<概況 ドル安と長期金利格差による円安が交錯>
6月29日深夜への上昇で112.92円をつけたが、113円には届かず、その後に111.81円まで急落、下げは1.11円幅であった。その後は112円を挟んだ持ち合いで安値圏に止まっている。
6月27日のドラギ総裁講演発言をきっかけとしてECBが金融緩和終了、引き締めへと転換するのではないかとの見方が強まってユーロが急伸、28日、29日もさらに続伸している。28日はECB副総裁等がブレーキを掛ける発言をしたことで一時的に下げる場面もあったが市場の先高感がかなり強いようだ。
28日にカーニー英中銀総裁発言から英国も金融緩和政策を終了して引き締めに転じる可能性が早まったとしてポンドが上昇、29日も続伸している。
29日は豪ドルの上昇も目立った。6月21日にかけて大幅下落していた原油相場が持ち直しに入ったこととユーロ、ポンド高への連鎖が背景と思われる。
ユーロ、ポンド、豪ドル等の上昇を背景にドル安感が強まっており、メジャー通貨の加重平均であるドル指数も3日連続で急落している。
ユーロ高は独10年債利回り急伸を招き、ポンド高も英10年債利回り急伸、豪ドル高も豪10年債利回り急伸を招いている。これらにつられる形で米10年債も連騰している。日本の10年債は動かないため、日米の長期金利格差拡大によるドル買い円売りが29日夜へのドル円上昇の背景となったと思われる。
しかし、金利差ではドル高円安だが、ドルそのものは下落しているので、バランスが崩れればドル円も円高へと失速する。それが表れたのが昨晩深夜の反落であろう。
欧州委員会が発表した6月のユーロ圏景況感指数が111.1となり、5月の109.2、市場予想の109.5を上回り、2007年8月以来の高水準となった。これはユーロ高、欧州長期債利回り上昇へ寄与した。
米商務省が発表した1〜3月期のGDP確報値は季節調整済み年率換算で前期比1.4%増となり、市場予想の1.2%増を上回った。これは米連銀の追加利上げ可能性を高め、米長期債利回り上昇に寄与した。米労働省が発表した先週の週間失業保険申請件数は前週比2000件増の24万4000件となり、市場予想の24万件を上回ったが良好な範囲だった。
【60分足 一目均衡表、相対力指数、サイクル分析】
29日深夜の下落で遅行スパンは実線を下回って悪化した。先行スパンからも安値では転落したが、その後は112円を挟んだ持ち合いのため、スパン下限に張り付いた状況にある。先行スパンの上限は112.19円、26本基準線は112.37円にある。先行スパンを上抜き返して基準線超えなら上昇再開と思われるが、先行スパン転落から一段安しやすい姿となっている。
60分足の14本相対力指数は27日深夜高値と29日深夜高値との間で弱気逆行(相場が高値を更新したのに指数が高値を切り下げる)を見せ、深夜の下落で50ポイント割れとなっているので、50ポイント台を回復、維持へと進めない内は安値試しが続く可能性を示唆する。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、29日夜高値を直近のサイクルトップとした下落期入りと思われる。27日夕安値を基準として今回の安値形成期は30日から7月4日にかけての間と想定される。やや短縮されて上昇期入りするには昨晩の下落幅の半値以上を解消する上昇が必要であり、そこまで戻せない内は30日夜、あるいは週明け朝へ一段安しやすい時間帯にあると思われる。
(1)先行スパンを上抜き返せば基準線試しとし、基準線超えの場合は昨晩高値をもう一度試す上昇へ進む可能性がある。ただし、昨晩の急落を踏まえれば、昨晩高値前後でダブルトップ形成(毛抜き天井型)から反落しやすいとみる。
(2)基準線超えまで戻せない内は一段安注意とし、111.81円割れからの一段安入りでは、111.50円から111.00円のゾーンを試す可能性を警戒する。
(3)112円以下で週を終える場合は週明けも安値試しを継続する可能性を優先する。(了)<9:40執筆>
【本日の主な予定】
6月30日
(中) 10:00 中国6月製造業PMI (5月 51.2、予想 51.0)
(米) 21:30 米5月個人所得 (4月 +0.4%、予想 +0.3%)
(米) 21:30 米5月個人消費支出 (4月 +0.4%、予想 +0.1%)
(米) 21:30 米5月コアPCEデフレーター (4月 +0.2、予想 +0.1%)
(米) 22:45 米6月シカゴ購買部協会景気指数 (5月 59.4、予想 58.0)
(米) 23:00 米6月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値(速報 94.5、予想 94.5)
オーダー/ポジション状況
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