ドル円見通し5月安値割れで小勢2段下げの動き(6/7)

米雇用統計からのドル安という側面の他、市場は8日に重なる重要イベントに注目し、それらに対するリスク回避的な心理を反映して円買いに動いたという状況のようだ。

ドル円見通し5月安値割れで小勢2段下げの動き(6/7)

<概況>

ドル円は急落。週末2日夜に発表された米雇用統計において、失業率が4.3%まで改善されたものの非農業部門雇用者数が予想を大幅に下回る増加数だったために、6月利上げ想定は変わらないものの、9月利上げの確率は低下、利上げペースが加速することは無いだろうと市場は受け止めてドル全面安、ドル円も110円台序盤まで急落。2日高値111.71円から急落後の安値110.33円まで1.38円安であったが、5月18日安値110.23円割れはひとまず回避していた。
6月5日は小康状態のままで横ばいだったが、急落に対する買い戻しの動きは乏しく、下げ渋り持合い程度に留まり、6月6日(火)9時台から下落開始、週末の安値を割り込んだところから売りの連鎖が始まり、5月18日安値も割り込んで一段安へと走った。リバウンド期待の買い方が投げ(損切の手仕舞い売り)を余儀なくされたという印象だ。
一段安からの円高ドル安は深夜まで続き、6日24時台には109.22円まで下落したが、109円割れはひとまず回避、その後はやや落ち着いている。

【6月8日、3つのイベント】

米雇用統計からのドル安という側面の他、市場は8日に重なる重要イベントに注目し、それらに対するリスク回避的な心理を反映して円買いに動いたという状況のようだ。8日には英国総選挙、ECB金融政策発表、コミー前FBI長官の米上院委員会証言がある。

英国総選挙については、メイ首相の野党・保守党を野党・労働党が追い上げているとの世論調査がある一方、労働党が大敗するのではないかとの見方も出ている。世論調査はあてにならないというのが昨年6月のEU離脱国民投票、米大統領選挙で経験しているので、市場も結果が見えるまでは油断できないとしてリスク回避的な動きとなっている。与党勝利なら安心感が広がってポンド高ドル安、ユーロ高ドル安となる一方で、リスク回避感後退によりドル円でも円安へ切り返す可能性がある。

ECB理事会では金融政策現状維持と予想されているが、最近はドラギ総裁が金融緩和延長姿勢、その他の当局者が出口戦略を意識させるような発言をしており、声明および会見で金融緩和継続姿勢が強く打ち出されればユーロ安ドル高と思われるが、ユーロ安円高も想定されるため、ドル円では上昇か下落か、結果からの反応を見定める必要があるだろう。

コミー前FBI長官がロシアゲート問題で上院委員会における証言を行う。下院証言でも踏み込んだ発言をしていないことと、コミー前長官に近い筋の話としてトランプ大統領ないしは側近の介入疑惑、捜査妨害について爆弾発言をする可能性は低いとされているが、これも実際の証言で何を言うのか、それによってトランプ大統領への弾劾訴追の動きが一挙に高まるのかどうかが注目される。

5月17日にドル円は112円割れから大幅下落したが、その時の材料はトランプ大統領弾劾訴追の可能性が高まるとみてのリスク回避的なドル売り円買いであった。ある意味、米連銀の金融政策については織り込み済みとすれば、目下の最大のリスク問題、ドル円動向を左右するのはトランプ大統領弾劾問題かもしれない。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

6月2日夜の米雇用統計から急落したため、60分足の一目均衡表では先行スパンから転落、遅行スパンも悪化した。5日の持合い中には相場が横ばいとなり遅行スパンも横ばいで実線と交錯したが、6日午前の下落で一段と悪化した。先行スパンとのかい離も大きく開いている。
両スパン悪化中は一段安警戒が優先されるが、60分足の14本相対力指数は2日深夜から6日深夜にかけての下落において強気逆行(相場が安値更新したにもかかわらず指数が横ばいに止まる)を見せており、また6日午前から深夜への下落中も指数は20ポイントまでの下げで横ばいとなって「ミニ逆行」を見せている。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、31日深夜安値から4日を経過しているので、5日目となる7日深夜まで一段安する可能性を残すものの、目先のサイクル的な底をつけて戻しても良い時間帯にある。

以上を踏まえると、(1)新たな安値更新へと下げる場合は7日夜、深夜への下落で109円割れ、108円台後半試しへと突っ込む可能性を想定するが、108円台中ば後半は突っ込み警戒、反騰注意とみる。(2)109.50円を超え、維持し始める場合はひとまず短期サイクル的な戻りに入る可能性を優先し、109.80円台から110円試しを想定する。ただし、そこはまた短期サイクルの戻り高値をつけて売られやすいと見ている。
その後は、8日のイベント反応次第ということだが、日足、週足レベルでは5月11日高値で戻り天井をつけ、5月18日安値割れとなったことで波動観測上、下落の二段目入りとなり、先行きは4月17日安値108.13円割れへと下落基調を継続しやすい姿となって来ている印象である。(了)<9:30執筆>

【6月8日の予定】

6月8日
(英) 英総選挙
(米) コミー前FBI長官、米上院情報特別委員会証言

(中) 中国5月貿易収支 (4月 +380.5億ドル、予想 +478.0億ドル)
(欧) 18:00  1-3月期GDP確報値 前期比(速報 +0.5%、予想 +0.5%) 前年比(速報 +1.7%、予想 +1.7%)
(欧) 20:45 欧州中央銀行(ECB)理事会、政策金利発表  (現状 0.00% 予想 据え置き)
(欧) 21:30 ドラギECB総裁記者会見
(米) 21:30 米新規失業保険申請件数 (前週 24.8万件、予想 24.0万件))

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