ドル円見通し FOMC議事録からドル安反応(5/25)

議事録内容は想定の範囲内であり、6月会合での利上げ確率は依然としてかなり高いものの、その後の利上げペースが加速する懸念は後退したとの受け止め方だろう。

ドル円見通し FOMC議事録からドル安反応(5/25)

<概況>

5月25日未明、米連銀のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録公開があった。
5月18日に110.23円まで急落した後は111円台前半を中心に持合いとなっていたが、議事録公開を控えて23日夜にはポジション調整的な買い戻しが入って19日高値を上抜き、24日午後、深夜には112円台をつける場面もあった。
しかし議事録公開からはドル安円高反応となり、111.50円前後まで反落している。
議事録内容は想定の範囲内であり、6月会合での利上げ確率は依然としてかなり高いものの、その後の利上げペースが加速する懸念は後退したとの受け止め方だろう。
議事録公開後、NYダウは74ドル高で5連騰となり、米長期債は上昇(利回り低下)、金利動向に敏感なゴールドが上昇、ドルは対ユーロ、対円、対豪ドル等で下落した。

【FOMC議事録】

米FRBは5月2、3日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録要旨を公表した。
議事録の内容は概ね以下の通り。
(1)大半の参加者は「早め」の追加利上げが適切とした。
(2)複数の参加者は弱いインフレ指標は一時的要因を反映したものとしたが、複数の参加者はインフレ率2%の目標への動きが減速した可能性があるとし、追加利上げの前に最近の弱含みの経済指標が一過性であるというさらなる証拠を待つのが賢明とした。
(3)複数の参加者は金融規制の緩和が金融安定性リスクを高めると懸念を示した。
(4)1〜3月期の成長減速は季節残存性のある近年の傾向を反映したものとした。
(5)複数の参加者は弱いインフレ指標が下向きリスクとした。
(6)トランプ政権の政策は引き続き不確実性があるとした。
(7)参加者はFRB資産について、満期償還分の再投資に上限を設ける方法を検討し、毎月一定額の資産を減らして政策の予見性を保ち、金融市場に配慮する姿勢を示した。また圧縮策の詳細を近く示すことを支持した。

米FOMCは昨年12月に追加利上げを決定し、2017年に3回の利上げ予想を示した。3月に追加利上げが決定され、今回議事録公開となった5月会合では現状維持とされた。ただ、9月の追加利上げや年内のバランスシート圧縮開始問題等が意識されたことで5月11日にかけてドル高が進む状況があった。
5月18日への円高ドル安は米トランプ政権への弾劾訴追の動き等を嫌気したものだが、トランプ大統領が中東・欧州へ外遊に出たため、この問題はひとまず材料的には棚上げとなって市場は議事録公開を待った。24日へのドル高円安はポジション調整的な動きと解釈される。
議事録は概ね想定の範囲。新たな利上げペース加速を意識させるものではなく、慎重論も根強い印象を与えたためにドル安要因となった。
6月会合での利上げ確率は8割弱程度とされ、市場もほぼ利上げされるだろうという見方は変わらなが、その点は市場も織り込んでいる。6月第1週の米雇用統計や主要経済指標が強ければ6月利上げを意識したドル高局面があるかもしれないが、逆に悪い場合は6月の利上げが見送られる可能性も考えられるという印象も与えたかもしれない。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

5月23日深夜の上昇で、60分足では一目均衡表の先行スパンを上抜き、遅行スパンも好転したが、FOMC議事録公開後の円高ドル安によりまず、26本基準線割れ、さらに遅行スパンが悪化(実線を下回る状況)と続いた。先行スパンの上限に迫っているが、111.40円割れから続落する場合は先行スパンからの転落となり、総じて弱気な姿となってくる。
60分足の14本相対力指数は24日朝から深夜にかけて相場がやや高値を切り上げたのに対して指数は高値を切り下げる「弱気逆行」(ダイバージェンス)を示している。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成のサイクルでは、19日未明高値から既に3日を経過しているので、サイクルの高値を付け、下落期に入る可能性がある。
これらを踏まえると111.40円割れに至らないか、一時的に割り込んでも111.80円超えへと戻す場合には18日夜安値以降のリバウンドの流れを継続する可能性が残るものの、111.40円割れからさらに続落の場合は、18日安値からの下げ渋り的な戻りが一巡し、新たな下落期に入る可能性が高まると懸念される。

111.80円超えへと反騰の場合、24日深夜高値112.12円超えを試し、超える場合は112.30円台への上昇を想定するが、積極的なドル買い材料が見られないため、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。
111.40円割れから続落の場合、当初は111円割れを切り返せるかどうかを試すとみるが、23日安値110.86円割れからは一段安開始として18日安値110.23円試しへ向かう可能性、先行きの底割れ、一段安へ進む可能性を警戒する。(了)<9:30執筆>

【25日から26日の予定】

5月25日
石油輸出国機構(OPEC)総会(ウィーン)
トランプ米大統領、トゥスクEU大統領、ユンケル欧州委員長と会談、米仏首脳昼食会

21:30 米 新規失業保険申請件数
23:00 米 ブレイナードFRB理事、討論会に参加

5月26日
G7主要7カ国首脳会議(伊タオルミーナ、27日まで)

08:30 日 4月全国、5月東京区部消費者物価指数
11:00 米 ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
21:30 米 1-3月期GDP・改定値
21:30 米 米4月耐久財受注
23:00 米 米5月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値

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