ドル円見通し 戻し切れず安値を試すか(5月23日)

急落から反発しても、その後は横ばいに止まれば下げ渋りレベルであり、下げ再開へ向かいやすい。今回は5月11日の114.36円を起点として15日早朝へ下落、

ドル円見通し 戻し切れず安値を試すか(5月23日)

<概況>

5月16日夜に113円割れ、17日深夜に112円割れ、さらに18日には110.23円まで下落して円高ドル安が進んだが、110円割れをひとまず回避して19日には111.69円まで戻した。しかしこの戻りには勢いがつかず、19日未明、19日夜、週明け22日午前と111.60円台で戻り抵抗にあって下落、22日朝は111円割れを回避したものの22日深夜には111円を割り込み、その後に若干戻すも23日早朝には111円を再び割り込んでいる。

【三段下げが警戒】

急落から反発しても、その後は横ばいに止まれば下げ渋りレベルであり、下げ再開へ向かいやすい。今回は5月11日の114.36円を起点として15日早朝へ下落、18日へは二段目の下げであり、二段目の下げ一服で戻したがその戻りに勢いがつかずに下げ再開となれば、三段下げの三段目へ入ってゆく可能性が懸念される。エリオット波動における5波動三段下げにおける第4波としての小反発から小持合い、持合い放れから第5波=三段下げの三段目へ入る可能性が考えられる。
三段目の下げで底割れを回避し、第4波の戻り高値を上抜き返せば下落リズムからの脱却となり、上昇サイクルを形成してゆく可能性があるが、安値更新の場合は第5波=三段目の下げ波動がさらに拡大発展してゆく可能性も出てくると注意したい。

【株式市場は楽観的だがドル安基調は継続】

中東歴訪中のトランプ大統領はサウジアラビアと巨額の武器売却で合意したと報じられ、防衛関連株高によりNYダウは3連騰した。トランプ大統領への弾劾訴追の動きが出てきたと米国リスクが意識された17日には372ドル安と急落したが、その後は56ドル高、141ドル高、この日は89ドル高と続伸しており、リスク回避感は後退した印象だ。株高は本来ならリスクオン心理によりドル円においてもドル高円安要因となりやすいのだが、今回は株高の一方でドル安が進んでいるため、ドル円にとっては株高が多少の下支えではあるものの下落継続感をぬぐえない状況と言える。

ドル指数は1月3日に103.82ポイントまで上昇していたが、その後は下落基調にあり、22日は97ポイントまで下落、7%近い下落となっている。12月に米連銀の追加利上げが決定され、利上げ材料消化で下落に転じた。その後も何度かリバウンドを入れ、6月の追加利上げの可能性も確実視されてはいるものの、そこまでは既に織り込み済として下落基調を継続している。
ドル円とドル指数はほぼ正相関で推移するが、4月17日から5月11日にかけてドル円が大幅反発したのに対し、ドル指数は殆ど戻せずにいた。このためドル円の反発がやや過剰だったという印象がある。ドル指数が4月安値も割り込んで一段安する中でドル円の戻し過ぎが目立ち、ドル指数を追いかけるような下落へと進みやすい状況かもしれない。

ドイツのメルケル首相がベルリンのイベントにおいて「ドイツの貿易黒字はユーロ相場と原油価格の二つが押し上げ要因となっており、これらはいずれも政府の管轄外だ」「ユーロがECBの政策により弱過ぎるためドイツ製品が相対的に安価となっている」と述べたが、これはユーロが上昇しても構わないという旨のメッセージと解釈されてユーロ高ドル安に寄与している。

25日未明にFOMC議事録公開があるので、そこで年内の利上げペース、バランスシート縮小への姿勢がどの程度なのかにより、ドル安感がさらに高まるか、ドル高がぶり返すかの手掛かりとなる可能性がある。ドル指数に代表されるドル全般の下落基調が継続なら、ドル円も4月安値をもう一度試す、あるいは底割れする可能性も警戒される。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

19日未明へ戻したものの横ばいに止まり、この間は概ね先行スパン内での推移となってきたが、111.60円台で抵抗にあってややジリ安となり、23日早朝の下落で111円を割り込んできたため、先行スパンから転落し始めている。遅行スパンも悪化してきている。現在、先行スパン雲入りの攻防中。
急落一服での下げ渋り反発、持合いから上昇へと転じられずに持合いから下放れ始めてきた印象のため、111円割れの継続=先行スパンからの転落状態の継続中は18日安値試し、あるいは底割れへ向かいやすい状況だと思われる。

概ね3日から5日周期の短期的な底打ちリズムでは、18日安値を基準として23日夜から25日にかけては安値形成しやすい時間帯だと思われる為、先行スパンを上抜き返す=111.34円以上へ戻し、その後もその水準を維持するような反発へ進めないうちは23日夜への下落警戒を優先する。
18日安値割れ回避か、わずかに割り込んでも切り返して19日高値を上抜き返す場合はダブル底形成からの反騰入りとなる可能性もあるが、底割れの場合は19日への戻り幅の倍返しで108円台を試す可能性を考えたい。(了)<9:10執筆>

【23日から24日の予定】

5月23日
米 予算教書
10:10 米 エバンス米シカゴ連銀総裁、講演
22:00 米 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、会見
23:00 米 4月新築住宅販売件数
23:00 米 5月リッチモンド連銀製造業指数

5月24日
トランプ米大統領、ローマ法王、会談
米下院公聴会(コミー前FBI長官の証言)

04:15 米 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
06:00 米 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
09:00 日 黒田日銀総裁、日銀主催の国際コンファランスで冒頭挨拶
09:25 日 バーナンキ前FRB議長、日銀主催の国際コンファランスで講演
21:45 欧 ドラギECB総裁、講演
22:00 米 3月住宅価格指数
23:00 米 4月中古住宅販売件数

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