<概況>
週明けのドル円は10日午後に114.30円まで上昇、6月15日の米FOMCから上昇して来たが、この間の高値を更新し、5月11日高値114.36円に迫った。高値更新には至らず、深夜以降はやや押して114円を割り込みつつある。
ECB、英中銀の金融緩和政策終了への思惑による欧州長期金利上昇、米連銀の着実な利上げ計画の実行継続とバランスシート圧縮への動きを背景とした米長期金利の上昇、これらが低位安定の日本の長期金利差を意識させてクロス円全般の上昇を招き、ドル円も上昇基調を継続してきた。
7日の米雇用統計に先立って7日午前には日銀が指値オペを実施したことで113.83円へ上昇、さらに米雇用統計が良好だったことにより7日深夜には114.17円まで上昇した。
週明け、日銀の黒田東彦総裁は定例支店長会議で「2%の物価目標の実現を目指し安定持続に必要な時まで緩和を継続」と挨拶し、金融緩和継続姿勢を強調した。日経平均も151円高と上昇して2万円を回復し、リスクオン心理を助長した。日経平均が2万円台を維持し始める場合は株高円安のセット感が拡大し、ドル円上昇基調を継続させやすくなると思われる。
ただ、114円台に乗せ、5月11日高値114.36円に迫った状況はテクニカル的な高値警戒感も抱かせるところだ。
【イエレン議長の議会証言と米小売、消費者物価】
今週は12、13日にイエレン米連銀議長が議会証言を行う。そこで現在の利上げペースを維持しつつバランスシート圧縮計画の早期実行姿勢を強調すれば円安ドル高を一段と進行させやすくなる。逆に慎重姿勢が滲むようだとこれまでの上昇に対するブレーキとなる可能性もある。
13日には米生産者物価、14日には米消費者物価と小売売上高の発表がある。6月15日未明の前回FOMC直前に米消費者物価指数と小売売上高が予想外に悪かったことでFOMCに影響を与えるのではないかとの懸念からドル円が急落して109円割れとなり、FOMCが従来姿勢を継続したことから反騰するという展開になり、その後の流れが形成された。今回の米小売統計は前月からやや改善見込みだが、米消費者物価は前月からやや伸びが鈍化する可能性もあるため、イエレン議長の議会証言に続くこれら統計内容にも波乱要素があるかもしれない。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では、7日午前の日銀指値オペによる上昇から先行スパンを突破、遅行スパンも好転してきた。11日未明時点でも両スパンは好転しているが、10日夕高値から伸び悩んでいるために26本基準線を割り込み、遅行スパンは悪化しやすくなっている。
先行スパンが113円台後半にある。上限は113.70円から114.00円にかけて上昇中であり、113.80円台が当初の下値支持線となり、113.80円割れの場合は先行スパン下限の113.60円台を試す可能性があるが、そこまでは押し目買いから次の上昇へ進みやすいと思われる。また114円割れを切り返しつつ概ね114円台を維持する場合は先行スパンを上抜いた状況の継続として一段高へ進みやすいと思われる。
60分足の相対力指数は7日深夜高値と10日の高値更新の間でやや弱気逆行しているため押し目を入れやすい姿だが、50ポイントを割り込んでも回復してくるうちは上昇トレンドの継続とし、60ポイント超えからは高値更新へ進みやすいと思われる。
概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、7月6日昼安値を直近のサイクルボトムとして上昇してきた。前回サイクルトップは5日夕刻の為、今回の高値形成期は10日午後から12日にかけての間と想定される。このため10日午後高値でサイクルトップをつけている可能性もある。調整に入る場合は次のボトム形成期となる11日昼から13日にかけての下落とその後の反騰というイメージになろうか。
以上を踏まえ、11日の日中から夜へのポイントを示す
(1)114円割れを切り返す内は上昇継続とし、10日高値超えの場合は5月11日高値114.36円から114.50円台への上昇を想定するが、114.50円以上は高値警戒、調整安を入れやすいものと注意する。
(2)113.90円割れからは113.60円前後への下落を想定するが、113.60円台から113.50円にかけては押し目買いが入りやすいとみる。ただし、114円割れの状況が続くと、11日夜から12日にかけて調整期が長引く可能性にも注意する。(了)<5:30執筆>
【当面の主な予定】
7月11日
(米)12:05 ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演
(米)23:00 米5月卸売売上高
7月12日
(米) 1:30 ブレイナードFRB理事、講演
(日)13:30 5月第3次産業活動指数
(加)23:00 カナダ中銀(BOC)政策金利発表 (現状 0.5%、予想 現状維持)
(米)23:00 イエレンFRB議長、米下院金融委員会 半期金融政策報告証言
オーダー/ポジション状況
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