リスクはドル高方向だが、懸念要因も(週報7月第二週)

先週のドル/円相場は、ドル高・円安。週末には一時5月11日以来の114円台を回復するなど、1週間を通してドルの強さならびに、円の弱さが目に付いた1週間だった。

リスクはドル高方向だが、懸念要因も(週報7月第二週)

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先週のドル/円相場は、ドル高・円安。週末には一時5月11日以来の114円台を回復するなど、1週間を通してドルの強さならびに、円の弱さが目に付いた1週間だった。

ここ数ヵ月、月曜日早朝の恒例となっている「荒れ模様のオープン」は先週も。前日行われた東京都議会選で自民党が歴史的惨敗を喫し、国政への影響も懸念されたことで、クロスを含めた円絡みの通貨ペアは円買い優勢でスタート。上方向に大きなギャップを空けて寄り付く通貨ペアが少なくなかった。
前週末NYを112.40円レベルで大引けたドル/円も、112.05-10円でオープンとなったが、結局そのレベルが週間を通してのドル最安値に。その後は小刻みな上下動をたどりつつも、ドルは下値を切り上げる展開となり、週末にはついに114円台へ。NYクローズでは114円台を維持できなかったが、それでも引け値は113.90円レベルと、ドルは週間高値で越週している。

一方、1週間を通した主な材料としては、4日・火曜日に「北朝鮮がミサイルを発射し、排他的経済水域に落下したもよう」「北朝鮮が午後3時半に重大発表を行う(結果は、「大陸間弾道ミサイル・ICBMの発射に成功」との発表)」といった地政学リスクの再燃が取り沙汰されたものの、マーケットは打たれ強くなっており、影響は限定的だった。
その後は徐々に米経済情勢ならびに金利ファクターへの関心が高くなり、週末・7日に発表された6月の米雇用統計のうちもっとも関心の高かった非農業部門雇用者数が事前予想を上回る内容となったことが好感されると、114円台突破に向けたドル買い・円売りに弾みをつけている。

<< 今週の見通し >>

5月高値である114.38円を完全に視界内に捉えた格好で、リスクは間違いなくドル高・円安。前述した5月高値を超えれば3月高値115.51円がターゲットとなりそうで、日米金利差などに着目すれば、ドルはさらなる高値をトライする可能性も否定できないだろう。
ただ、若干気になるポイントが2つある。ひとつは、マーケットの反応が非常に鈍くなっている北朝鮮情勢、アジアの地政学リスクで、これを無視し続けてよいのかという疑問があること。そしてもうひとつは、先週末のG20に際して実施された日米首脳会談でも話題となった「対日貿易赤字問題」だ。そして、こらちについては、トランプ米大統領から「米国には対日貿易赤字という課題がある」との発言も聞かれていた。「円安誘導」など為替への言及がなかったとはいえ、先行きに関しては予断の許さない気もしている。

テクニカルには、前述したように5月高値114.38円だけでなく、3月高値115.51円も視界内に捉えられてきた。リスクはドル高・円安にかけざるを得ないが、こちらも気になる要因が2つある。
ひとつは、これまで何度かレポートしてきた今年に入ってからは、「奇数月にドルの天井記録、偶数月にドル底値を記録」−−というパターンを形成していること。そしてもうひとつは、ドル/円は先週まで4連続の週足陽線を記録しているが、今年に入ってから5連続の週足陽線は一度も観測されていないことになる。ポジションの偏りもだいぶ観測されるようになってきたこともあり、そろそろ調整先行の動きにも注意を払いたい。

一方、材料的には、引き続き発表される米経済指標が要注意だが、今週発表される指標はやや小粒なものが多く、若干動きにくい雰囲気も。それより今週は、12日に予定されているイエレンFRB議長の議会証言を始めとしたFRB幹部の発言に要注意か。先週末に発表された米雇用統計が強かったことで、12月追加利上げなど年内利上げ観測に強気の見方が示されれば、ドルの支援要因に。
また、それ以外では発表される米企業決算や、米国債の入札、先週は円キャリートレード再開観測なども聞かれ、円全面安の傾向をたどっただけに、米国以外の要人発言なども波乱要因として注意しておきたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、112.50-115.00円。ドル高・円安については、先週高値の114.18円、そして5月高値の114.38円などの攻防にまずは注目で、抜ければ心理抵抗の115円レベル、そして3月高値の115.51円などがターゲットとなろう。
対するドル安・円高方向は、113円半ばに弱いサポートがあるが、割り込むようだと週足・一目均衡表の基準線なども位置してする112.70-80円などが次のサポートとして意識されそうだ。(了)

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