ドル円見通し 112円台を維持、変化の攻防(12/15)

12月14日夜、欧州中銀ECBは金融政策を現状維持とした。前回会合で決定した毎月の資産購入額を2018年1月から300億ユーロに半減させて来年9月まで継続することを再確認した。

ドル円見通し 112円台を維持、変化の攻防(12/15)

【概況】

12月12日深夜に113.75円まで上昇し、10月28日未明以降の高値を更新していたのだが、13日昼に米アラバマ州上院補選での民主党勝利を嫌気して下落、11日夜安値を割り込み、さらに14日未明にはFOMCに先立って続落、FOMCの利上げ決定と2018年利上げ見通しについては予想通りとして一段安、14日早朝には112.46円まで下落した。
14日の日中はFOMC直後の売りも一巡して落ち着いたが、戻りは夕刻の112.88円止まりで113円台を回復できず、深夜からは欧米株安、ユーロ安円高等を背景に一段安となり、15日未明には112.06円まで下げた。15日朝時点では112円割れはひとまず回避している。

【FOMC、ECB理事会、米税制改革法案】

12月14日未明、米連銀FOMCは政策金利を0.25%引き上げ、年1.25〜1.50%としたが、メンバーによる2018年の利上げ想定回数の中央値は3回のまま据え置かれ、2018年、2019年の金利水準予想も9月と変わらなかったため、市場は米連銀の利上げペースは加速しないと受け止めドル安反応となった。今年三度目の利上げ決定はドル高材料ではあるが、それを見越して上昇してきたため、知ったら終い、イベント通過でドル売り円買いとなった。

12月14日夜、欧州中銀ECBは金融政策を現状維持とした。前回会合で決定した毎月の資産購入額を2018年1月から300億ユーロに半減させて来年9月まで継続することを再確認した。また主要政策金利は0%、上限の貸出金利が0.25%、下限の預入金利はマイナス0.40%で維持され、2016年3月以降の過去最低水準を維持した。

また経済見通しでは、ユーロ圏の消費者物価上昇率予想を2018年1.4%(前回1.2%)、2019年を1.5%(同1.5%)、2020年は1.7%とされ、やや上方修正してきた。成長率見通しについても2018年を2.3%(同1.8%)、2019年が1.9%(同1.7%)、2020年を1.7%とし、これも上方修正した。
金利等据え置きは想定内とし、物価と成長率見通しをやや上方修正したことを受けて発表当初はユーロが上昇したのだが、買い気は続かず早々に反落した。ユーロ円で急激な円高反応となったため、ドル円においても円高ドル安圧力となった。

14日のNYダウは24672.48ドルまで上昇して史上最高値を更新したが、米税制改革法案の年内成立が難しいのではないかとの見方や高値警戒感から反落し、終値ベースでは76.77ドル安と下落した。日経平均が12日から3日間続落し、14日は欧米株下落となったため、株安リスクからの円高反応も見られた。
ただし、米行政管理予算局(OMB)のマルバニー長官がCNBCとのインタビューにて「法案が予定通り進んだ場合、早ければ19日、20日に上下両院で採決が行われる可能性がある」との見方を示しており、年内成立の可能性もまだあるだろう。

【三尊天井、またはダブルトップの懸念】

11月27日からの上昇は12月12日深夜高値113.75円でひとまず一巡、反落している。強弱分岐点の26日移動平均も再び割り込みつつある。
仮にこのまま下落が継続する場合、11月6日高値と12月12日高値によるダブルトップ、ないしは11月6日高値を頭、10月6日高値と12月12日高値を両肩とする三尊天井型が形成される可能性がある。12月12日高値を上抜く反騰ならこれらの懸念が払拭されるが、112円割れへ下げる場合は11月27日安値110.84円試しまで当面の下値目処が切り下がり、安値更新の場合は三尊ないしはダブルトップ型が完成となるため、今後の展開が注目される。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、13日昼からの下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。その後のFOMC、ECB理事会等を経て下落継続しているため、両スパン悪化が続いている。15日未明安値割れ回避でやや戻せば深夜以降には遅行スパンが好転してくる可能性があるが、安値更新へ進む場合は週明け以降へ好転の機会が先送りされやすくなる。遅行スパン悪化中は安値試しを優先、遅行スパン好転なら先行スパン突破試しへの上昇を想定するが、先行スパンを上抜き返して強気回復するには113円超えへと上昇する必要があり、ハードルも高そうだ。

60分足の相対力指数は14日未明安値と15日未明安値への一段安において、指数のボトムが切り上がる強気逆行気配となっている。50ポイント超えてくれば逆行完成として上昇再開の可能性が強まるが、50ポイント超えへ進めない内は逆行の連続も含め、安値試しが続く可能性がある。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、12月11日夜安値を底割れしたことによる新たな弱気サイクル入りとして、次の底形成期となる14日夜から18日にかけての間への下落が想定された。15日未明安値割れ回避で14日夕高値112.88円を超えてくる場合はひとまず強気サイクル入りとして次の高値形成期となる15日深夜から19日深夜にかけての間への上昇へ進むとみるが、14日夕高値を超えられない内は15日夜、週明けへの一段安余地が残る。

以上を踏まえ、15日の日中から16日朝にかけてのポイントを示す。
(1)12月15日未明安値112.06円を支持線、112.60円を抵抗線としておく。
(2)112.60円を下回る内は安値更新余地ありとし、15日未明安値割れからは111.50円前後試しを想定する。また112.25円以下で終了の場合は週明けも安値を試しやすいとみる。
(3)112.60円超えの場合は14日夕高値112.88円試しとみる。高値更新できないうちは112.50円割れからの下げ再開注意とするが、高値更新の場合は強気サイクル入りとして113円台序盤への上昇を想定する。また112.75円以上を維持して終了の場合は週明けも高値を試しやすいとみる。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

12月15日
22:30 (米) 12月NY連銀製造業景況指数 (11月 19.4、予想 18.0)
23:15 (米) 11月鉱工業生産 前月比 (10月 +0.9%、予想 +0.3%)
23:15 (米) 11月設備稼働率 (10月 77.0%、予想 77.2%)

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