今週の週間見通し
先週の主なトピックスとしては2つありました。解散総選挙による景気刺激策を含めた期待から株高と円安という動きがひとつ、FOMCは予想通りだったものの12月利上げ見通しが前回6月から増えたことによるドル高の動きがもうひとつです。
まず、前者ですがこれまでも秋風とともに解散風も吹くといった予想はありましたが、先週初には解散総選挙が既に予定となっているかのような論調となり、結局は安倍首相も解散総選挙を決断という流れになりました。今週28日から臨時国会が開かれますが、冒頭で解散総選挙、10月10日公示、22日投開票の日程で調整を進めているとのこと。
現在は自民も色々と問題を抱えているものの、野党はそれ以上にガタガタですから、相対的に自民に有利との思惑が働いている様子です。先月までは総野党も総選挙と言っていたはずですがここに来て反対の立場ですし、国内景気や北朝鮮問題等、論ずべきことは多いはずなのに、今の野党は自民に対してチャチャを入れる程度に成り下がっています。これでは、たしかに自民有利と考えざるを得ません。
ただ、落とし穴があるとすれば準備期間が少ない小池新党が思いのほか健闘するということでしょうか。今年に入ってからは英国の選挙でメイ首相率いる保守党は過半数を割り込んだり、昨日のドイツの連邦議会選挙でもメルケル首相率いるCDUは世論調査に比べて低い得票率に留まりました。日本の総選挙でも投開票まで1か月近くあり、自民としても油断は出来ないのではないかと思います。
後者のFOMCですが、これは何度も言っていることなので聞き飽きているとも思うのですが、ブレているのはストラテジストを筆頭に市場参加者です。これまでもイエレン議長をはじめFOMCメンバーは年内3回の利上げ、数字を見ながら慎重にと何度も繰り返していて、状況を考えると3回目は12月しかありません。6月の段階では半年残していて、不確定な部分もあったものの、今回9月の段階では残すところ3か月、ほぼ12月利上げで行けるという自信を深めた結果に過ぎないと思います。
またバランスシートの縮小は予定通り10月から開始ということで、あまり材料視はされませんでしたが、実際にはこちらのほうが今後の米国の金融政策による影響としては大きいものがありそうです。これは、今まで満期を迎えた債券について再投資していたものを再投資の金額を100億ドル減らし、今後徐々にその金額を上げていくというものです。金融緩和の初期状態では、債券購入額は増える一方、テーパリングで増えず減らず、そして今回のバランスシート縮小で減る一方となり、最終的には緩和開始前の債券保有額まで減らすという流れです。
これは中央銀行としては健全な出口戦略ですが、債券購入額減少=債券価格下落=長期金利上昇となりますので、トランプ大統領当選後の一時期のような長期金利上昇の動きが今後いつ再開してもおかしくありません。となるとかなり高い水準にある米国株式相場がどうなるのかは気になるところです。長期金利上昇をドル高と捉えられるうちは良いのですが、本格的に株に調整が入る場合には当然日本株にも波及し、これまでにも見てきた株安から来るリスクオフの円高、この可能性は長期的なテーマとして常に頭の片隅にいれておきたいものです。
今週はやや長期的なテーマを掲げましたが、目先の材料としては細かな経済指標や中銀関係者の講演など、連日多くの材料があります。また、北朝鮮問題も引き続き緊張が解けることはありませんので、上がったところも、下がったところも方向感が出にくい相場は今週も続きやすいと見るべきでしょう。
テクニカルな点も見てみましょう。日足チャートをご覧ください。
もともとドル安・円高材料のほうが多いと考えていることもあって、先週もテクニカルなターゲットを過小評価し過ぎました。7月高値と9月安値の戻しを61.8%の水準が妥当と考えていましたが、それをあっさりと超え78.6%(61.8%の平方根)戻しである112.96に迫るほどのドル高トレンドを継続しました。これで年初来安値となった9月安値107.32から考えると、先週高値112.72まで既に5円40銭です。
ここに至るまでの上昇チャンネルはピンクの平行線で示したようにかなり急角度なものであり、そろそろ戻しの値幅としてもいいところ、というのがテクニカルな観点になるかと思います。一段の上昇がある場合でも、いったん78.6%戻しの手前で調整のもみあいを挟み踊り場を形成するのが今週の状況であると考えられます。
押しのターゲットとしては9月安値と先週高値の38.2%押しにあたる110.65もターゲットではありますが、現在の水準からはやや距離があり、それよりは8月高値の111.05水準を考える方が妥当と思います。今週こそは調整局面を想定し、111.10レベルをサポートに、78.6%のターゲットに近い113.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
**注:8月からローソク足陰陽を黒白に変更、自動トレンドラインを削除し表示を簡潔にしました。
オーダー/ポジション状況
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