<概況>
6月15日未明の米連銀FOMCを前にした14日、ドル円は110円台序盤で小康状態だった。しかし、14日夜に発表されは米消費者物価指数、小売売上高が予想外に悪かったことが小サプライズとなり、FOMCの政策決定にもハト派的な影響が出るのではないかと思惑されて急落、109円割れまで大幅下落してFOMCを迎えた。
FOMCは従来からの予想通り、今年2度目の利上げを決定、バランスシート圧縮計画を進める姿勢、年内3回の利上げ予想の維持(年内あと1回の利上げ)姿勢を示した。年内の利上げ時期に対するヒントはなく、9月利上げの確率は従前からの低さのままであり、12月の利上げ確率も5割に満たない程度のままであった。
このように内容的には想定の範囲であり、金融引き締めへの前のめり感に乏しい「ゆるやかな利上げ姿勢」であり、6月2日の米雇用統計が予想より悪かったことで急落(円高ドル安)したように、また直前の14日夜の下落を継続するような流れになる可能性があったのだが、実際には直前の14日に先取り的に急落したことが過剰反応だったという印象となり、内心は想定以上にハト派的な内容とドル安を期待していた市場にとってはドル高要因のきっかけに転じてしまったということだろう。
15日夜の米経済指標は概ね良好で、14日夜の米経済指標が予想外に悪かったこととは逆となり、ドル高円安に拍車がかかり、15日深夜への上昇で14日夜高値を上抜き、さらに16日未明への続伸で6月9日高値も上抜いた。この上昇は、6月2日の米雇用統計から急落した時とは真逆のインパクトとなっている。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では、15日夜の急騰により遅行スパンが好転(実線を上抜く)、先行スパンを突破した。基準線も切り上がりで上昇している。
現状から横ばい推移に止まる場合や16日夜に110円割れへ下落の場合は遅行スパンが悪化しやすくなるため弱気転換注意となるが、上昇基調を継続するうちは遅行スパン悪化のタイミングは先送りされ、好転状況が続くため、さらに高値を試しやすくなると予想される。
遅行スパン好転中は9本転換線を目先の支持線とし、一時的に割り込んでも基準線割れに至らないうちは上昇継続の可能性を優先し、111円台後半を目指す可能性ありと見る。
9本転換線割れから続落して26本基準線割れへ進む場合は遅行スパン悪化からの弱気転換注意とするが、その場合は先行スパン上限がその後の支持線となってくる。
14本相対力指数は70ポイント台に乗せてきているが、急騰モードの為、60ポイントを上回るうちは弱気逆行現象が発生するか、80ポイントを大きく上回らないうちは買われ過ぎ警戒とまで言えないため、上昇継続しやすいとみる。60ポイント割れからは弱気転換注意とする。
概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、15日未明安値で短縮されたサイクルボトムをつけ、14日夜高値超えにより新たな強気サイクル入りしていると思われる。このため今回の高値形成期は19日夜から21日にかけての間へと延びる可能性がある。ただし、重要イベントによる乱高下の為、サイクルの高値形成が短縮される可能性もあるので、上昇の半値を削る下落=110円割れとなる場合は新たな弱気サイクル入りを検討する。
以上を踏まえると、16日の日中から夜にかけて、110.50円前後までを支持線とし、上回るうちは上昇継続余地ありとし、6月2日雇用統計前高値111.70円前後を試すとみる。高値から0.50円以上下落し、さらに続落する場合、および110.50円割れから切り返せずに続落し始める場合は弱気転換注意として110.00円試しを想定する。(了)<9:30執筆>
【週末の主な予定】
6月16日
南ア市場休場(青年の日)
(日) 日銀金融政策決定会合結果公表
(欧) EU、ユーロ圏財務相会合(ルクセンブルグ、15日から)
(日) 15:30 黒田日銀総裁、会見
(米) 21:30 米5月住宅着工件数 (4月 117.2万戸、予想 122.0万戸)
(米) 21:30 米5月建設許可件数 (4月 122.9万戸、予想 125.0万戸)
(米) 23:00 米6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報 (5月 97.1、予想 97.1)
(米) 23:00 米5月労働市場情勢指数
6月17日
(米) 1:45 カプラン米ダラス連銀総裁、講演
(仏) フランス国民議会(下院)選挙、決戦投票
オーダー/ポジション状況
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