ドル円見通し 11日深夜からの下げ一服(7/14)

米連銀のイエレン議長は前日の下院金融サービス委員会で金融政策に関する半期に一度の議会証言を行ったが公開された証言テキストおよび実際の証言内容では、

ドル円見通し 11日深夜からの下げ一服(7/14)

ドル円見通し 11日深夜からの下げ一服

ドル円は7月11日深夜に114.49円まで上昇、6月15日未明の米FOMCによる利上げ決定からの上昇における高値を付け、5月11日の114.36円をわずかに超えたが、その後は高値警戒感から反落、さらに12日夜のイエレン議長下院議会証言において市場が懸念していた利上げペースの加速姿勢が示されずハト派的な内容だったことで112.91円まで下落、13日の日中も112.85円まで続落した。しかし、113円割れは12日夜、13日の日中ともに買い戻され、14日早朝時点では113円台序盤を維持している。
11日深夜高値から13日昼安値までは1.64円幅となり、6月15日以降の上昇過程における小調整安のレベルを上回り、日足ではこの間維持してきた9日移動平均を割り込む状況となっている。
今年1月後半以降、3月10日高値115.50円、5月11日高値114.36円等を含めて114円台から115円台前半にかけてのゾーンが大きな抵抗となってきたことも踏まえると、現状から上昇再開して高値更新へ進めない場合、1日、2日程度の調整レベルではなく、週をまたいで調整安が拡大する可能性も懸念される。

【議長証言、FOMCメンバー発言】

米連銀のイエレン議長は前日の下院金融サービス委員会で金融政策に関する半期に一度の議会証言を行ったが公開された証言テキストおよび実際の証言内容では、「今後数年、緩やかな利上げが適切」との認識を表明し、市場が懸念していた利上げペースの加速姿勢を示さず、やや消極的でハト派的なスタンスだった。13日も上院で同様の議会証言を行ったが、新たな内容はなく、市場の反応は乏しかった。ただ、今後数年での3%成長は極めて困難とし、トランプ政権が掲げる3%成長が難しいとの姿勢を示した。このことは経済成長への懸念により、利上げペースが慎重となってゆくことを示唆し、タカ派的な展開になりにくい印象を与えた。

米ダラス連邦準備銀行のカプラン総裁は13日の講演で、FRBの資産圧縮についは「年内の遅い時期に始めるのが適切と思われる」との考えを示した。また追加利上げに関しては物価の下振れリスクから「徐々に忍耐強く」進める必要性を強調した。

米連銀のブレイナード理事は13日の講演で、資産圧縮については「比較的早期が望ましいだろう」としたが、「追加利上げを判断する前に物価動向を詳しく見極めたい」として利上げを急ぐべきではないとの姿勢を示した。同理事は米連銀内での「ハト派」の代表とされる。

資産圧縮開始に関しては先般公開されたFOMC議事録でも早期派と年末派の見解が分かれていることが示されている。今後の米経済指標、物価動向等により9月あたりになるのか、12月までずれ込むのか、不明確な状況にある。今のところは「いずれ資産圧縮が始まる」という程度に止まっている。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)は13日、米ワイオミング州ジャクソンホールで8月24日から26日にかけて開催される経済シンポジウムにECBのドラギ総裁が3年ぶりに講演すると報じた。ECBの量的金融緩和政策の今後の縮小方針に関して示唆する可能性があるとされた。

米労働省が発表した週間の新規失業保険申請件数は24万7000件となり前週比3000件減少し、市場予想の24万5000件を上回った。前週は24万8000件から25万件に上方修正された。
米労働省が発表した6月の生産者物価指数前年比は全体が+2.0%となり、市場予想の+1.9%を上回ったが、前月の+2.4%から後退した。コア指数の前年比は+1.9%で、市場予想の+2.0%、前月の+2.1%を下回った。

ユーロドルは12日高値から下落基調にあり、ユーロ安ドル高要因となっている。一方、前日に利上げを決定したカナダドルは高値圏を維持して落ち着いている。カナダの利上げと原油相場反発を背景に豪ドルが上昇、NZドルもつれて上昇しており、オセアニア通貨高がドル安要因となっている。英ポンドは上昇、ドル安要因となっている。メジャー通貨の加重平均であるドル指数は安値圏での持合いで、方向感に欠けている。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、11日深夜の反落により遅行スパンが悪化=実線を割り込み、先行スパンの中へ潜り込んだが、12日午前の一段安により先行スパンからも転落した。
12日深夜以降、113円割れを切り返しつつ安値圏での持合い的な展開に入っているため、遅行スパンは好転しやすいところにあるが、113.50円を超えて続伸してこないうちは実線と交錯を繰り返して方向感に欠ける程度に止まると思われる。
113円台序盤から113.60円台にかけては先行スパンが分厚く抵抗帯を形成しており、113.20円前後がスパンの下限となっている。先行スパンに潜り込む上昇へ進めば先行スパン突破を試しにかかることになるが、突破して11日深夜高値へ再挑戦するには抵抗としてかなり分厚い印象だ。

60分足の相対力指数は12日の急落で30ポイントを割り込んだが、12日深夜安値と13日昼安値との間では指数が切り上がっているため、下げ一服ないしはリバウンド入りの可能性がある。60ポイントを超えてくれば上昇再開感が強まるが、超えないうちは安値圏での下げ渋り持合いに止まる可能性がある。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、7月6日安値を前回のサイクルボトム。11日深夜高値を同サイクルトップとして下落した。今回のサイクルボトム形成期は12日から13日にかけての間と想定されたが、13日昼安値から戻しているため、ひとまず13日昼安値で直近のサイクルボトムをつけたと思われる。このため、新たな安値更新を回避するうちは14日夜から18日にかけて上昇する可能性があるが、13日昼安値を割り込む場合は底割れによる新たな下落期入りとして、次の安値形成期となる18日から20日への下落へ進む可能性が高まる。

以上を踏まえると、113.50円を超え、さらに113.70円超えへ進む場合は先行スパン突破となり、11日深夜高値を再び試す上昇入りとなる可能性が考えられるが、113.50円に届かないか、一時的に上抜いても失速する場合は13日昼安値を試しつつ、安値圏での持合いに止まる可能性が考えられる。また13日昼安値を割り込む場合は一段安入りとして112円台前半への下落へ進む可能性が懸念される。(了)<6:30執筆>

【本日の主な予定】

7月14日
(日)13:30 5月鉱工業生産・確報値
(米)21:30 6月消費者物価指数前年比 (5月 +1.9%、予想 +1.7%)
(米)21:30 6月消費者物価指数・コア前年比 (5月 +1.7%、予想 +1.7%)
(米)21:30 6月小売売上高 前月比 (5月 -0.3%、予想 +0.1%)
(米)22:15 6月鉱工業生産 前月比 (5月 0.0%、予想 +0.3%)
(米)22:15 6月設備稼働率 (5月 76.6%、予想 76.8%)
(米)22:30 カプラン米ダラス連銀総裁、講演
(米)23:00 7月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (6月 95.1、予想 95.0)

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