ドル円米雇用統計からの一段高は続かず失速(10/10)

10月6日の米雇用統計発表からいったんドル高円安となり、113.43円まで上昇して9月8日以降の高値を更新したが

ドル円米雇用統計からの一段高は続かず失速(10/10)

<概況>

10月6日の米雇用統計発表からいったんドル高円安となり、113.43円まで上昇して9月8日以降の高値を更新したが、買い物一巡後は反落となり、材料消化による揺れ返しの流れで発表前水準を割り込んで一段安へ進んだ。週明け9日朝には112.32円まで安値を切り下げたが、日米が祝日だったために値動きは乏しく、112.50円を支持線とした横ばいにとどまった。

【米雇用統計反応】

10月6日に米労働省が発表した9月雇用統計では、非農業部門就業者数はマイナス3.3万人となり、市場予想の8万人増を大幅に下回り、7年振りのマイナスとなった。前月は15.6万人増から16.9万人増へ上方修正された。失業率は4.2%で市場予想および前月の4.4%から改善した。平均時給伸び率は前月比0.5%増で市場予想の0.3%増、前月の0.2%増(0.1%増から上方修正)を上回った。

先行して発表されたADPがまずまずの数字だったため、労働省雇用統計でも事前予想水準はクリアされるのではないかとの見方が多かっただけに非農業部門就業者数がマイナスだったことはサプライズと言える。しかし、失業率は改善し、時給も伸びた事も含め、巨大ハリケーン被害による一時的影響と市場は受け止めた。洪水被害による解雇で就業者数が減少し、被災によって求職活動も低下したため失業率は改善し、復旧作業のための人手不足から時給が上昇したというように、いずれもハリケーンの影響による一時的なものとして説明がつく。影響が一時的なものであれば、10月、11月の米雇用統計は改善傾向を示す可能性が高まり、米連銀による12月利上げ姿勢が変わることはないだろうと市場は解釈した状況。これが当初のドル全面高反応であった。

しかし、この上昇は長くは続かなかった。23時前に高値をつけるとその後は揺れ返しの下落となった。9月8日からのドル高円安もすでに1か月を経過し、米連銀の12月利上げ問題も消化しつつ上昇してきたため、ひとまず当面する重要イベントを通過し、買い方は利食いを優先、値頃感からの売りも出て反落に転じたという事だろう。発表前の水準を割り込んだ状況が続いたことは、材料消化を意味すると思う。

今年3月以降、戻り高値は3月10日、5月11日、7月11日と月の上旬に附けてきた。今回も10月6日高値で当面の上昇を一巡させる可能性もあるが、そのためには111.50円割れへと崩れるような下げが必要であり、そうならない内は上昇一服に止まり、5月、7月に付けた114円台及び3月高値115.50円等を目指す上昇へと進む可能性も残っているところだ。一段高へ進めるか、いったん調整ないしは上昇一巡からの下落に入るのか、大きな岐路に来ているかもしれない。

【北朝鮮情勢】

トランプ大統領は週末に「25年にわたり大統領と政権が北朝鮮と対話し合意が交わされ、巨額の金が支払われたが、うまくいかなかった。インクが乾く前に合意は破られ、米国の交渉担当者をばかにしてきた」「申し訳ないが、うまくいくのは一つだけだ」とツイートした。これまではあらゆる選択肢、第一優先は対話、第二に軍事オプションという言い方をしてきたが「一つだけ」としたことは軍事オプション選択の可能性が高まったのではないかという受け止め方もできる。これが口先だけなのか、具体的な米軍の配備状況等の動きにより具体的なものになるのか、またそれを誘発する北朝鮮側の新たな軍事挑発があるのかどうか、注目される。

10月10日は北朝鮮の労働党記念日であるが、今のところ新たな動きは見られない。8月25日の先軍節の後、8月29日に北太平洋へ弾道ミサイル3発を発射したこともあるので、今週中は要注意と思われる。より長距離で米太平洋沿岸に届くことを示すような実射の可能性も懸念される。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、6日夜の急落からは横ばい推移のため、遅行スパンは実線と交錯しつつ、10日午前ではやや好転している。先行スパンからは転落したままとなっている。先行スパンを上抜き返す上昇へ進めない内は一段安警戒とし、112.50円割れからは遅行スパンの悪化も顕著となるので遅行スパン悪化中の安値試しを優先的に考える。

60分足の相対力指数は6日夜高値時に78.4ポイントまで上昇し、その後の下落で30ポイント台をつけ、10日午前は50ポイントを挟んだ横ばいで方向性が乏しい。60ポイント超えへ進めば上昇再開感も出てくるが、40ポイント割れへ進むようだと一段安警戒感が強まるとみる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成のサイクルでは、10月日夜安値で前回のサイクルボトムをつけて上昇したが、10月3日高値から3日後の6日夜高値で直近のサイクルトップをつけて下落サイクル入りしたと思われる。今回の安値形成期は9日夜から11日夜にかけての間と想定されるので、113円台に届かない内は10日夜、11日にかけては112.50円割れからの一段安余地が残る。113円台を回復、維持し始める場合は新たな強気サイクル入りの可能性を踏まえて6日夜高値試しへ向かう可能性を考える。

以上を含めて当面のポイントを示す。
(1)当面の下値支持線を112.50円、上値抵抗を112.90円とみておく。
(2)112.50円以上を維持する内は112.90円前後試しとその後の反落注意とする。112.50円割れからは下げ再開と仮定して112.30円から112円試しへ向かう可能性を考える。112.25円以下は突っ込み警戒、反騰注意とみるが、112.50円以下での推移中は11日の日中にかけても安値を試しやすいとみる。このケースでは9月8日からの上昇一巡、下げ再開へ向かう可能性が高まるとみる。
(3)112.90円超えからは先行スパンも上抜けてくるので113円試しとし、113円台乗せ、維持なら6日夜高値113.43円試しへ向かう可能性を考える。また112.90円以上を維持して終了なら11日の日中も高値を試しやすいとみ。このケースではまだ10月6日高値では当面のピークに達しておらず、一段高へ進む可能性が高まるとみる。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

10月10日
日本 衆議院解散公示
北朝鮮、朝鮮労働党創建72周年記念日

14:00 (日) 9月景気ウォッチャー調査・現状判断DI
23:00 (米) カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁講演

10月11日
     (中) 中国共産党第18期中央委員会第7回総会
08:50 (日) 8月機械受注 前月比 (7月 +8.0%、予想 +1.0%)、前年比 (7月 -7.5%、予想 +0.8%)
09:00 (米) カプラン米ダラス連銀総裁講演
20:15 (米) エバンス米シカゴ連銀総裁講演

10月12日
03:00 (米) 米連邦公開市場委員会FOMC議事録公表(9月19-20日開催分)
03:40 (米) ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁講演

オーダー/ポジション状況

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