ドル円見通し下げ一巡後の戻りも勢いつかず(10/18)

ドル指数でみれドルは10月6日の米雇用統計直後に付けた高値から下落し、16日安値から若干戻した程度にとどまっている。

ドル円見通し下げ一巡後の戻りも勢いつかず(10/18)

<概況・ポイント>

10月6日の米雇用統計発表後の高値113.43円から下落に転じ、先週末には111.68円まで安値を切り下げた。週明け16日も午後には111.651円まで安値を更新して深夜まで安値圏にあったが、17日未明から反騰して112円台を回復した。
17日の日中は112.30円前後を抵抗として上げ渋っていたが、深夜に112.479円まで上昇した。しかし112.50円超え、11日昼高値112.58円と12日未明高値112.56円による戻りのダブルトップ超えには至らずに112.12円まで失速、その後は横ばいにとどまっている。上昇基調に入るためには下落途中の戻り高値を切り上げてゆく必要があるが、そのためにはまず11日昼高値を上抜く必要となるが現時点では実現できていない。11日高値を上抜く場合は16日安値を目先の底としたリバウンド期に入る印象が強まるが、11日高値を超えられないうちは戻り高値切り下がりからの安値更新へと一段安しかねない状況が続く。

【ユーロ安を中心としたドル高】

ドル指数でみれドルは10月6日の米雇用統計直後に付けた高値から下落し、16日安値から若干戻した程度にとどまっている。米長期金利もやや低下傾向にあり、強力なドル高が進行し始めたという印象には至っていないが、ユーロ安が目立っており、ユーロ安ドル高によるドル高円安効果がドル円をやや押し上げている。ただしユーロ安円高でもあるため、ドル円としての上昇もやや限定的といえる。
先のドイツ総選挙におけるメルケル首相政権与党の議席減少に続き、スペインノカタルーニャ地方独立問題が発生、その後もドイツ地方選挙での政権与党議席減、オーストリア総選挙での極右政党台頭など、EU統合発展への懸念を助長する政治情勢が続いていることがユーロ安の心理的要因になっているようだ。ただこれまでのECBおよびドラギ総裁の金融政策姿勢からすれば、秋の金融緩和政策見直しによる出口戦略への進展が年初からのユーロ高を支えてきたのであり、ユーロが弱いというよりもユーロの大幅上昇に一服感が出ている状況として下落している印象だ。ユーロが反転上昇に入れば、ドル円にとってもユーロ高ドル安からの円高要因へと転じやすいと思われる。

【米連銀議長人事】

米連銀の次期FRB議長人事をめぐる思惑もドル高要因となっている。トランプ大統領はアジア歴訪前に次期議長候補を指名する予定と報じられたが、これまでのところケビン・ウォーシュ元FRB理事、スタンフォード大学ジョン・テーラー教授、パウエルFRB理事、コーン米国家経済会議委員長、イエレン現議長等の名前が上がっている。テーラー教授が有力ではないかとの見方が強まっているようだが、その場合はイエレン議長よりもタカ派として先行きの利上げペースが加速するのではないかともみられている。トランプ大統領は19日にイエレン議長と面談する予定とも報じられている。
議長人選決定によってはドル高がさらに進む可能性もあるが、現時点では米長期金利はやや低下傾向にあり、材料としてはまだしばらく様子を見守るというところだろう。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では16日深夜安値からの反発で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いている。17日夜高値から小反落しているために遅行スパンは実線と交錯しつつあり、悪化しやすくなっているが、先行スパンを上回った状況は維持されている。先行スパンは18日夜にかけての間は112.07円から111.97円のゾーンにある。112円を割り込んで切り返せなくなる場合は先行スパンからの転落開始として下落再開注意とみる。

60分足の相対力指数は17日夜の上昇で70ポイントに迫ったが到達せず、その後は50ポイントまで切り下がっている。50ポイントを一時的に割り込んでも回復するうちは上昇継続余地ありとみるが、45ポイント割れへと下落し、その後も50ポイント台を回復してこないようなら下げ再開を疑う。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、10日深夜安値から4日目となる16日夕安値と16日深夜安値を小ダブル底として強気サイクル入りした。今回の高値形成期は12日未明高値を基準として17日午前から19日朝にかけての間と想定される。すでに4日を経過しているので、17日夜高値でサイクルトップを付けた可能性があるが、112円台を維持するうちは112.30円超えから上昇再開、高値更新を試す余地ありとみる。112円割れから続落の場合は弱気サイクル入りと仮定して次の安値形成期となる19日の日中から23日への下落を想定する。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)112円台を維持するか、一時的に111.90円台後半へ下げても112円を回復するうちは112.30円超えからの上昇再開余地ありとし、17日夜高値を超える場合は112.50円から112.75円にかけてのゾーンを試すとみるが、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。
(2)112円割れを切り返せずに続落し始める場合は弱気サイクル入りと仮定し、16日安値111.65円試しへ向かう可能性が高まるとみる。112円以下での推移が続く場合は18日夜、19日にかけて安値を試しやすいとみる。16日安値を割り込む場合は111円試しまで下値目途が切り下がると考える。(了)<9:30執筆>

【当面の主な予定】

10月18日
シンガポール市場休場(ディーパバリ)
    (中) 第19回中国共産党大会開幕
10:30 (日) 桜井日銀審議委員講演
17:10 (欧) ドラギECB総裁講演
21:00 (米) ダドリーNY連銀総裁、カプラン・ダラス連銀総裁討論会で発言
21:30 (米) 9月住宅着工件数 (8月 118.0万件、予想 117.5万件)
21:30 (米) 9月建設許可件数 (8月 130.0万件、予想 13.5万件)

10月19日
03:00 (米) 地区連銀経済報告(ベージュブック)
    (欧) EU首脳会議(ブリュッセル、19日〜20日)
アジア太平洋経済協力会議APEC財務相会合(ベトナム、19日〜21日)
08:50 (日) 9月貿易収支 5598億円の黒字 1136億円の黒字
11:00 (中) 7-9月期GDP 前年比 (前期 +6.9%、予想 +6.8%)
11:00 (中) 9月小売売上高 前年比 (8月 +10.1%、予想 +10.2%)
11:00 (中) 9月鉱工業生産 前年比 (8月 +6.0%、予想 +6.4%)
21:30 (米) 10月フィラデルフィア連銀製造業指数 (9月 23.8、予想 20.5)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.3万件、予想 24.5万件)
23:00 (米) 9月景気先行指数 前月比 (8月 +0.4%、予想 +0.1%)

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