ドル円 114円到達から急落イベント前調整(10/31)

下落の背景は週末まで大幅下落していたユーロ安が一服、ポンド等も戻してドル高に一服感が出たこと。

ドル円 114円到達から急落イベント前調整(10/31)

<概況>

10月23日朝に総選挙での与党勝利を受けて114.10円まで上昇、いったん24日未明に113.24円まで下落した。25日夜に114.24円まで高値を更新したが、その後に113.34円まで下落した。27日夜には114.45円までさらに高値を更新したが失速し、30日昼には113.52円まで下落していた。ここまでは高値更新後の反落で1円弱の反動安を入れつつ高値更新を繰り返すパターンであったが、昨晩深夜のドル安により深夜には113.02円まで下落、31日午前には113円を割り込む状況となっている。


下落の背景は週末まで大幅下落していたユーロ安が一服、ポンド等も戻してドル高に一服感が出たこと。米連銀の次期議長人事でタカ派的なテイラー教授ではなくイエレン議長に近いパウエル理事の可能性が高まったこと、ロシアゲート問題で当時のトランプ選対メンバーが起訴された事などが背景。

31日からはFOMCも始まり2日未明には声明文が出される。そこで12月利上げが確実になるのかどうかが注目点だが、曖昧な表現に留まるようならドル安反応になりかねない。11月3日には米雇用統計の発表があるが、前月がハリケーンの影響で非農業部門就業者数がマイナス3.3万人だったことへの揺れ返しでかなり良い数字になることも予想されているため、FOMC声明が利上げ姿勢の上で雇用統計が良ければドル全面高の可能性もある。また3日からはトランプ大統領がアジア歴訪に出発し、その直前には次期FRB議長も決まる。これら重要イベントを控えている状況のため、先週下げていたユーロは戻しやすく、上昇してきたドル円は下げやすい調整的な局面にあると思われる。

米商務省が発表した9月の個人消費支出は前月比1.0%増となり、市場予想の0.8%増を上回った。また2009年8月の1.3%増以来約8年ぶりの伸びとなった。南部のハリケーン被害後の復興需要も影響しているとみられる。PCE物価指数は前年同月比1.6%上昇、コア指数は1.3%上昇だったが、米連銀が目指している2%には大きく届いていない。市場反応は限定的だった。

昨年の米大統領選挙でトランプ氏勝利のためにロシアが協力したといういわゆるロシアゲート問題で、モラー特別検察官はトランプ陣営の選対本部議長だったポール・マナフォート氏ら2人を起訴した。2人は既にFBIに出頭している。この問題での起訴は初めてだが、トランプ政権への打撃としてドル売り要因となった。

米ニューヨーク・タイムズ電子版は米FRBの次期議長人事でパウエルFRB理事が指名される見通しと報じた。先週まではイエレン議長よりもタカ派とされるテイラー氏(スタンフォード大教授)が有力との共和党上院議員等からの見通しも出ていたが、週末にブルームバーグがパウエル理事有利と報道し、週末深夜からのドル安に寄与したが、週明けもパウエル氏有利な状況が続いている。

【三点天井型】

10月23日朝、25日、27日夜と三度、明確に114円台に乗せ、高値も切り上げ、高値後の反動安は1円弱というパターンが続いていたが、三度目の27日夜高値からの急落では1円を超える下落となった。またそれぞれの高値形成後の安値である24日、26日の安値を結んだ支持線に対し、30日昼段階では割り込んでいなかったものの、深夜の下落で支持線割れとなった。このため、チャートパターとしては60分足レベルにおいて高値切り上がり型の三点天井の様相となった。

