【概況】
12月12日高値113.75円に対して12月21日高値では113.63円に止まってダブルトップ型を形成、年末年始と続落して1月2日深夜には112.05円まで下落した。ダブルトップの谷間にある12月15日安値112.02円割れをかろうじて回避して3日は下げ渋り、4日未明のFOMC議事録公開からは新たなドル売りへ進まなかったことと、3日夜のNYダウ史上最高値更新と4日の日経平均大幅上昇を背景に4日午前には112.77円まで戻した。しかし、4日の東京市場時間では日経平均が741円高と大上昇したことと比較してドル円の反発度合は低く、かつてのアベノミクス相場における株高円安のセット的な動きとは大きくかい離した展開になってきているという印象だった。
【ユーロ高、豪ドル高、ドル円ではドル高円安】
4日夜は欧州サービス業PMI改定値が56.6となり、速報値の56.5から上方修正、英サービス業PMIが54.2となり前月の53.8から改善、予想の54.0を上回ったことなども追い風としてユーロ、ポンドが上昇、クロス円での円安に寄与した。ユーロ円は2年2か月振りの136円台を付けている。
また週末の米労働省雇用統計に対する前哨戦となるADP民間雇用報告があり12月の民間雇用は25万人増となり市場予想の19万人増を大幅に上回った。また良好だった前月の19.0万人増(18.5万人増へ下方修正)を上回ったことでドル円にとってはドル高円安要因となったことで深夜には112.86円まで上昇、1月2日の戻り高値112.78円を上回るところまで戻した。
ドルは対ユーロで下落。ユーロドルは年末からの連騰により1月2日高値1.2080ドルまで上昇した後に4日午前には1.2002ドルまで下げていたが、1.20ドル台を維持、夜間では米ADP民間雇用報告でのドル高要因も飲み込んで高値を更新、深夜には1.2088ドルまで高値を切り上げてきた。
豪ドル米ドルは5日未明には0.78657ドルまで上昇して12月序盤からの高値を更新した。日足では13日連続の陽線となっているが、NY原油が年末から一段高してから続伸しており、この日も62ドルを突破するところまで上昇したことで資源通貨高に寄与した。
この様にドルは対ユーロ、豪ドル等で下落しているものの、ドル円では上昇、総体的なドル指数は下落という構図になっている。
日経平均の大幅上昇に続き、NYダウは25000ドルを突破、史上最高値を更新しており、株高によるリスクオン心理はドル円にとっての上昇要因となっているが、日米欧の株高によりユーロ高ドル安、ユーロ高円安、ドル高円安を混在させている。
北朝鮮が平昌五輪に参加方針、米国が五輪中の軍事演習自粛、南北ホットライン復活等、当面して北朝鮮情勢の有事的な緊張感が後退するとの見方もドル円にはプラスとなっているようだが、そうしたドル高円安環境のわりにはドル円の戻りが鈍いという印象だ。このことは、ドル円が出遅れ感から上昇を加速させる可能性を意識させるものの、株高の割には頭重い印象を抱かせるため、113円台回復、続伸という流れへ進めない様だと戻り売り機運を高めることになると思われる。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では4日未明からの上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたが、5日早朝も子の状況を維持している。このため、遅行スパン好転中は戻り高値を試しやすいとみるが、新たな高値更新へ進めずに112.75円以下での推移に止まる場合は遅行スパンが悪化してくるため、下げ再開感が強まり、先行スパンの後112.50円前後へ押し込まれる可能性が懸念される。先行スパンから転落の場合は下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は1月4日の午前から深夜への高値切り上げに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行気配となっている。50ポイント以上を維持するうちは逆行型を破って上昇する余地ありとするが、50ポイント割れからは弱気逆行完成となるので下げ再開感が強まるとみる。
概ね3日から5日周期の短期サイクルでは、1月2日深夜安値で直近のサイクルボトムをつけて上昇期に入ったと思われる。今回の高値形成期は12月28日深夜高値を基準として1月4日の日中から5日深夜、長引く場合は週明け朝にかけての間と想定される。112.50円以上を維持するうちは上昇余地ありとするが、既にサイクルトップをつけて下落に転じても不思議ない時間帯のため、112.40円割れからは下げ再開とみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)112.50円を当初の支持線、4日深夜高値112.86円を抵抗とみておく。
(2)112.50円台を維持するか、一時的に割り込んでも切り返す内は上昇余地ありとし、112.86円超えの場合は113円台序盤試しを想定する。113円に迫るところは戻り売りが出やすいと注意するが、米雇用統計から上昇が加速する場合は113円台中盤まで上値目途を引き上げる。
(3)112.70円以下での推移中は下向き注意とし、112.50円割れから続落の場合はを弱気サイクル入りとして112円試しを想定する。雇用統計前段階では112円に迫るところは買い戻されやすいとみるが、雇用時計後に下落の場合は111円台後半へ下落する可能性ありとみる。また112.35円以下で終了の場合は週明けへ続落しやすいとみる。(了)<6:40執筆>
【当面の主な予定】
1月5日
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数(HICP、速報値)前年同月比 11月 1.5%、予想 1.5%
22:30 (米) 12月 非農業部門雇用者数 前月比 11月 22.8万人、予想 18.5万人
22:30 (米) 12月 失業率 11月 4.1%、予想 4.0%
22:30 (米) 12月 平均時給 前月比 11月 0.2%、予想 0.3%
22:30 (米) 11月 貿易収支 10月 -487億ドル、予想 -474億ドル
24:00 (米) 11月 製造業新規受注 前月比 10月 -0.1%、予想 1.5%
24:00 (米) 12月 ISM非製造業景況指数 11月 57.4、予想 57.4
24:15 (米)ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
26:30 (米)メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
オーダー/ポジション状況
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