<概況・ポイント>
21日未明の米連銀FOMCでは政策金利の現状維持とバランスシート縮小開始が決定された。これは市場の予想範囲だった。年内あと1回の追加利上げについては、参加メンバーの11人が支持、さらに1人はあと2回とし、年内見送り支持は4名に留まった。このため12月の利上げ確率は直前の五分五分から7割強へと跳ね上がった。米連銀は昨年12月に利上げを再開した際に2017年3回の利上げ予想を示し、3月、6月と既に二度の利上げを実行してきた。今回は10月からバランスシート縮小を開始するために利上げを見送ったが、縮小計画が始まった段階での影響と、インフレ動向を見定めつつ、問題がなければ12月会合で利上げをするということになるのだろう。
FOMC直後に112.50円台へ一段高し、更に午後には112.71円まで高値を切り上げたが、その後は横ばいにとどまっている。日銀が金融政策を現状維持とし、新たなメンバーが緩和拡大を主張していることも踏まえれば円安がさらに加速しても良かったと思われる。
9月8日からの上昇幅はすでに5円を超えており、移動平均の26日線や一目均衡表の26日基準線等を突破、4月17日から5月11日への上昇時や6月14日から7月11日への上昇時並の上昇レベルに入っている。3月10日高値115.50円、5月11日高値114.369円、7月11日高値114.49円等114円台中盤から115円にかけてのゾーンは2月以降のかなり強烈な抵抗帯であるが、週末から週明けに逆風吹かなければ114円を目指した上昇基調が継続する可能性も考えておきたい。
米経済指標はまずまずだった。
米労働省が発表した週間新規失業保険申請は25万9000件、前週比2万3000件減少、市場予想の30万件を下回った。巨大ハリケーン「ハービー」「イルマ」の影響も落ち着いたとみられる。
米フィラデルフィア連銀の9月製造業景況指数は23.8、前月の18.9から上昇、プラスは14カ月連続で市場予想の17.2を上回った。
米コンファレンス・ボードが発表した8月の景気先行指数は128.8、前月比0.4%上昇して市場予想の0.2%、前月の0.3%を上回った。
米経済指標が良好さを続ければ米連銀の利上げへ寄与するとしてドル高要因となってゆくと思われるが、肝心なのはインフレ指標なので、今後の個人消費、PCEデフレータ、消費者物価動向が大事になってくる。
【北朝鮮問題】
9月8日までは北朝鮮有事リスク、ドル安を背景としてドル円は下落してきた。9月8日には107.32円まで下げて年初来安値を更新し、その時点ではさらに一段安へ向かいやすい状況にあったが、その後は北朝鮮問題に対する市場の反応は鈍くなり、FOMCを控えてのドル買い戻しで推移してきた。9月15日の北朝鮮ミサイル発射も距離は伸びたが1発で、グアム方向ではなかったために一時的な下落がかえって買い場を提供してきた。
FOMCからの上昇により9月8日からのドル高円安基調の継続感がさらに高まった印象だ。
ただ、気になる点としては、トランプ大統領が北朝鮮への独自制裁を強化する大統領令に署名したことだ。
トランプ米大統領は21日、北朝鮮と取引を行っている個人と企業を新たな制裁の対象にする大統領令に署名した。北朝鮮と取引する外国銀行を米金融システムから締め出すと明記した。またトランプ大統領は「中国人民銀行が金融機関に北朝鮮との取引停止を指示した」「非常に思い切った行動を示した習近平(中国)国家主席に感謝する」と語り、中国の協調も示唆している。
ムニューシン米財務長官は大統領令を受けて「各国金融機関は取引先を米国か北朝鮮のどちらかを選択せよ」との姿勢を示した。
一段と北朝鮮への制裁が強化される動きであり、北朝鮮の対応も注目されるため、土日、あるいは月曜朝にはまた何等かの軍事的挑発があるかもしれない。しかし、これまでの弾道ミサイル発射の延長線で各段とエスカレーションがなければ、15日の経験も踏まえて反応は一時的となり、突っ込み買いから上昇再開という可能性も念頭に入れておきたい。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では21日未明の一段高により遅行スパン好転、先行スパン突破となり、両スパン好転が維持されている。21日午後からは横ばいのために遅行スパンは悪化しやすい状況にあるが、先行スパンを上回る内は上昇継続余地ありとみる。
60分足の相対力指数は21日朝に70ポイントを超え、から21日午後にかけてはやや逆行気味となっているが、50ポイント台を維持している内は上昇継続余地ありとみる。50ポイント割れから続落なら40ポイント前後試しとその後の反騰入りを想定する。
概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、15日朝安値から4日目となる21日未明安値でサイクルの底をつけて上昇に入った。前回のサイクルトップは19日午後高値のため、今回の高値形成期は22日午後から26日にかけての間と想定されるので、21日午後からの小持ち合いを上放れしやすい時間帯と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)112円台を維持するか、一時的に割り込んでも早々に切り返す内は高値更新余地ありとし、21日午後高値超えからは113円台序盤試しを想定する。113.20円以上はいったん売られやすいとみるが、112.50円以上を維持して終了なら週明けも高値を試しやすいとみる。
(2) 111.90円割れから続落の場合は弱気転換注意として111.50円から111.20円台への下落を想定するが、そこは押し目買いから次の上昇へ向かいやすいとみる。
(3)急激な円高要因となるような北朝鮮情勢のエスカレーションがある場合は21日未明安値111.08円試しとみる。(了)<9:40執筆>
【当面の主な予定】
9月22日
16:30 (独) 9月製造業PMI速報値(8月 59.3、予想59.0)
17:00 (欧) ユーロ圏9月製造業PMI速報値 (8月 57.4、予想 57.2)
17:00 (欧) ユーロ圏9月サービス業PMI速報値 (8月 54.7、予想 54.8)
19:00 (米) ウイリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁会見
20:15 (欧) コンスタンシオECB副総裁講演
22:30 (米) ジョージ米カンザスティ連銀総裁講演
9月23日
02:30 (米) カプラン米ダラス連銀総裁、講演
ニュージーランド総選挙
9月24日
ドイツ連邦議会総選挙
オーダー/ポジション状況
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