ドル円見通し 110円割れに突っ込み警戒感(8/2)

米商務省が発表した6月の個人消費は前月比0.1%増となり、市場予想と一致したが、前月の0.2%増(+0.1%からわずかに上方修正)から減速した。

ドル円見通し 110円割れに突っ込み警戒感(8/2)

<概況>

7月27日未明のFOMC声明をきっかけとした下落では7月24日安値割れを回避していたが、28日夜の米GDPが芳しくなかったことによる28日夜から29日未明への下落で底割れとなった。さらに週明け31日午前へ110.30円、8月1日午前も110.00円まで続落した。
8月1日夜の米経済指標は総じて弱かったため、深夜には109.92円まで安値を切り下げたが、買戻しの動きに110円割れを回避して終えている。
週末の米雇用統計次第ではドル安の加速もドル高への揺れ返しの可能性もあるため、市場心理的には安値を試しつつも雇用統計前に大幅下落を狙っての積極的な売り攻勢を仕掛けるということに対しては慎重姿勢になるのだろう。1日夜高値110.58円を超えてくる場合はひとまずFOMCからの下げ一服でやや戻しに入る可能性も考えられる。

【冴えない米経済指標 今晩はADP統計】

米商務省が発表した6月の個人消費は前月比0.1%増となり、市場予想と一致したが、前月の0.2%増(+0.1%からわずかに上方修正)から減速した。個人所得は前月比変わらず、市場予想の0.4%増、前月の0.3%増(+0.4%から若干下方修正された)を下回った。PCEコアデフレータは前月比で+0.1%で予想と一致、前月の+0.2%(+0.1%から上方修正)を下回った。前年比は+1.5%となり、予想の+1.4%を上回ったが、前月の+1.5%(+1.4%から上方修正)と変わらずであった。
米ISMの7月製造業景況指数は56.3で前月の57.8から低下、市場予想の56.4を下回った。
6月の米建設支出は前月比1.3%減となり、市場予想の0.4%増に反してマイナスとなった。
総じてこの日の米経済指標は冴えないもので、深夜にかけてのドル安要因となったが、反応は限定的なものに止まり、深夜以降は対ユーロ、対円でドルはやや戻した。

8月2日はADP民間雇用統計がある。非農業部門民間就業者数に対する市場予想は+19.0万人で前月の+15.8万人から拡大する見込み。ADPと労働省の雇用統計では大きくずれることもあるが、一応は前哨戦として予想を超える良好さなら本番の労働省雇用統計も良いとの仮定でドル高反応となりやすい。逆に予想の範囲か予想より悪い場合、本番の雇用統計も悪かろうとしてドル安が加速する可能性が考えられる。
8月4日の米雇用統計本番では、失業率が前月の4.4%から4.3%へ改善、非農業部門就業者吸うは前月の+22.2万人から+18.0万人へとやや減速する見込み。平均時給は前月の+0.2%から+0.3%へと改善が見込まれている。こうした事前予想を踏まえて現在も相場は動いているわけで、予想通りか予想より悪ければドル安の流れは変わらないのだろう。ドル高へ反転するにはサプライズ的な強い数字が必要と思われる。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、27日未明のFOMCからの急落で先行スパンから転落し、その後は上抜き返せない状況が続いてきた。1日深夜安値からの反発で2日午前時点では先行スパンの下限に到達している。このまま潜り込み、110.65円超えへ進む場合は先行スパン突破となるため、111.00円前後まで戻す可能性が出てくるかもしれない。しかし、いったん先行スパンを上抜いても110.20円割れへと反落なら先行スパンから再び転落となるため、一段安へ走りやすくなると思われる。

60分足の14本相対力指数は27日安値以降、30ポイント割れを切り返しつつ横ばいとなり、相場が安値を更新してきたのに対しては強気逆行姿勢を見せてきた。1日午前安値と深夜の安値更新に対しては、指数が切り上がり、かつ、50ポイントを超えてきているため、強気逆行からの反発を継続しやすくなっていると思われる。60ポイント台は戻り抵抗圏と思われる。また60ポイントに到達できずに40ポイントを割り込む場合は逆行からの戻りも一巡、次の下落に入る可能性が懸念される。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月24日安値と27日安値をダブル底とし、底割れによる弱気サイクル入りとみてきたが、今回の安値形成期は8月1日の日中から3日にかけての間であるため、1日午前安値と1日深夜安値による「毛抜き底」型の安値でボトムをつけて戻しに入る可能性がある。1日夜の戻り高値110.57円を超えない内は2日夜、3日への続落警戒とするが、1日夜高値を超える場合は戻り高値を試す反発期として2日午後から2日夜にかけての上昇余地が出てくると思われる。ただしその場合も安値更新なら底割れによる新たな弱気サイクル入りとして次の底形成期となる4日夜から8日への下落継続へ進むと考える。

以上を踏まえて、2日午後から3日朝にかけてのポイントを示す。
(1)1日夜高値110.58円を超えない内は下げ渋りに過ぎず、1日夜安値109.92円割れからの一段安で109.50円以下を目指すとみる。
(2)1日夜高値を上抜く場合は、短期的なリバウンドに入っていると仮定して110.70円から111.00円への上昇を想定するが、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。また110.20円割れからは下げ再開、一段安へ向かいやすいとみる。
(3)ADP民間雇用統計から下落が加速する場合、109円試しまで下値目処を引き下げる。逆に強気反応の場合は111円超えもありうるとみるが、111円台を維持できずに反落するところからの下げ再開を想定する。(了)<10:00執筆>

【当面の主な予定】

8月2日
21:15 (米) 米7月ADP全国雇用者数 (6月 +15.8万人、予想 +19.5万人)

8月3日
01:00 (米) メスター米クリーブランド連銀総裁講演
04:30 (米) ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁講演
17:00 (欧) ECB経済報告
20:00 (英) 英中銀 政策金利 (予想 0.25%に据え置き)
20:00 (英) 英中銀 資産購入枠 (予想 4350億ポンドに据え置き)
21:30 (米) 米新規失業保険申請件数 (前週 24.4万件)
23:00 (米) 米7月ISM非製造業景況指数 (6月 57.4、予想 56.8)
23:00 (米) 米6月製造業受注指数

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る