【概況】
ドル円はクリスマス休場後もさほど動かず、113.25円を中心とした持ち合いに止まっている。26日早朝に113.18円の安値を付け、26日午前に113.349円まで戻し、27日朝に113.11円まで再び下げたが安値更新には至らず、27日夜は113.37円まで一時的に戻したがそれ以上へは伸びず。
先週末からクリスマス休暇ムード、また年末最終週で積極的なポジション取りに消極的となっていることもあるようだ。
【資源通貨高によるドル安とクロス円上昇での円安の交錯】
リビアの武装勢力によるパイプライン爆破テロをきっかけとしてNY原油が2年ぶりとなる60ドル台まで急騰、27日はやや調整安で下げたが高値圏を維持している。原油急騰により資源通貨高が意識され、豪ドル・米ドルは2か月振りの高値へと上昇しているほか、ニュージーランドドル、カナダドルも強い。また昨晩はユーロとポンドが深夜にかけて上昇した。このためクロス円ではユーロ円、豪ドル円等が上昇し、円安感が強まったが、それと拮抗するようにドルストレートでのドル安感もあり、メジャー通貨の加重平均であるドル指数は11月末からの下落基調を継続している。これらドルストレートでのドル高とクロス円での円安が均衡しているためにドル円は綱引きの持合いとなっているという印象だ。
12月12日深夜高値113.75円から15日安値112.02円まで下落、15日夜からの後の揺れ返しで21日には113.63円をつけたが12日深夜高値にはわずかに届かず、その後はジリ安推移となってきた。12日深夜からの下落時よりも緩い下落であり、ここ2日間は持合いに止まっているため底固いという印象もあるが、高値更新に失敗した後の下げから横ばいという意味では、持合い下放れによる下落再開リスクも意識されるところだ。
27日は米コンファレンス・ボードが12月の消費者景気信頼感指数を発表、122.1となり前月の128.6(改定値)から低下して市場予想の128.0を下回った。これはややドル安要因になったが、前月が17年ぶりの高水準だったことを踏まえればさほどのドル売り材料ということでもなかった。
年末までは28日に米週間失業保険申請件数、12月のシカゴ購買部景況指数の発表もあるが、年末ということでよほどのサプライズでない限りは反応も限定的と思われる。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)はトランプ米政権が連邦準備制度理事会(FRB)副議長候補として、コロンビア大教授のリチャード・クラリーダ氏とローレンス・リンゼー元FRB理事と面談したと報じた。両氏はブッシュ(ジュニア)政権で経済政策の要職務めたエコノミストのようだ。金融政策に対するスタンスがどの程度のものになるのかは報じられていないが、2月からはイエレン現議長に変わってパウエル理事が新議長に就任し、空席のメンバーポストも埋まってくる。12月14日未明のFOMC声明を基本として来年はスタートすると思われるが、年明けからは徐々に新たな陣容での金融政策スタンスも見え始め、市場に影響を与えてゆくことになるのではなかろうか。
60分足の一目均衡表では、25日以降が113.25円を挟んだ持合いとなっているため、先行スパンも同水準で薄く横ばいとなり、遅行スパンも実線と交錯しつつ横ばいという状況にある。この間のレンジが113.11円から113.37円のため、レンジを上抜けてさらに続伸し始める場合は両スパン好転が意識されてやや上昇再開的な動きで21日高値113.63円を目指す可能性があるが、113.50円近辺まで戻しても113.25円前後まで失速する場合はレンジを上抜けきれずに押し返されたという印象になり、持合い下放れへ転じる可能性も残る。強気回復には113.50円超え、その後も113.40円以上で推移するような上昇が必要と思われる。113.11円割れからは両スパン悪化が意識されるため下げ再開として112円台後半への下落が想定される。新たなドル売り材料やリスク回避要因発生の場合は薄商いの中での急落という可能性もある点に注意したい。
60分足の相対力指数は相場が持ち合いのため40ポイント前後から60ポイント前後までで往来しており、方向感に欠ける。60ポイントを超えて続伸し始める場合は上昇再開感、40ポイント割れから続落なら下落再開感が強まると思われる。
概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、12月21日高値を前回のサイクルトップとして下落してきた。26日朝安値(またはFXレートでは25日午前安値)で直近のサイクルボトムをつけたが、その後は持合い範囲での推移となっている。113.10円割れへと下落する場合は持合い下放れによる弱気サイクル入りとして29日から年明けへの下落が想定される。113.40円超えの場合は強気サイクル入りの可能性を優先するが113.50円前後での戻り売りも警戒される。
以上を踏まえれば、年内持合い継続の可能性をやや優先して113.00円から113.50円前後での小動きを想定し、113.50円超えから上昇継続なら21日高値113.63円試しとその前後からの反落警戒、113.10円割れからは一段安開始として112円台後半試しというイメージで考える。(了)<6:30執筆>
【当面の主な予定】
12月28日
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合 主な意見の公表(12月20-21日開催分)
08:50 (日) 11月鉱工業生産・速報値 (10月 +0.5%、予想 +0.5%)
18:00 (欧) ECB経済報告
22:30 (米) 11月卸売在庫 前月比 (10月 -0.5%、予想 +0.3%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.5万件、予想 24.0万件)
23:45 (米) 12月シカゴ購買部協会景気指数 (11月 63.9、予想 62.0)
12月29日
11:00 (日) 東京株式市場大納会
オーダー/ポジション状況
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