ドル円 10/16-27上昇に対する半値押しで戻す(11/1)

米経済指標が良好だったことは米連銀の12月利上げ判断に利すると市場は受け止めた。

ドル円 10/16-27上昇に対する半値押しで戻す(11/1)

<概況>

10月23日朝に114.10円、25日夕に114.24円、27日夜に114.45円と、高値を切り上げてきたが、27日夜からはドル高一服となって反落、30日深夜からさらに続落、31日夕刻には112.95円の安値をつけた。10月16日から27日への上昇幅が2.80円幅。半値押しは113.04円だが、週末からの下落幅は1.49円安であり、ちょうど半値押しを実現したところから切り返したという印象だ。
31日はユーロがジリ高、英ポンドが11月2日のBOE金融政策発表前の買い戻しに上昇したため欧州通貨に対してはドルがやや下落したものの、米経済指標が強かったことでドル円では円安ドル高反応となった。

S&P/ケース・シラーの米20都市住宅価格指数8月は前年比+5.9%で市場予想と一致したが前月の+5.8%は上回った。前月比は+0.5%で市場予想の+0.4%上昇を上回った。
米MNIインディケーターズが発表した10月のシカゴPMIは66.2で前月の65.2から上昇、市場予想の61.0を上回った。
米コンファレンスボードが発表した10月の消費者信頼感指数は125.9となり、2000年12月以来の高水準で市場予想の121.5、前月の120.6を上回った。
米労働省が発表した7〜9月期の雇用コスト指数は前期比+0.7%となり、前期の+0.5%を上回った。賃金・給与は+0.7%上昇(前期+0.5%)、各種手当は+0.8%(同+0.6%)となり、いずれも前期を上回った。
これら米経済指標が良好だったことは米連銀の12月利上げ判断に利すると市場は受け止めた。

【ADP、FOMC声明、議長人事、トランプ大統領動静】

米連邦公開市場委員会(FOMC)は31日から1日にかけての金融政策会合に入った。2日未明に声明発表。市場は政策金利等現状維持とみているが、12月利上げ姿勢がより確実になるかどうかがポイントになる。2015年12月、2016年12月と、いずれも利上げが決定され、翌年の利上げ見通しが示される段階までドル高円安が進み、材料消化後には円高ドル安へと転じてきた。ここ2年の傾向からすれば、今年も12月のFOMCにかけてドル高円安が継続する可能性もあるわけだ。

今週後半は11月1日にADP民間雇用報告、2日未明にFOMC声明、2日中にはFRB議長人事、3日に米労働省雇用統計本番、トランプ大統領アジア歴訪出発と重要イベントが続く。ロシアゲート疑惑でトランプ選挙陣営から3人が起訴されたことも今後の展開への不安定さを意識させる。逆に一報では米予算成立と大型減税の実現へ向けた動きが進むことへの期待もある。今晩からは一喜一憂が続くと波乱に備えたい。特に米FRBの次期議長人事について、先週まではタカ派とされるテイラー教授が有力とされ、週末からパウエル理事が有力とされている。メディアはトランプ大統領の当選を見誤ったこともあるので、市場にとってはサプライズ的なこともあり得ると注意する。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、31日夕刻安値からの反騰で遅行スパンが好転した。1日未明では先行スパンの上限に到達していたが、1日午前の上昇で先行スパンから上抜けてきている。このため、遅行スパン好転中は先行スパンの上部=113.50円以上を支持帯とし、高値試しを優先的に考える。遅行スパン悪化からは弱気転換注意、先行スパン転落からは新たな下落サイクル入りとみる。

60分足の相対力指数は31日未明安値から31日夕刻へと相場が安値を更新したのに対して指数が安値を切り上げる強気逆行を示し、その後の上昇で60ポイント台へ戻している。55ポイント前後までを支持線とし、70ポイント超えへ進みやすいとみる。50ポイント割れへ失速するところからは弱気転換注意とする。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成のサイクルでは、10月26日午後安値を前回のサイクルボトム、27日夜高値を同サイクルトップとして今回の安値形成期を31日午後から11月2日にかけての間とし、早ければ31日の日中に安値をつけて反騰入りの可能性があるとした。31日深夜の上昇で113.50円を超えてきたため、31日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとみる。今回の高値形成期は1日夕刻から3日夜にかけての間と想定する。長引く場合は週明け6日朝まで高値形成が続く可能性もある点に注意する。113.50円前後を支持線とし、上回る内は高値試しを優先し、113.50円割れからは弱気転換注意、113.30円割れからは下げ再開を疑い、31日安値試しを想定する。

以上を含めて当面のポイントを示す。
(1)113.50円を支持線とし、114円台回復を試すとみる。114円乗せではいったん戻り売りも出やすいとみるが、113.50円以上を維持する内は1日夜、2日にかけて上昇継続しやすいと仮定し、27日高値114.45円から114.75円にかけてのゾーンを試すとみる。
(2)113.50円割れから続落なら弱気注意、113.30円割れからは下げ再開と仮定して1日深夜から2日にかけての下落で31日安値112.95円試しを想定する。113円割れはいったん買い戻しも入るとみるが113.30円以下での推移が続く場合はさらに続落しやすいとみる。
(3)23日から27日までは高値も安値も切り上げ型だった。31日への下落で安値を切り下げたため、今回の上昇で27日高値を上抜けない内は、戻り高値切り下がりから一段安へ進むリスクが残る。27日高値を超える場合は9月8日からの上昇基調継続として3月10日高値115.50円を目指す可能性が出てくる。もちろん、そのためには週後半の主要イベントを円安ドル高で通過することが必要だ。(了)<9:35執筆>

【当面の主な予定】

11月1日
    (日) 特別国会召集、衆参両院本会議で首相指名選挙
10:45 (中) 10月財新製造業PMI(前月 51、予想 51.0)
14:00 (日) 中曽日銀副総裁 講演
21:15 (米) 10月ADP全国雇用者数 (前月 +13.5万人、予想 +19.0万人)
23:00 (米) 10月ISMM製造業景況指数 (前月 60.8、予想 59.3)
23:00 (米) 9月建設支出 前月比 (前月 +0.5%、予想 -0.3%)

11月2日
03:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)金融政策発表 (予想 政策金利を1.00-1.25%に据え置き)
20:30 (米) 10月チャレンジャー人員削減予定数
21:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)政策金利発表 (現行 0.25%、予想 0.5%に引き上げ)
21:00 (英) 英中銀 資産購入枠 (現行 4350億ポンド、予想 据え置き)
21:30 (米) 7-9月期非農業部門労働生産性 速報値 
21:30 (米) 7-9月期単位労働コスト・速報値 前期比年率 (前期 +1.5%、予想 +2.1%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.3万件、予想 23.5万件)
21:30 (米) パウエルFRB理事 講演

11月3日
日本 東京市場休場(文化の日)

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