ドル円 10月以降三度目の114円維持に失敗(10/26)

21時半に発表された9月の米耐久財受注は全体で前月比+2.2%となり、市場予想の+1.0%、前月の+2.0%を上回った。

ドル円 10月以降三度目の114円維持に失敗(10/26)

<概況>

10月22日の総選挙における政権与党勝利を好感して23日朝に114.10円の高値を付けたが、目先の材料消化として反落、24日未明には113.24円をつけた。イベント通過による利食い売りにやや勢いがついた印象だったが、売り物一巡から上昇再開となり、25日夕刻には114.24円まで上昇、23日の高値を上抜いた。
しかし深夜には113.48円まで反落、その後も114円台を回復できずに113円台中後半に止まっている。

21時半に発表された9月の米耐久財受注は全体で前月比+2.2%となり、市場予想の+1.0%、前月の+2.0%を上回った。輸送機を除くコア受注も前月比+0.7%となり、市場予想の+0.4%、前月の-0.2%(+0.4%へ上方修正)を上回った。強い数字を好感してドル高反応も見られたが、それよりもNYダウが112ドル安と反落したこと、26日にECB理事会を控える中でユーロが25日未明高値を超えてから一段高に走ったこと、豪ドルの下落や利上げが見送られたカナダドル下落等の資源、新興国通貨市場の混乱等を背景にドル円は失速した。

【トランプ大統領のアジア歴訪と北朝鮮情勢】

北朝鮮情勢も円高要因となった。米CNNテレビ電子版は25日、北朝鮮外務省高官のリ・ヨンピル氏との平壌におけるインタビューで、「太平洋上での水爆実験」を示唆した9月の李容浩外相の発言について「文字通りとして受け取るべきだ」と述べた旨を報じた。

トランプ大統領は11月3日からアジア歴訪に出発する。その前には米連銀の次期議長を決定するとしている。有力候補はテイラー教授と連日報じられており、イエレン議長や議長に近いパウエル理事よりもタカ派とされているため、この日の米長期債利回り上昇要因となった。10年債利回りは3月以来の高水準、30年債利回りも5か月振りの高水準へ上昇する場面があった。米長期金利上昇は円安要因だが、それよりも北朝鮮情勢が気になるというのが昨晩のドル円の心理状況だった印象だ。

トランプ大統領は11月5日に訪日、7日には韓国国会で北朝鮮問題を含めて演説を行い、8日には訪中して習近平主席との米朝首脳会談もある。
中国共産党大会は終了したが、北朝鮮は開催にあたって祝電を送り、これまでのような中国に対するあてつけの軍事行動を起こさなかった。今回のトランプ大統領訪中に対して習首席の面子をつぶすような軍事行動に出るかどうかは疑問符もつくが、なにがしかの行動、発言によるけん制を示す可能性もある。

10月26日にはECB理事会、27日には米GDP統計の発表もある。来週末には米雇用統計もある。相場を動かす要因、イベントも続くため、ドル円もここまで大幅上昇してきたことに対するポジション調整の動きに入りやすいかもしれない。

NYダウは前日に史上最高値を更新したがこの日は100ドルを超える下落となり、大上昇してきた流れについても高値警戒感、波乱期に入る可能性も懸念される。同様に選挙情勢を背景として連騰してきた日経平均についても波乱が警戒される。

9月末から10月序盤にかけて113円台を何度かつけたが維持しきれずに下落に転じた経緯があるが、今回の114円台到達についても同様の高値圏持合いとなり、114円を試してはまた下げつつ、重要イベントへ反応してゆく展開になってゆくかもしれない。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、25日夕刻高値からの下落で遅行スパンが悪化している。先行スパンは薄くなっており、26日未明、朝には割り込んでいるので、このまま転落へ向かう可能性が懸念されるが、上抜き返しやすくもある。先行スパンは114円手前まで切り上がってくるので、114円台回復からは先行スパン突破による上昇期待を優先するが、113.50円割れからは先行スパン転落による下落の加速警戒と思われる。

60分足の相対力指数は25日朝への下落で39ポイントまで下げている。23日高値形成時と25日夕高値形成時では指数の山が切り下がる弱気逆行となって下落しているため、まだ一段安しやすい状況と思われる。強気回復には65ポイント超え、その後も55ポイント以上を維持する展開が必要で、そうならないうちは30ポイント前後試しへの下落警戒とみる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、23日朝高値を前回のサイクルトップ、24日未明安値を同サイクルボトムとして上昇していた。25日夜への反落により24日未明安値からの上昇分の半値以上を削っているので、25日夕高値をやや短縮されたサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、次の安値形成期となる27日朝から31日朝にかけての間へ下落しやすい状況と思われる。ただし前回のサイクルトップ、ボトムの形成が短縮されていたこともあるので、今回もやや短めにボトムを付けて反騰入りとなる可能性がある点にも注意する。114円台回復へ進めないうちはサイクルボトム形成への下落警戒を優先し、114円超えからは新たな強気サイクル入りと114円台後半試しを想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)113.50円を上回るうちは上昇再開余地ありとするが、113.50円割れから続落し始める場合は113円前後試しへの下落を想定する。113円以下は突っ込み警戒、反騰注意とするが、ECB金融政策、北朝鮮情勢、トランプ大統領発言などに対する反応で113円割れから続落する可能性も多少ありとし、その場合は112円台後半試しを想定する。
(2)113.75円超えからは114円試しとし、114円乗せからは新たな強気サイクル入りの可能性を踏まえて25日高値超えへ向かいやすくなるとみる。高値更新なら114.50円前後試しとするが、その後は反落注意とみる。(了)<10:00執筆>

【当面の主な予定】

10月26日
20:45 (欧) 欧州中銀 ECB理事会、政策金利発表
21:30 (欧) ドラギECB総裁 記者会見
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.2万件、予想 23.5万件) )
23:00 (米) 9月中古住宅販売保留件数指数 前月比 (8月 -2.6%、予想 +1.0%)

10月27日
08:30 (日) 9月全国消費者物価指数
08:30 (日) 10月東京都区部消費者物価指数
21:30 (米) 7-9月期GDP・速報値 前期比年率 (前期 +3.1%、予想 +2.6%)
21:30 (米) 7-9月期個人消費・速報値 前期比年率 (前期 +3.3%、予想 +2.1%)
21:30 (米) 7-9月期GDPデフレーター・速報値 前期比年率 (前期 +1.0%、予想 +1.8%)
21:30 (米) 7-9月期コアPCEデフレーター・速報値 前期比年率 (前期 +0.9%、予想 +1.3%)
23:00 (米) 10月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値  (速報 101.1、予想 101.1) 

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