日足では27日の上ヒゲ陰線に続いて30日が連続陰線となっているため、31日も陰線となれば3本連続陰線=三羽烏(または黒三兵)となり、下落感が強まる。
加えて、10月26日への下落では支持線として機能した26日移動平均が112.82円に来ており、同線を支持線として維持できるかどうかも試される局面となってきた。同線を一時的に割り込んでも翌日に切り返すなら支持線維持として次の上昇へ進む可能性が高まるが、同線割れから続落する場合は戻り一巡からの下落期入りとなる可能性が高まると思われる。一連のイベントを弱気して同線割れへ進む場合は7月11日高値からの下落再開時、3月10日高値からの下落再開時等と同様の下落期に入る可能性も懸念される。逆にここを踏みとどまって高値更新なら115円台への上昇期待が膨らむところだ。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、27日夜から30日にかけての下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。さらに続落したために両スパン悪化状態が続いている。113円割れを切り返してジリ高推移か反騰なら遅行スパンは好転してくるが、113円割れから続落基調で進む場合は遅行好転の機会も夜間以降へと先送りされる可能性が高まる。遅行スパン悪化中は一段安警戒を優先する。戻り抵抗は26本基準線前後までとみる。遅行スパン好転からは強気転換注意として先行スパン突破挑戦へ向かうと考える。

60分足の相対力指数は30日深夜の一段安により20ポイント台前半まで下落した。その後は30ポイント台を回復しているが、40ポイント台回復へと反騰できない内は一段安警戒とみる。ただし、安値更新の場合はす数が30日深夜から強気逆行型になる可能性がある点に注意する。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成のサイクルでは、10月26日安値を直近のサイクルボトムとして反騰したが、27日夜高値でサイクルトップをつけて下落期に入ったと思われる。今回の安値形成期は31日午後から11月2日にかけての間と想定する。早ければ31日の日中に安値をつけて反騰入りの可能性があるが、113.50円超えへ進めない内は一段安警戒を優先する。

以上を含めて当面のポイントを示す。
(1)113.25円から113.50円までを抵抗とし、113.50円超えへ進めない内は一段安注意とし、113.00円以下での推移が続く場合は112.50円前後試しを想定する。112.75円以下は突っ込み警戒、反騰注意圏とみるが、113.25円以下で明朝を迎える場合は1日の日中へ安値を試しやすいとみる。
(2)113.50円前後へ戻す場合はいったん戻り売りにつかまりやすいとみるが、113.50円台を維持し始める場合は強気転換の可能性を優先して31日深夜、1日にかけての上昇で113.75円前後試しへ向かう可能性ありとみる。(了)<10:20執筆>

【当面の主な予定】

【当面の主な予定】
10月31日
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合結果公表
08:30 (日) 9月失業率、9月有効求人倍率
08:50 (日) 9月鉱工業生産・速報値
10:00 (中) 10月製造業PMI 国家統計局 (前月52.4、予想 52.1)
10:00 (中) 10月非製造業PMI 国家統計局 (前月 55.4)
15:30 (日) 黒田日銀総裁 記者会見
19:00 (欧) ユーロ圏7-9月期GDP速報値 前期比 (前期 +0.6%、予想 +0.5%)
19:00 (欧) ユーロ圏7-9月期GDP速報値 前年比 (前期 +2.3%、予想 +2.3%)
19:00 (欧) ユーロ圏10月消費者物価指数(HICPP)速報 前年比 (前月 +1.5%、予想 +1.5%)
21:30 (米) 7-9月期雇用コスト指数 前期比 (前期 +0.5%、予想 +0.7%)
22:00 (米) 8月S&P/ケースシラー住宅価格指数 前年比 (前月 +5.8%、予想 +5.9%)
22:45 (米) 10月シカゴPMI 購買部協会景気指数 (前月 65.2、予想 60.0)
23:00 (米) 10月消費者信頼感指数 (前月 119.8、予想 121.0)

11月1日
14:00 (日) 中曽日銀副総裁 講演
21:15 (米) 10月ADP全国雇用者数 (前月 +13.5万人、予想 +19.0万人)
23:00 (米) 10月ISMM製造業景況指数 (前月 60.8、予想 59.3)
23:00 (米) 9月建設支出 前月比 (前月 +0.5%、予想 -0.3%)

11月2日
03:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)金融政策発表 (予想 政策金利を1.00-1.25%に据え置き)

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