<概況>
9月3日の北朝鮮核実験による有事リスクのエスカレーションから4日早朝に下落、1日夜の米雇用統計発表直後の安値を割り込んだ。4日午後に安値を更新した後は下げ渋っていたが5日午前、深夜と続落して109円を割り込んだ。6日も108.50円前後を支持線として揉み合いとなっていたが、夕刻には108.45円まで安値を切り下げた。しかし108.50円割れでは値頃感からの買い戻しも入り、6日夜からは反発基調となって109円台前半を回復した。7日未明には109.39円まで戻したが、その後はやや下げている。
9月6日はビッグイベントはなかったもののいくつかの材料で市場も神経質な動きとなった。
23時、米ISMの8月製造業景況指数は55.3となり前月の53.9から上昇したものの市場予想の55.4を下回った。
23時、カナダ中銀は政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.25%引き上げて1.00%としたた。同中銀は7月に利上げしており、今年2回目の利上げとなった。利上げ発表からカナダドルは買われてドル安を助長、ドル円も109円台を回復していたところからいったん下げたが、反応は短期に収束した。
米連銀のフィッシャー副議長が「一身上の都合」により今年10月半ばで辞任すると発表した。突然の辞任表明だったため、米連銀の金融政策への先行き不透明感を誘った。同副議長はイエレン議長とともにQE終了後の極めて緩やかな正常化を担ってきたが、イエレン議長も来年2月で任期満了を迎え、再任の可能性は低いとされていることもあり、今後の米連銀金融政策がどうなるのか?9月のFOMCに影響が出るのか注目される。
【連続する巨大ハリケーン】
米議会民主党執行部はトランプ政権が求めていたハリケーン「ハービー」の水害支援緊急予算措置と連邦政府債務上限を12月まで3カ月間延長する法案を支持するとの声明を発表した。これにより政府資金が9月末にショートして一時的な米国債の利払いが滞るデフォルトに陥る懸念がひとまず回避される可能性が高まった。これはトランプ政権迷走によるドル安感を緩和し、ドル高材料とされた。
ハリケーン「ハービー」に続き、新たなハリケーン「イルマ」が「カテゴリー5」へ発達、今週末にも米南部フロリダ州に接近する恐れが強まっている。ハービーが共和党地盤のテキサス州に大洪水被害をもたらしたが、フロリダも共和党の有力地盤であり、トランプ政権としては北朝鮮問題も当然主要問題ではあるが、ハリケーン対策が眼下の最大問題かもしれない。
【北朝鮮問題】
米国は北朝鮮の核実験に対抗する国連制裁決議案を7日未明に安保理全加盟国へ提示した。制裁案には原油供給の全面禁止、金正恩氏への渡航禁止、資産凍結も盛り込まれた。
トランプ大統領は中国の習主席と電話協議を行ったが、記者団に対して「われわれは北朝鮮で起こっていることを容認しない」「(両首脳が)非常に率直で強い話し合いをした」と述べたが、米国による軍事行動の可能性については「第1の選択肢ではないが、状況を見守る」と答えた。
安保理の制裁決議は11日の採択が目指されているが、中国とロシアが反対姿勢を見せている。
【8月29日安値、4月17日安値を維持できるか】
8月29日に北朝鮮が北太平洋に弾道ミサイル3発を発射した騒動では、29日朝、午後と下落して108.265円の安値を付けたが、その後はショック安一巡、米経済指標へ焦点が移って反騰した。
9月3日の北朝鮮核実験を受けて9月4日朝、午後と下落、いったん下げ渋りを見せたが、5日、6日と続落した。前回のミサイル騒動よりも有事リスクが一段とエスカレートしたということを市場も下落を1日で消化せずに続落したことで示したと思われる。
9月6日夜安値は108.45円止まりで、8月29日安値割れはひとまず回避している。また4月17日安値の108.13円割れにもまだ至ってない。しかし、4月17日安値と6月14日安値を結んだやや右肩上がりの下値支持線を割り込んでいる。また3月10日高値、4月17日安値、5月11日高値、6月14日安値、7月11日高値と2か月周期での高値、安値形成が続いてきた。しかし今回は7月11日高値からの下落が1か月を超え、前回の6月14日安値からも2か月目では底を付けられなかった。中段における循環的周期的な往来のリズムから転落し始めている印象があるため、8月31日高値を超える上昇へと進めないうちは中段の往来相場からの転落へ進む可能性が懸念される。