<概況>
ドル円は10月2日午後に113.06円まで上昇したが113円台を維持できずやや失速した。しかし112円台後半は維持しており、9月27日に一段高した状況を継続している。
9月8日に107円台の安値をつけるまでは、ドル安ユーロ高、米連銀の金融姿勢をハト派的としたドル安、米長期金利低下、北朝鮮有事リスク優先という市場環境であった。9月11日から流れは変わり、ユーロ高もピークをつけて下落に転じ、米連銀の21日未明FOMCにおける12月利上げ示唆、米長期金利上昇、北朝鮮有事リスクへの反応鈍化という状況でドル円は21日に112円台後半へ、さらに27日には113.252円をつけた。
先週末はユーロが下落一服で戻したこと、27日高値の後に28日も113円を超えたが新たな高値更新に至らなかったために高値警戒感となり、上値が重くなったこと、解散総選挙を巡る野党再編等の動きで政局不安が生じた事などが円安をやや抑えた。
週明けの10月2日、113.05円まで戻すも伸びきれていないが、さほど崩れもせず、ドル高円安基調はまだ継続している印象だ。
【流れ変わるとすれば米雇用統計】
スペインのカタルーニャで独立を掲げた住民投票が強行されたが、前週末のドイツ総選挙での民族主義右派台頭も含め、欧州の政治情勢に対する不安感がやや出ており、週末に戻していたユーロが再び失速気配だ。また英ポンドも9月21日のFOMC以降は下落基調だったが、2日夜への下落で9月28日安値を割り込んで一段安しているため、ドル高感が強まっている印象だ。
9月の米ISM製造業景況指数は60.8となり、前月の58.8から上昇、市場予想の58.0を上回り、2004年5月以来の高水準となった。週末のシカゴPMIが予想を大幅に上回ったことでドル高反応があったが、今回のISMでも同様の反応が見られた。米経済指標が強ければ12月利上げ判断に寄与するとしてドル高反応となりやすい状況にある。
ただし、週末には米雇用統計が控えている。8月は非農業部門就業者数が15.6万人増となり、ADP民間雇用での23.7万人増と比較してかなり低かったが、12万人以上なら強い数字とされた。9月の非農業部門就業者数に対する市場予想は現時点では8.5万人増だが、7万人台の予想もあり、ハリケーン被害の影響でかなり悪くなりそうだ。悪かったとしてもあくまでも一時的なものであり、翌月にはその分の回復も予想されるのだが、予想よりもさらに悪いようなら12月利上げへの判断に影響も出るのではないかとしてドル安反応を招きやすい。
米雇用統計が比較的良好でドル高が進む場合はいったんそこで上昇一巡となる可能性もあるだろう。逆に予想外に悪ければドル急落として9月8日からの上昇基調一巡、大きな調整へ進むという可能性も考えられる。
3月10日、5月11日、7月11日と戻り高値形成は雇用統計を通過した月上旬というケースが繰り返されている。
【北朝鮮情勢】
北朝鮮問題については、トランプ大統領が「対話は時間の無駄」と言ったり、この日もサンダース大統領報道官が「今は対話すべき時ではない」と発言して30日のディラーソン国務長官が「独自のルートで対話している」旨を発言したことを否定する姿勢を示したりしているが、北朝鮮側からの新たな軍事的行動による緊張感のエスカレーションは見られていない。
安倍政権が解散総選挙に打って出たのも、その期間に緊張を多少煽るようなことはあったとしても重大な危機感を抱く事にはならないだろうという判断もあったのだろうと市場も受け止めている。新たなアクションが出てこないうちは、10月10日の北朝鮮労働党創設記念日が迫るまでは市場テーマとしてはやや脇に置かれる状況だと思う。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では、2日午後への上昇で先行スパンを上抜き、いったん下げたが先行スパン内に止まり、3日午前はやや上抜いた状況にある。遅行スパンは2日午前からの上昇で好転している。両スパン好転中は高値を試しやすいとみるが、112.50円割れしてくる場合は両スパンともに悪化してくるため3日夜から4日にかけて下落しやすくなると思われる。
60分足の相対力指数は2日の上昇で60ポイント台をつけたが、その後は50ポイントを挟んだ揉みあいで方向性に乏しい。40ポイント割れからは下向き、60ポイント超えからは上向きと見ておく。
概ね3日から5日周期の高値・安値形成のサイクルでは、26日未明安値から4日弱となる29日夜安値で底をつけて上昇期に入っていると思われる。今回の高値形成期は27日夜高値を基準として10月2日から4日夜にかけての間と想定される。このため、29日夜安値割れ回避の内は3日夜、4日午前にかけては上昇余地ありとみる。ただし、112.50円割れからは弱気転換注意とし、29日夜安値割れからは新たな下落期入りとして次の安値形成期となる4日夜から6日夜にかけての間へと下落しやすくなると考える。
以上を含めて当面のポイントを示す。
(1)112.50円を上回る内は上昇余地ありとし、2日高値113.06円超えの場合は27日高値113.252円から113.50円にかけてのゾーンを試すとみる。113.50円前後は高値警戒感から反落しやすいとみるが、113円台を維持して4日へ続伸なら113円台後半を目指す可能性ありと見る。
(2)112.50円割れを弱気転換注意として29日夜安値112.21円試しを想定する。さらに底割れの場合は弱気サイクル入りとして111.80円から26日朝安値111.47円にかけてのゾーンを試す下落を想定する。また112.50円以下での推移が続いている場合は4日の日中も安値を試しやすいとみる。(了)<9:45執筆>
【当面の主な予定】
10月3日
休 場 (中) 国慶節
休 場 (独) ドイツ統一の日
12:30 (豪) 豪準備銀行RBA政策金利発表 (現行 1.5%、予想 据え置き)
21:30 (米) パウエルFRB理事 規制改革イベント参加で発言
10月4日
休 場 (中) 国慶節
21:15 (米) 9月ADP全国雇用者数 (前月 +23.7万人、予想 +14.0万人)
23:00 (米) 9月ISM非製造業景況指数 (前月 55.3、予想 55.5)
04:15 (米) イエレンFRB議長講演
オーダー/ポジション状況
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