ドル円見通し 反騰続かず三角持合い形成か(8/22)

21日から米韓軍事演習が始まった。米軍側の参加人員は前回よりもかなり減っていると報じられているが、予定通りに始まっている。

ドル円見通し 反騰続かず三角持合い形成か(8/22)

<概況>

8月17日未明の米連銀FOMC議事録公開からドル安感が強まって急落、18日夜には108.60円まで下げて11日安値108.727円を割り込んだ。18日深夜はバノン氏解任報道もあって109.59円まで凡そ1円幅で反発したものの、週明けはジリ安基調で推移、深夜にはユーロ高ドル安が進み、株もさえなかったことで108.634円まで失速した。18日深夜安値割れをひとまず回避して戻したものの、109円前後で抵抗に引っかかっている。
21日は特に手掛かりとなるイベント、経済指標の発表がなかったものの、この日から米韓軍事演習が開始しており、米朝間の有事リスクが再認識されていることで、リスク回避的な円高感を強めた。また24日からカンザスシティー連銀主催の金融シンポジウムがジャクソンホールで開催されるが、ECBのドラギ総裁がそこで金融緩和終了へ向けた姿勢に関して発言するのではないかとの見方からユーロが上昇、ユーロ高ドル安からドル円も下落した印象だ。

22日朝は109円台まで戻したことで戻りを試す動きとなっている。
18日深夜安値割れ回避の内はダブル底(毛抜き底)形成から反騰入りする可能性も残すが、戻しても19日未明高値から戻り高値が切り下がりとなれば、60分足レベルでの「底辺フラット、戻り高値切り下がり型の三角持合い」形成に止まり、三角持合い下放れへ向かう可能性も考えられる。

【円高要因=米朝間緊張リスク、米政権迷走と株安リスク、米連銀の利上げ先送り期待】

21日から米韓軍事演習が始まった。米軍側の参加人員は前回よりもかなり減っていると報じられているが、予定通りに始まっている。北朝鮮はこの演習開始について「火に油を注ぐもの」と非難しているが、米朝間の緊張度合をエスカレートさせる動きはまだ見られない。25日には先軍節記念日(金正日が軍事優先政策を開始した記念日)があること、9月9日には独立記念日を控えていることから、北朝鮮が攻撃的な動きや緊張度合をエスカレートする動きへ向かう可能性も懸念されるため、当面はこの有事リスクがドル円の反発を抑えると思われる。

トランプ大統領は政権内最右翼のバノン氏を解任したが、政権の迷走はまだ続いている。このままだと大統領選挙公約でぶち上げた巨額インフラ投資計画は進まず、議会運営、あるいは予算を巡ってデフォルトのリスクも生じかねず、世界の株高をけん引し、日本株を支えてきた米国株高現象が行き詰まる可能性も警戒されつつある。世界的な株安が発生ならリスク回避的な円高が一段と進みかねない。

24日からジャクソンホールでの金融シンポジウムが始まる。25日にはイエレン議長の講演がある。ドラギ総裁発言も注目される。米連銀がなかなか進まないインフレ率に対して利上げを見送る姿勢を強めればドル安感が拡大するだろうし、仮にドラギ総裁がECBの金融緩和政策に対する出口戦略等に言及する場合はユーロ高ドル安を招き、ドル円にとってもドル安円高要因となってくる可能性がある。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では17日未明の急落により遅行スパンが悪化(実線を割り込む)、17日午前への続落で先行スパンから転落した。その後の反発でも遅行スパンは好転できずに推移している。22日午前に上昇では先行スパン下限まで戻しているが、109.20円台から109.50円にかけては先行スパン帯があるため、大きな抵抗となりやすい。強気回復には先行スパン突破=109.50円超えが必要で、そこまで戻せない場合、特に先行スパンの下限までの戻りに留まる場合は小反発一巡からの反落警戒とみる。

60分足の14本相対力指数は17日午前安値と18日夜安値との間では指数がほぼフラットで強気逆行気配となり、18日夜安値と21日夜安値との間でも指数が切り上がっており、強気逆行感が出ている。このため、18日夜安値と21日夜安値によるダブル底形成からの反騰へ進む可能性も意識されるが、強気逆行型を形成しつつも戻り高値が切り下がる場合は三角持合いの形成に留まり、持ち合い下放れへ向かう可能性への懸念も残る。

概ね3日から5日周期の短期サイクルでは、8月16日夕高値でサイクルトップを付けて下落期に入ったが、11日夜安値から5日目となる18日夜安値でサイクルの底をつけたと思われる。このため、新たな底割れ回避の内は次のトップ形成期となる22日の日中から23日への上昇へ進む可能性があるが、19日未明高値を超えられないうちは今回の上昇期が三角持合い形成に終わり、底割れから新たな弱気サイクル入りとなる可能性も警戒される。底割れの場合は新たな弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる23日夜から25日への下落へ向かいやすくなるとみる。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)109.00円以上を維持する内は戻りを試す可能性ありとし、109.20円台から19日高値109.59円にかけての上昇を想定する。19日未明高値超えへ進めない場合は三角持合いないしは横ばいのボックス型持ち合いを形成する可能性ありとし、もう一度18日夜安値、21日夜安値のラインを試すとみる。
(2)19日未明高値超えの場合は18日夜安値と21日夜安値によるダブル底からの上昇となり、110円前後試しまで戻りの目処が切り上がる可能性があるが、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)109円割れを切り返せずにジリ安推移に入る場合は21日夜安値試しとし、底割れからは新たな下落期入りとして108円前後試し、さらに23日にかけては107円台後半試しまで下値目処が切り下がる可能性を考える。(了)<9:45執筆>

【当面の主な予定】

米韓軍事演習 (21日から)
8月22日
18:00 (独) 8月ZEW景気期待指数 (7月 17.5、予想 15.0)
21:00 (欧) コンスタンシオECB副総裁講演
22:00 (米) 6月住宅価格指数前月比 (5月 +0.4%、予想 +0.5%)
23:00 (米) 8月リッチモンド連銀製造業指数 (7月 14、予想 11)

8月23日
16:00 (欧) ドラギECB総裁講演
22:05 (米) カプラン米ダラス連銀総裁講演

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