ドル円見通し ドル持ち直しでジリ高続く(11/29)

28日夜の米経済指標が良好だったこと、パウエル次期FRB議長の米上院公聴会証言、米税制改革法案の上院予算委員会可決等を材料にドルが戻しに入ったため

ドル円見通し ドル持ち直しでジリ高続く(11/29)

【概況】

11月23日未明のFOMC議事録公開から23日午前に111.06円まで下落、感謝祭祝日中をジリ高で戻し、週明け27日朝には111.69円を付けたが27日夜へ一段安となり、111円割れとなる110.84円まで下げた。28日の日中は111円割れに対する突っ込み警戒感からやや戻していたが111.50円には届かない程度にとどまっていた。
28日夜の米経済指標が良好だったこと、パウエル次期FRB議長の米上院公聴会証言、米税制改革法案の上院予算委員会可決等を材料にドルが戻しに入ったためドル円も29日早朝には111.64円をつけて27日朝高値に到達した。

9月のS&P/ケースシラー住宅価格指数は前月比+6.19%となり、前月の5.92%(5.82%へ若干下方修正)、市場予想の6.04%を上回った。
11月の米消費者信頼感指数は129.5となり、前月の125.9(126.2へ上方修正)、市場予想の124.0を上回った。前日の米新築住宅販売件数が予想以上に良好だったことも併せて米経済指標の強さがドル高を助長した。

【米連銀次期議長、パウエル理事の議会証言、米税制改革法案】

米連銀(FRB)の次期議長に選任されているパウエルFRB理事が28日の上院銀行委員会指名承認公聴会に出席した。同理事は「米景気の持続回復への最善策は緩やかな利上げ継続である」「(年内あと1回の利上げについて)12月の金融政策会合まで経済情勢見極める」が「環境は整ってきている」と述べた。イエレン現議長による緩やかな利上げと金融政策正常化路線を踏襲することと、12月FOMCでの利上げを示唆したと市場は受け止めてドル高要因となった。

米上院予算委員会は28日、税制改革修正法案を賛成12、反対11の僅差で可決した。これにより11月30日の本会議で可決される見通しとなり、トランプ政権の減税実現に前進した。法案には連邦法人税を現行の35%から2019年以降は20%に引き下げることや、医療保険制度改革(オバマケア)の加入義務をなくすことが含まれる。

パウエル理事の議会証言、米経済指標良好さ、税制改革法案の上院予算委員会可決を好感してNYダウは史上最高値を更新した。またドル指数は反発、ユーロが下げ、ここ数日下落してきたドルの反発感が強まった。

【北朝鮮、弾道ミサイル発射】

北朝鮮は29日午前3時17分頃、弾道ミサイル1発を発射した。日米韓当局の情報によるとミサイルの高度は約4500キロに達し、約960キロ飛行して青森県西方約250キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。大陸間弾道ミサイル(ICBM)をロフテッド軌道で発射したものであり、多弾頭型の可能性が指摘されている。またロフテッド軌道による高度は過去最高記録となり、通常軌道による発射なら米国本土に迫る潜在能力を示したことになる。今のところ市場の反応は限定的であり、有事リスクの際に買われるゴールドはさほど反応せず、パウエル理事証言等によるドル高基調からやや下落して終了している。ドル円も有事の円買い戻し的な動きは見られず、28日未明からのジリ高基調を維持している。
北朝鮮問題も、現時点では米朝の軍事衝突となるリアリズムが後退しており、9月15日以来2か月半ぶりのミサイル発射事件ではあったが、市場もやや食傷気味というところだろうか。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、29日未明への上昇により遅行スパンは好転、先行スパンを上抜いた。このため、28日未明安値で目先の底を付けて戻りを試す流れとなっている印象だ。先行スパンを上回る状況が続くうちは上昇余地ありとし、弱気転換は両スパンがそろって悪化するところからとみる。

60分足の相対力指数は27日深夜の下落時に30ポイントを割り込んでから切り返している。23日安値から28日未明へ安値を更新する間、指数は安値を切り上げる強気逆行型を示した。27日朝へ上昇時では60ポイント台序盤が指数の戻り抵抗となっているので、今回も60ポイント台前半を抵抗とし、50ポイント割れから続落し始める場合は下げ再開を疑う。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、11月23日午前安値を前回のサイクルボトム、27日朝高値を同サイクルトップとして下落していたが、27日朝高値へ迫ってきているため、前回ボトムから3日目となる28日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと考える。
今回のトップ形成期は30日朝から12月4日午前にかけての間と想定されるので、27日朝高値を上抜く場合は112円前後試しへの上昇を想定するが、112円前後は反落注意とみる。またサイクルトップ形成は短縮されやすいため、27日朝高値前後までの上昇から反落して111.10円割れしてくる場合はダブルトップ型からの弱気転換注意として28日未明安値試しとし、底割れからは新たな下落期入りとして次の安値形成期となる1日未明から5日朝への下落と110円試しを想定する。(了)<9:45執筆>

【当面の主な予定】

11月29日
16:00 (日) 中曽日銀副総裁、講演
22:30 (米) ダドリー米NY連銀総裁、講演
22:30 (米) 7-9月期GDP 改定値 前期比年率 (速報 +3.0%、予想 +3.2%)
22:30 (米) 7-9月期個人消費・改定値 前期比年率 (速報 +2.4%、予想 +2.5%)
22:30 (米) 7-9月期GDPデフレーター・改定値 前期比年率 (+2.2%、予想 +2.2%) 
24:00 (米) イエレンFRB議長、上下両院合同経済委員会証言
24:00 (米) 10月中古住宅販売保留件数指数 前月比 (9月 +0.0%、予想 +1.0%)

11月30日
石油輸出国機構(OPEC)総会(ウィーン)
(独) キリスト教民主同盟(CDU)、社会民主党 (SPD) 、キリスト教社会同盟 (CSU) 党首会談

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