<概況・ポイント>
5月18日に110.23円まで下落、ひとまず110円割れを回避して111.60円台まで戻したが、その後も111.60円前後まで戻しても失速し、22日深夜、23日は安値で111円を割り込む状況であったが、NY市場での反騰で19日高値を上抜いてきた。
夕刻まではドイツIFO景況指数がかなり良好だったことでユーロ高が進行、ドル円も頭重く、ジリ安型の持合いから抜けられない状況が続いていたが、深夜にはユーロ買いが一巡、またNYダウが4連騰と上昇して株式市場に対する楽観見通しが強まってドル円もややリスクオン的な状況となった。また25日未明のFOMC議事録公開を控えてのポジション調整的な動きも加わり、これまで上昇してきたユーロ、ゴールド、米長期債が下落、ドル円の買い戻し反発に弾みがついた格好となった。
5月11日高値から大幅下落してきたリズムからは、19日高値で戻り一巡、下げ再開へ向かいやすい姿であったが、一段安を回避して持合いで踏み止まり、19日高値を超えてきたことで、一段安を期待していた弱気筋の踏み上げ(損切りの買い戻し)を誘っている状況と思われる。
しかし、ドル全面高、ないしは円全面安への新たな材料、強気心理発生による上昇というよりも一段安へ進めなかったから買い戻されたという印象の為、新たな押上げ材料が付いてこない場合は戻りも限定的なものに止まる可能性がある。
【5月25日未明、FOMC議事録公開】
25日未明にFOMC議事録(5月2日、3日開催分)が公開される。市場は6月会合での利上げ確率がかなり高いとみてきた。一時は利上げ確率予想が9割に達していた状況もある。そうした利上げ予想を踏まえて米長期金利が上昇し、日米10年債利回り格差が拡大したことで5月11日に114円台に乗せるところまでドル高円安が進んだ。その米長期金利上昇が緩んだことで18日にかけて急落したわけだ。18日安値でひとまずドル安円高が一服した状況にあるが、25日未明の議事録公開から再び米長期金利上昇となるか、逆に下落するのかにより、ドル円の趨勢も決まってくるのだろうと思われる。
市場は6月利上げを相当程度は織り込んだが、2017年に3回とされた利上げペースが維持されるのか、9月会合での追加利上げ確率が上昇するのかどうか、年内にFRBのバランスシート縮小開始となるのかを見定める必要がある。
米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は23日(日本時間24日早朝)の講演で、「米連銀の保有資産圧縮は年内に開始するのが望ましい」、「引き続き2017年は3回の利上げが適切だと考えている」と発言した。また講演後の質疑応答においては6月会合で政策金利を引き上げる可能性を「かなり高い」とした。
米商務省が発表した4月の新築一戸建て住宅販売件数は季節調整済み年換算で56万9000戸となり、前月比11.4%減少した。市場予想の61.0万戸を下回ったが、3月分は速報値の62.1万戸から64.2万戸に上方修正され、2007年10月以来の高水準となったため、実勢は強い印象も与えた。統計発表に対する市場反応は限定的なものだった。
米トランプ政権は予算教書を示したが、市場の反応は特に見られない。社会保障費を削減して財政収支バランスをとる計算だが、楽観的な見方で現実味がない印象もある。
トランプ大統領への弾劾訴追の動きは大統領が外遊中の為、話題としては脇に置かれた印象だ。
英国のコンサート会場における爆破事件に対する市場の反応も特に見られなかった。
北朝鮮がミサイル発射実験の経過映像を公表し、ICBM開発能力がさらに進んだ印象を与えたが、市場も特に反応はしていない。朝鮮半島有事リスクについては、ミサイル発射とそれに対する非難が従来のレベルに止まるうちは市場も材料視してこないと思われる。
【60分足 一目均衡表分析】
5月23日深夜の上昇で、60分足では一目均衡表の先行スパンを上抜いた。遅行スパンも好転してきている。このため、両スパンが好転しているうちは戻り高値を試しやすい状況が続くと思われる。
心理的な節目としては112円に抵抗感があるが、18日安値から19日への反発幅を踏まえれば、112円台に乗せて維持し始める場合は112.30円台から112.50円前後試しまで上値目途が切り上がってくる可能性がある。ただし、議事録公開前に112.50円を超えて急騰するには新たな押上げ材料が必要なため、112.30円から112.50円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。
24日の日中における下値支持線は111.50円前後(26本基準線=やや上昇中)とし、111.50円割れの状況が続き始める場合は下落再開注意として111円試しを想定する。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成のリズムで見れば、18日安値から3日目となる23日安値で目先の底をつけて戻している印象だ。19日の戻り高値を基準とすれば今回の高値形成期は24日の日中から26日にかけての間と想定される。FOMC議事録公開から上昇なら25日夜、26日朝への上昇継続で上値目途を切り上げて113円台を目指す可能性が考えられるが、逆に議事録から下落なら新たな下落期入りとして26日から30日にかけての下落で18日安値を割り込む可能性が考えられる。変化の局面だ。(了)<9:25執筆>
【24日から25日の予定】
5月24日
トランプ米大統領、ローマ法王、会談
米下院公聴会(コミー前FBI長官の証言)
04:15 米 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
06:00 米 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
09:00 日 黒田日銀総裁、日銀主催の国際コンファランスで冒頭挨拶
09:25 日 バーナンキ前FRB議長、日銀主催の国際コンファランスで講演
21:45 欧 ドラギECB総裁、講演
22:00 米 3月住宅価格指数
23:00 米 4月中古住宅販売件数
5月25日
石油輸出国機構(OPEC)総会(ウィーン)
トランプ米大統領、トゥスクEU大統領、ユンケル欧州委員長と会談、米仏首脳昼食会
03:00 米 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公表(5月2-3日開催分)
オーダー/ポジション状況
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