロ、予想 +212憶ユーロ)
19:00 (欧) 11月 失業率 (10月 8.8%、予想 8.7%)
24:00 (米) カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演

1/10(水)
10:30 (中) 12月 消費者物価指数(CPI) 前年比 (11月 +1.7%、予想 +1.9%)
10:30 (中) 12月 生産者物価指数(PPI) 前年比 (10月 +5.8%、予想 +4.8%)
23:00 (米) エバンス米シカゴ連銀総裁、経済見通し発表
23:10 (米) カプラン米ダラス連銀総裁、講演
27:30 (米) ブラード米セントルイス連銀総裁、経済見通し発表

1/11(木)
09:30 (豪) 11月 小売売上高 前月比 (10月 +0.5%、予想 +0.4%)
14:00 (日) 11月 景気先行指数(CI)速報値 (10月 106.5、予想 108.6)
21:30 (欧) 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨
22:30 (米) 12月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (11月 +0.4%、予想 +0.2%)
22:30 (米) 12月 生産者物価指数(PPI) 前年比 (11月 +3.1%、予想 +3.0%)
22:30 (米) 12月 生産者物価指数(PPIコア指数) 前月比 (11月 +0.3%、予想 +0.2%)
22:30 (米) 12月 生産者物価指数(PPIコア指数) 前年比 (11月 +2.4%、予想 +2.5%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 25.0万件、予想 24.5万件)

1/12(金)
未 定 (中) 12月 貿易収支(米ドル) (11月 402.1億ドル、予想 381.5億ドル)
未 定 (中) 12月 貿易収支(人民元) (11月 2636.0億元、予想 2451.5億元)
未 定 (日) 12月 景気ウオッチャー調査-現状判断DI (11月 55.1、予想 55.2)


05:30 (米) ダドリー米NY連銀総裁、経済見通し発表
08:50 (日) 11月 国際収支・経常収支 (10月 2兆1764億円、予想 1兆8408億円)
08:50 (日) 11月 国際収支・貿易収支 (10月 4302億円、予想 3218億円)
22:30 (米) 12月 消費者物価指数(CPI) 前月比 (11月 +0.4%、予想 +0.2%)
22:30 (米) 12月 消費者物価指数(CPIコア指数) 前月比 (11月 +0.1%、予想 +0.2%)
22:30 (米) 12月 消費者物価指数(CPI) 前年比 (11月 +2.2%、予想 +2.1%)
22:30 (米) 12月 消費者物価指数(CPIコア指数) 前年比 (11月 +1.7%、予想 +1.7%)
22:30 (米) 12月 小売売上高 前月比 (11月 +0.8%、予想 +0.4%)
22:30 (米) 12月 小売売上高 除自動車 前月比 (11月 +1.0%、予想 +0.5%)
24:00 (米) 11月 企業在庫 前月比 (10月 -0.1%、予想 +0.3%)


06:15 (米) ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演

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