ドル円見通し北朝鮮ハリケーン関連の楽観買い(9/13)

北朝鮮は今回の制裁決議への反発を表明しているが、まだ具体的な軍事的挑発には動いていない。

ドル円見通し北朝鮮ハリケーン関連の楽観買い(9/13)

【概況・足許のポイント】

9月3日の北朝鮮核実験をきっかけに9月4日から9月8日安値107.32円まで下落、直前高値である8月31日110.67円からの下げ幅は3.35円幅であった。またこの間の下落により、8月29日、9月6日の108円台前半で形成していた下値支持線から転落、さらに4月17日安値108.13円も割り込んで年初来安値を更新した。
しかし、9月9日の北朝鮮建国記念日には新たな軍事挑発行動は無かったことで先週の下落をやや過剰として反発、国連安保理による制裁決議動向を見守っていたが、当初の米国案による厳しい内容からかなり軟化しているとして11日夜には一段高となった。またもう一つの円高ドル安要因であった巨大ハリケーン「イルマ」のフロリダ強襲も、当初悲観されていた程の被害規模にならない程度に勢力が低下し、NYダウが反騰したこともドル高円安要因となった。

9月12日未明、国連安保理制裁決議が全会一致で採択されたが、金委員長の資産凍結や原油の全面禁輸等が外されたため、制裁は緩く、それに対する北朝鮮からの反撃もこれまで以上にはエスカレートしないのではないかとの見方が広がり、12日の日中、さらに夜間で一段高へと走った。
北朝鮮の核実験が強行される前の9月1日時点では、雇用統計の乱高下もあったが、109.55円から110.42円のレンジで推移しており、現状の110円回復により、ほぼ前週の下げを解消したことになる。
しかし、北朝鮮核実験からの有事リスクのエスカレーションが果たしてピークアウトしたと言えるのか?ハリケーン問題はひとまず材料消化だろうが、被害による雇用の悪化等を踏まえれば米連銀の追加利上げに対するハト派的慎重姿勢がタカ派的積極性に転換する可能性はまだ低く、年初から継続してきたドル安基調が一巡したともいえない。それがあるとすれば来週のFOMCでのサプライズ的な利上げ積極姿勢の表明だろうが、現状では確率は低いと思われる。

北朝鮮は今回の制裁決議への反発を表明しているが、まだ具体的な軍事的挑発には動いていない。新たな核実験、弾道ミサイルをより遠方に、グアム島方面や、より米国本土へと距離を延ばすような行動へ進む可能性もある。もちろん、今回の制裁で外された原油禁輸や金委員長の資産凍結等、より強烈な制裁手段が残っていることを印象付けたため、それを回避するために対話姿勢を示し、態度を軟化させる可能性もあるかもしれないが、それにはまず、具体的なリアクションを見定める必要があり、現時点では過剰な楽観、リスクオン心理は揺れ返しの反動に直面しやすいと警戒する。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では11日夜の一段高から遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いた。13日朝も両スパン好転は維持されているので、遅行スパン好転中は高値をさらに試す可能性ありとするが、110円割れの状況が続き始める場合は13日夜には遅行スパンが悪化しやすくなる点に注意する。その場合は弱気転換として先行スパンの分厚い雲の上限で押し止まるか、スパンへ潜り込んで急落へ進むかが試されると思われる。

60分足の14本相対力指数は9月11日の高値と13日未明高値更新との間では弱気逆行(相場が高値を更新したのに指数が高値を更新できない弱気サイン)となっている。60ポイントを上回る内は逆行を伴いながらも高値を更新する可能性があるが、60ポイント割れへ下げる場合は弱気逆行完成として下落再開へ進むと思われる。

概ね3日から5日周期の短期サイクルでは、9月8日夜安値からのV字反騰で直前高値の7日未明高値を上抜いたため、8日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクルに入った。今回の高値形成期は7日未明高値を基準として12日未明から14日未明にかけての間と想定されるが、既に4日を経過したのでトップアウト警戒期とみる。110円割れを切り返す内は高値更新へ進む可能性ありとするが、110円割れから続落の場合は弱気転換注意、109.50円割れからは弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる13日夜から15日夜にかけての間への下落を想定する。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)110.00円を支持線とし、割り込まないか、一時的に割り込んでも早々に回復する内はまだ上昇余地ありとし、110.50円から8月31日高値110.67円を試す可能性ありとみる。
(2)110円割れを切り返せずに109.75円割れへ続落の場合は弱気転換と仮定して109.50円から109.00円のゾーンを試すとみる。北朝鮮情勢等により円高が進む場合は108円台後半への下落も警戒する。
(3)仮に109円台前半まで下げ、その後も109円台を維持して確りなら、押し目形成として8日底を起点とした上昇が二段上げ型へ発展する可能性があるが、109円割れからさらに崩れる場合はやや過剰な戻りが一巡し、円高再開となる可能性を警戒する。(了)<10:00執筆>

【当面の主な予定】

9月13日
21:30 (米) 8月生産者物価指数 前年比 (7月 +1.9%、予想 +2.5%)
21:30 (米) 8月生産者物価指数・コア 前年比 (7月 +1.8%、予想 +2.1%)

9月14日
10:30 (豪) 8月就業者数 (7月 +2.79万人、予想 +1.90万人)
10:30 (豪) 8月失業率 (7月 5.6%、予想 5.6%)
11:00 (中) 8月小売売上高 前年比 (+10.4%、予想 +10.5%)
11:00 (中) 8月鉱工業生産 前年比 (7月 +6.4%、予想 +6.6%)
13:30 (日) 7月鉱工業生産 前月比 確報値 (速報 -0.8%)
16:30 (ス) スイスSNB政策金利発表 (現行の1.25〜0.25%に据え置き予想)
20:00 (英) BOE政策金利発表 (現行の0.25%に据え置き予想)
20:00 (英) BOE資産購入枠 (現行の4350億ポンドで据え置き予想)
20:00 (土) トルコ中銀政策金利発表 (現行の8.00%に据え置き予想)
21:30 (米) 8月消費者物価指数 前年比 (7月 +1.7%、予想 +1.8%)
21:30 (米) 8月消費者物価指数・コア 前年比 (7月 +1.7%、予想 +1.6%)
21:30 (米) 米新規失業保険申請件数 (前週 29.8万件、予想 30.0万件))

オーダー/ポジション状況

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