ドル円見通し 株高に追従せず慎重な推移(11/22)

11月6日高値114.73円で7月11日高値114.49円を上抜いたところから下落基調へ転じ、11月20日朝に111.88円の安値をつけた。

ドル円見通し 株高に追従せず慎重な推移(11/22)

【概況】

11月6日高値114.73円で7月11日高値114.49円を上抜いたところから下落基調へ転じ、11月20日朝に111.88円の安値をつけた。その後は突っ込み警戒、23日未明のFOMC議事録公開前のポジション調整でやや戻したが、21日未明高値112.70円の後は高値更新できず、21日夜には112.17円まで下げる場面もあった。
戻り高値を切り上げられなかったことでやや頭重い状況に入っている印象だが、23日未明のFOMC議事録公開前のため、それまではやや慎重な展開になると思われる。
11月6日高値から10日未明安値への下落が1.64円幅、14日高値まで0.82円幅と戻し、20日早朝安値までの下落が2.02円幅、21日未明への戻りが0.83円幅となっている。10日未明への下落を一段目、20日朝への下落を二段目とすれば、一段目と二段目は下落幅、その後の戻り幅と類似性があるようだ。

【23日未明、FOMC議事録公開、米長期金利動向】

23日未明のFOMC議事録公開では12月会合での利上げ姿勢が示されると思われる。市場は今年三度目となる追加利上げはほぼ確実とみているが、問題は12月会合で2018年の利上げペースが加速するのかどうかを注目している。そのヒントが議事録から読み取れれば大きな反応となる可能性があるが、不明瞭なら12月会合まで待つことになる。

昨年は12月の再利上げ決定までは米長期金利が上昇、ドル高となり、ドル円は大幅上昇して12月15日に天井をつけた。決定後は材料消化として下落=円高に転じた。昨年は11月9日にトランプ大統領誕生という金融市場全体にとって強烈なサプライズもあったため、12月への上昇にはトランプラリーが加わって大上昇に発展した。しかし今回はそうしたサプライズ的な状況は無く、逆にトランプ政権による税制改革実現性への懸念、ロシアゲート問題、ドイツ政局不安、北朝鮮有事リスクの継続と様々な重石があるため、米債券市場では2年債利回りが上昇基調を鮮明にしているものの10年債利回り、30年債利回りは10月後半から下降基調で推移している。米長期債利回りの低下傾向がほぼフラットな推移が続く日本10年債利回りとの格差を縮小させ、ドル売り円買い圧力が掛かっている。これが楽観的な上昇を続ける株高に対してドル円が追従できない状況を生じさせている。
この米長期金利動向が議事録公開からどうなるのかにより、ドル円が反騰に入るのか、一段安へ進むのかも決まってくるのではないかと思われる。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、20日夜の反発で遅行スパンが好転したが21日夜の下落で再び悪化している。21日未明の高値では先行スパンをわずかに上抜けたが、その後は先行スパンの上限に張り付いていた。深夜の反落からは先行スパンに潜り込んだ状況だったが、22日午前には薄くなった先行スパンから転落し始めている。このため21日未明高値で戻り一巡、新たな下落期に入る可能性が警戒されるところだが、先行スパンが薄いために上抜き返しやすい状況でもあるので、112.50円超えから続伸なら戻り高値切り上げを試しにかかると思われる。21日深夜安値割れからは先行スパンからの転落による下落期入りとし、再び先行スパンを上抜き返せない内は一段安警戒とする。

60分足の相対力指数は、16日夜から18日未明、20日朝にかけて強気逆行を見せて上昇、21日未明には70ポイントに到達したが、その後の下落で50ポイント割れとなっている。このため60ポイント台回復へと上昇できない内は一段安警戒がやや優先されるとみる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成のサイクルでは、16日夕高値を前回のサイクルトップ、20日朝安値を同サイクルボトムとして上昇した。今回の高値形成期は20日夜からは22日夜にかけての間と想定されるため、まだ上昇再開余地のある時間帯だが、ボトム形成がやや短縮気味だったために既に21日未明高値でサイクルトップをつけてしまった可能性がある。21日深夜安値112.17円割れ回避か、一時的に割り込んでも112.50円超えへ進めばサイクルトップ形成の継続とみるが、112円割れへと続落の場合は弱気サイクル入りと仮定して次のボトム形成期となる23日未明から27日午前にかけての間へ下落してゆくと想定する。

21日深夜安値割れを回避して21日未明高値を上抜く場合、21日未明への上昇波動並として113円前後が上値目処と思われる。そこは11月6日高値と14日戻り高値を結んだ抵抗線とも重なる。
20日朝安値割れの場合、21日未明への戻り幅の倍返しで111.05円前後が当初の下値目処と考える。さらに下落継続の場合は14日から20日への下落波動並として110.69円前後を目指す可能性が出てくると考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、112.17円を支持線、112.50円前後を抵抗線とみておく。
(2)112.17円を上回る内は上昇余地ありとし、112.50円超えから続伸なら21日未明高値112.71円試し、さらに高値更新なら113円前後試しとみる。113円前後は抵抗感が強いと思われるが、議事録公開後に急騰反応となる場合は抵抗線突破により113.50円前後まで上値目処が切り上がる可能性ありとする。
(3)112.17円割れを弱気転換注意、112円割れから続落なら弱気サイクル入りの可能性を優先して20日朝安値111.88円試しとし、底割れならまず111円前後試し、さらに下落継続の場合は110円台中後半試しへ向かうとみる。(了)<9:55執筆>

【当面の主な予定】

11月22日
22:30 (米) 10月耐久財受注 前月比 (9月 +2.2%、予想 +0.3%)
22:30 (米) 10月耐久財受注 除輸送用機器 前月比 (9月 +0.7%、予想 +0.4%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.9万件、予想 24.0万件)
24:00 (米) 11月ミシガン大学消費者信頼感指数確報 (速報 97.8 予想 98.0)

11月23日
04:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公開(10月31-11月1日分)
    (日) 東京市場休場(勤労感謝の日)
    (米) NY市場休場(感謝祭)

未定 (南ア)南ア準備銀行(SARB)政策金利発表 (現行 6.75%、予想 据え置き)
16:00 (独) 7-9月期GDP・改定値 前期比 (速報 +0.8%、予想 +0.8%)
16:00 (独) 7-9月期GDP・改定値 前年比 (速報 +2.8%、予想 +2.8%)
17:30 (独) 11月製造業PMI速報値 (10月 60.6、予想 60.3)
17:30 (独) 11月サービス業PMI速報値 (10月 54.7、予想 55.0)
18:00 (欧) ユーロ圏11月製造業PMI速報値 (10月 58.5、予想 58.2)
18:00 (欧) ユーロ圏11月サービス業PMI速報値 (10月 55.0、予想 55.2)
18:30 (英) 7-9月期GDP改定値 前期比 (速報 +0.4%、予想 +0.4%)
18:30 (英) 7-9月期GDP改定値 前年比 (速報 +1.5%、予想 +1.5%)
21:30 (欧) 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨公開(10月26日分)

11月24日
    (米) NY株式・債券市場、短縮取引(感謝祭翌日)

オーダー/ポジション状況

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