ドル高基調に冷や水、仕切り直しか(週報12月第一週)

先週のドル/円相場は、ややドル高・円安。週足は4週間ぶりの陽線引け。週のザラ場ベースでは一時112.87円まで値を上げて、直近の戻り高値を更新する局面も観測されていた。

ドル高基調に冷や水、仕切り直しか(週報12月第一週)

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先週のドル/円相場は、ややドル高・円安。週足は4週間ぶりの陽線引け。週のザラ場ベースでは一時112.87円まで値を上げて、直近の戻り高値を更新する局面も観測されていた。

ドル/円は前週末のNYクローズとほぼ同レベルの111.45-50円レベルで寄り付いたのち、じり安推移。週間安値である110.84円まで値を下げた。しかし、ドル安高傾向は長く続かず、基調が反転すると、今度は週末にかけて週間高値である112.87円まで一気に上昇している。

そのままNYのクローズに入るかと思われた終盤になり、ABCニュースがロシア・ゲート事件について、「虚偽供述を認めたフリン前大統領補佐官が、トランプ氏自身が大統領就任前にロシア側と接触するよう指示したと証言する意向を持っている」と報じたことが政権不安を喚起させると、一気にドル安・円高に。112円後半から111円半ばへと短時間で1円を超える下げを記録した。結局、週末NYは目先ボトムから小戻した112.10円レベルで取引を終え、越週となっている。

一方、週間を通した主な材料のひとつは、先に挙げた「ロシア・ゲート」をめぐるものだが、それ以外ではまず「北朝鮮情勢」。27日に、共同通信が「北がミサイル発射準備か、電波信号を捕捉」と報じるなか、29日未明に「北朝鮮は実際のミサイル発射」に動いている。そののち国連安保理出席者、各国要人による非難コメントが相次いだほか、「米税制改革」をめぐる様々な動きもマーケットの波乱要因になっていた感も否めない。
なお、そうしたなか、仮想通貨であるビットコインが、ドル建て価格において初の1万ドルの大台乗せが観測されたことなども、金融市場で話題に。

<< 今週の見通し >>

テクニカルにも、日柄的にもドル高有利と見られ、実際にドルが堅調推移をたどるなか、先週末のNY終盤に冷や水が浴びせられ、ドル高基調が一気に萎んでいる。たとえば、テクニカルで見た場合、前々週のNYクローズで下回っていた移動平均の52週線ならびに、週足・一目均衡表の雲の上限が位置する112.30-40円を、先週は週末NYの途中まで維持していたものの、結局NYクローズでは維持することが出来なかった。
もちろん、だからといって「ドルの下値リスクが再燃している」−−といった様相までには至っていないが、113円を一気に超えて115円に迫るようなドルの上値追いは、取り敢えず仕切り直しになった感を否めないかもしれない。

テクニカルに見た場合、前述したように週足ベースでは移動平均の52週線ならびに、週足・一目均衡表の雲の上限を下回って大引けたうえ、フィボナッチでは、11月高値114.74円を起点とした下げ幅の半値(50.0%)戻しにあたる112.80円レベルで、ドルの上値を抑えられた格好にある。ちなみに、本日の早朝、時間外取引で112.90円台をつけてはいるが、薄商いのなか「キチンとつけた」とは言えないだけに、今後の動静を見極めたいところだ。
それに対するサポートは、先週末に記録したドル安値も近い111円半ばの攻防が注視されており、割り込むようだと先週安値の110.84円がターゲットに。

一方、材料的に見た場合、週末8日に発表される11月の雇用統計を中心に重要な米経済指標の発表が相次ぐ予定となっている。当然、米雇用統計の数字は要注意だが、「よほどの数字にでもならないかぎり、12月FOMCで利上げは実施される」との見方が有力で、そうした意味では影響があっても一時的、限られたものに留まる可能性も否定出来ない。
ただ、それら以外の要因である、先週からの継続案件「ロシア・ゲート疑惑捜査」や「米税制改革の意見集約、一本化をめぐる動き」「北朝鮮情勢」などの動静如何によっては、マーケットの波乱要因となりかねないだろう。

そんな今週のドル/円予想レンジは、111.00-114.00円。ドル高・円安については、週足ベース・一目均衡表の雲の上限などが位置し、週末クローズで超えられなかった112.30-40円が最初の抵抗。抜ければ、本日の早朝時間外に記録した113円手前がターゲットとなり、抜ければ113円台回復が現実のものに。
対するドル安・円高方向は、先週末に記録したドル安値も近い111円半ばの攻防が注視されており、割り込むようだと先週安値の110.84円がターゲットに。(了)

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