<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル安・円高。ただ、一本調子の変動ではなく、上下動も激しい。結局、週末には一時111円割れを試す展開も観測されるなど、週足チャートは2週続けての陰線引けとなっている。
ここ数ヵ月、月曜日早朝は「荒れ模様のオープン」となることがなかば恒例化しており、先週は東京市場の休場とあわせて荒れ相場が懸念されたが、フタを開けたら平穏。日本の安倍首相ならびに米国のトランプ大統領がともに「最新世論調査で支持率が急降下している」との報道が観測されたほか、月曜日には中国の経済指標がまとめて発表されたものの、影響はさほど大きなものとならなかった。
週明け東京を112.45-50円で寄り付いたのち、112.87円の週間高値をつけるもドル高は続かず。そこから111円半ばまで1円以上値を下げたあと、再びドル買いが進み112円台を回復するなど、激しい上下動をたどっている。最終的には、週末にかけて改めてドル売り基調が強まる展開となり、111.01円の週間安値を記録。111.10円レベルと、週間を通したドルの安値圏で越週に。
一方、1週間を通した主な材料としては、前述した日米世論調査以外で、ブルームバーグが「米共和党上院議員でさらに2人がヘルスケア法案に反対へ」と報じたうえ、米通商代表部は議会宛ての文書で「北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で通貨安阻止に意欲」との考えを示したことを受けた、米経済政策に対する懸念が急浮上し、ドルの弱材料に。
また、トランプ氏長男が公聴会に出席する見込みとなり新たなステージ入りが指摘される「ロシアゲート事件」に関する報道や、「米中包括経済対話」の物別れ、日銀が「金融政策の現状維持を決定」と発表したことに続き、黒田日銀総裁からは「今後も強力な金融緩和を粘り強く推進していく」との発言が聞かれている。さらに、週末にはスパイサー米大統領報道官の辞任報道を受け、トランプ政権の基盤を揺るがしかねないとの懸念が市場に広がるなど、全般的にドル売り要因が重なった週だった。
<< 今週の見通し >>
もともと筆者は、今月初めなどにみられた115円トライの動きは行き過ぎと考えており、調整を予想していたものの、それでも想像を超えるスピードでのドル下落をたどっている。下げ幅も想定より深い。
しかし、テクニカルに見た場合、日足では移動平均の200日線(111.85-90円)、週足では一目均衡表の先行帯の雲の上限(112.05-10円)−−など、クリティカルサポートをことごとく下回っており、リスクは下向き、ドルの続落を考えざるを得ないだろう。4月安値108.13円と6月安値108.75円でダブルボトムを形成、ドル高基調に転換したと考えていたが、ヒョッとすると、多少の時間を要しつつも、このまま108-109円台まで続落し、「トリプルボトム」をうかがう動きをたどるのかも知れない気もしてきた。
テクニカルには、前述したように日足、週足ともに移動平均や一目均衡表で見た複数サポートをザラ場だけでなく、週末NYクローズベースでも下回っている。基本的にはドル安リスクが高く、続落が気掛かりだろう。
しかし、先週下げ止まった111円レベルは、6月安値108.75円を起点とした上げ幅のフィボナッチ61.8%押し(110.95円レベル)に近い。また、その少し下、110円後半には日足・一目均衡表の先行帯の雲の下限が位置することで、目先はいったん下げ渋るかどうかにまずは注目したいところだ。
一方、材料的には、今週も発表される米経済指標ならびに、25-26日のFOMCにまずは要注意。後者について、市場予想は現状維持であり、そうした意味では影響は限定的か。ただ、次回以降の利上げについて強気の見方などが示された場合には、ドルの反発要因となる可能性も否定出来ない。
また、それ以外では引き続き発表される米企業決算や、米議会で何度か予定されている「トランプ米大統領の娘婿や長男などのロシア疑惑をめぐる証言」などにも警戒を要したい。経済運営に加え、政権運営への不安も取り沙汰されているだけに、証言を受けて、いったんの悪材料出尽くしとなるのかどうかが、先行きを見極めるポイントになりそうだ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、109.80-112.50円。ドル高・円安については、111円半ばが最初のターゲットで、抜けてもその上には移動平均の200日線や、週足・一目均衡表の先行帯の雲の上限などが位置しており、ドルの戻りを阻みそうだ。上値は重そう。
対するドル安・円高方向は、前述した6月安値を起点としたフィボナッチ61.8%押しに当たる110.95円レベルの攻防にまずは注目。割り込んだ場合には、ドルの下値余地が再び拡大し、心理サポートである110円も視界内に捉えられかねない。(了)
オーダー/ポジション状況
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