ドル円見通し 戻り続かず、再び安値試し(8/24)

トランプ大統領はアリゾナ州での支持者集会で演説し、大統領選挙で公約に掲げてきたメキシコ国境の壁建設について、これを断行すると強調した。

ドル円見通し 戻り続かず、再び安値試し(8/24)

<概況>

8月17日未明の米連銀FOMC議事録公開から下落に転じ、18日夜には108.60円まで下落、いったん戻したが21日夜に108.634円まで安値試しとなった。しかし、底割れを回避したために60分足レベルでのダブル底感が生じ、議事録公開からの下落一服感、北朝鮮情勢での新たなエスカレーションもなくリバウンド入りとなり、23日午前には109.822円まで戻してダブル底の中間点にあった19日未明高値をわずかに上抜いた。
しかし、リバウンド以上の強気材料には欠け、トランプ政権の迷走感によるドル安、北朝鮮のミサイル弾頭増産発言、24日からのジャクソンホール・シンポジウムを控えた警戒感から失速しはじめ、23日夜には米国株安、米長期債上昇=長期金利低下、米経済指標も弱かったことで109円割れとなり、24日早朝も一段安している。
まだ18日夜と21日夜のダブル底ラインには到達していないが、108円台に入ったことで、このダブル底ラインを維持してもう一度戻しに入れるのか、ダブル底ラインを割り込んで一段安へ進むのか、北朝鮮情勢、ジャクソンホールでの要人発言、あるいはトランプ大統領発言等への警戒感が続く状況にある。

【トランプ政権の迷走が株安、長期金利低下リスクに】

トランプ大統領はアリゾナ州での支持者集会で演説し、大統領選挙で公約に掲げてきたメキシコ国境の壁建設について、これを断行すると強調した。また予算が確保できなければ政府機関閉鎖も辞さないと述べた。
ロシアゲート問題による政権メンバーの離脱や捜査、先週の白人至上主義者と反対勢力による暴力的衝突とそれに対する大統領発言への批判、政権内で最右翼とされたバノン顧問の解任等、政権内の混乱が続き、またトランプ大統領の発言もメディアで叩かれまくっている状況が続いている。
ロシアゲート問題があっても楽観的に史上最高値を更新してきたNYダウだが、大手企業トップが相次いで顧問を辞任する中で17日には274ドル安と大幅下落。その後はやや戻していたが23日は87ドル安と反落するなど、米株市場への高値警戒感も強まり始めた。株安が発生するとその逆相関で米国長期債がリスク回避的に買われ、米長期金利が低下、長期債利回り格差縮小により円高圧力がかかる。

【ジャクソンホール・シンポジウム始まる】

8月24日からワイオミング州ジャクソンホールで金融シンポジウムが始まる。各国中銀首脳が集まり、毎年それらの発言に注目が集まる。イエレン議長になってからは刺激的発言は手控えられる傾向にあるが、かつてはバーナンキ元議長発言に市場が揺れたこともある。
今回はイエレン議長以上に金融緩和政策の出口戦略を模索し始め、最近のユーロ高を助長してきたECBの金融政策動向についてのドラギ総裁発言が注目されている。
直接的な要人発言による相場反応の他、何も具体的なことに触れない場合でも市場が憶測から動きだす、あるいはこれまでの流れが変わらないとしてユーロ高や円高、ドル安の継続感が強まる可能性もある。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

8月23日午前高値で戻り一巡、下落に転じたため、60分足の一目均衡表では23日夜に遅行スパン悪化、先行スパンからも転落している。このため、両スパンが悪化中は一段安警戒とし、18日夜安値108.60円を試す可能性が懸念される。また24日の戻り抵抗は先行スパン下限の109円台序盤までと思われる。

60分足の14本相対力指数は23日午前高値形成期に70ポイントを超えて高値警戒感を発生させたが、その後の反落で50ポイントを割り込み、さらに30ポイント台まで低下してきている。50ポイント台を回復、維持へと進めないうちは18日安値形成時の20ポイント台序盤を試す可能性、あるいは割り込む可能性も警戒される。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、18日夜と21日夜安値をダブル底として反発したが、23日午前高値で戻り一巡して下落に転じているため、次の安値形成期となる24日の日中から28日にかけての間へと下落継続しやすくなっている。新たな強気サイクル入りには23日午前高値超えが必要であり、109.20円以下での推移中は安値形成への下落警戒感が優先されるとみる。

以上を踏まえ、24日から25日朝にかけてのポイントを示す。
(1) 109.20円台までを戻り抵抗とし、109.30円を上回る状況を維持する上昇へ進めないうちは一段安警戒とみる。
(2) 109円以下での推移中は18日夜安値108.60円試しを想定する。108.60円台ではいったん買い戻しの動きも出るかもしれないが、109円以下に止まるうちは、さらに一段安警戒とし、底割れの場合は108円前後試しを想定する。
(3) 109.30円超えから続伸なら23日午前高値109.822円試しを想定するが、その前後でのダブルトップ形成からの反落注意とみる。(了)<8:30執筆>

【当面の主な予定】

8月24日
米国 カンザスシティ連銀経済シンポジウム(ワイオミング州ジャクソンホール 27日迄)
17:30 (英) 英4-6月期GDP・改定値 前期比、前年比
21:30 (米) 米新規失業保険申請件数 (前週 23.2万件、予想 23.5万件)
23:00 (米) 7月中古住宅販売件数 (6月 552万件、予想 556万件)

8月25日
北朝鮮 先軍節
カンザスシティ連銀経済シンポジウム(ワイオミング州ジャクソンホール 27日迄)
08:30 (日) 7月全国消費者物価指数 コア前年比 (6月 +0.4%、予想 +0.5%)
08:30 (日) 8月東京都区部消費者物価指数 コア前年比 (7月 +0.2%、予想 +0.3%)
17:00 (独) 8月Ifo景況感指数 (7月 116.0、予想 115.5)
21:30 (米) 7月耐久財受注 前月比 (6月 6.5%、予想 -6.0%)
21:30 (米) 7月耐久財受注 除輸送用機器 (6月 +0.2%、予想 +0.4%)
23:00 (米) イエレンFRB議長、ジャクソンホールで講演


04:00 (欧) ドラギECB総裁、ジャクソンホールで講演

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