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では、6日夜の反騰で遅行スパンが好転したが、先行スパンを上抜くところまでは進めていない。109.20円以上で推移すれば先行スパンを上抜き始めるため、7日未明高値を上抜いてくるようだと上昇に弾みがつく可能性がある。しかし先行スパンを上抜けないか、一時的に上抜いても108.80円割れへと下落すれば再び転落となるので、下げ再開感が強まると思われる。1日から2日以上の上昇へ進むには先行スパンを上抜いた状況を維持することが必要であり、できないうちは戻り一巡からの反落開始警戒と思われる。
60分足の相対力指数は6日序盤の下落と夜の安値更新時では指数が切り下がらずに小規模の強気逆行となって上昇した。60ポイントをいったん超えたが、その後は失速している。50ポイント台を維持するか、一時的に割り込んでも回復するうちは上昇継続余地ありとするが、45ポイント割れへ進むようだと下げ再開感が強まると思われる。
概ね3日から5日周期のサイクルでは、9月1日夜の米雇用統計でいったん急落した時の安値から3日目となる6日夜安値でサイクルボトムを付けて反発したと思われる。今回の高値形成期は1日深夜高値を基準として7日未明高値を含めて7日から8日深夜にかけての間と想定される。すでに7日未明高値でサイクルトップを付けた可能性もあるが、109円台を維持するか、割り込んでも切り返すうちは7日夜への上昇余地ありとみておく。109円割れから続落の場合は7日未明高値をサイクルトップとした新たな弱気サイクル入りの可能性ありとし、6日夜安値試しへ向かいやすいとみる。さらに底割れの場合は次の安値形成期となる11日から13日にかけての間へ下落を継続しやすくなると思われる。
以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)109円台維持か、108.90円台までで切り返す場合は上昇余地ありとし、7日未明高値更新の場合は109.70円前後への上昇を想定するが、109.60円以上は反落警戒圏とみる。
(2)109円割れを切り返せなくなり、108.90円割れしてくる場合は下げ再開を疑い、6日夜安値108.45円試しへ向かうとみる。108.50円前後はもう一度買い戻しも入る可能性があるが、底割れの場合は108円試しへ向かうとみる。またその場合は8日、週明けへ続落しやすくなるとみる。(了)<10:00執筆>
【当面の主な予定】
9月7日
14:00 (日) 7月 景気先行指数 速報値
20:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)金融政策発表
21:30 (欧) ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
21:30 (米) 前週分 新規失業保険申請件数
21:30 (米) 4-6月期 四半期非農業部門労働生産性 改定値 前期比 (速報 0.9%、予想 0.9%)
9月8日
01:15 (米)メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
09:15 (米)ジョージ米カンザスティ連銀総裁、講演
未定 (中) 8月 貿易収支 米ドル建て (7月 467.4億ドル)
未定 (中) 8月 貿易収支 人民元建て (7月 3212億元)
未定 (日) 8月 景気ウオッチャー調査-現状判断DI
08:50 (日) 7月 国際収支・経常収支 (6月 9346億円)
08:50 (日) 7月 国際収支・貿易収支 (6月 5185億円)
08:50 (日) 4-6月期 四半期実質GDP改定値 前期比 (速報 1.0%)
08:50 (日) 4-6月期 四半期実質GDP改定値 年率換算 (速報 4.0%)
21:45 (米)ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
23:00 (米) 7月 卸売在庫 前月比
9月9日
北朝鮮建国記念日
10:30 (中) 8月消費者物価指数 前年比
10:30 (中) 8月生産者物価指数 前年比
オーダー/ポジション状況
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