3週連続で週明けから上昇、週末に調整安(5/12)

NY連銀総裁の講演では慎重な資産縮小スタンスが示され、米生産者物価指数は予想を上回り、週間の失業保険申請件数も予想を下回る良好さ、

3週連続で週明けから上昇、週末に調整安(5/12)

<概況>

5月11日朝、114.36円まで上昇して5月10日未明につけた114.33円をわずかに上抜いたのだが、その後は高値更新へ進めず、11日深夜には113.45円まで下落、10日午前安値を割り込んだ。その後はやや戻しているが114円台を回復できずにいる。
NY連銀総裁の講演では慎重な資産縮小スタンスが示され、米生産者物価指数は予想を上回り、週間の失業保険申請件数も予想を下回る良好さ、英中銀が政策金利を現状維持としたが成長見通しを下方修正したことでポンドが下落、これらはドル高要因であったが、NYダウが企業決算の悪化に伴い下落、SPやナスダックも下げたことで株安感が広がり、それと逆相関で米長期債が上昇、利回りが低下したたことがドル円には売り圧力となった。また114円台でのダブルトップ感、これまでの上昇基調に対する高値警戒感から速度調整的な下落となった印象だ。

【米経済指標は良好、利上げ環境は整う】

米労働省が発表した週間新規失業保険申請件数(季節調整値)は23万6000件となり、前週比2000件減少で市場予想の24万5000件を下回った。先の米雇用統計も含め、労働市場環境の改善傾向が顕著である。
米労働省が発表した4月の生産者物価指数は前月比0.5%上昇して市場予想の0.2%上昇、前月のマイナス0.1%を上回った。また前年比は2.5%上昇となり、2012年2月以来の伸び率で、市場予想の2.2%上昇、前月の2.3%上昇を上回った。食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.4%上昇。前年比では1.9%上昇し、市場予想及び前月の1.6%上昇を大きく上回った。
12日夜には米消費者物価指数の発表があり、市場予想では全体の前年比が+2.3%(前月は+2.4%)、コア指数の前年比予想は+2.0%(前月も+2.0%)となっている。景気に悪影響を及ぼすレベルではない範囲での米連銀によるインフレ目標を実現してきており、6月利上げ、9月の追加利上げの可能性に寄与する数字が予想されている。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は講演における発言で「(金融当局は)今年ないし来年にバランスシートの縮小を開始する」「ただし政策引き締めを急いではおらず、当局の措置により混乱が生じ世界経済に悪影響が及ばないよう、慎重に行動する」と述べた。
10日夜にはボストン連銀総裁が年内あと3回の利上げが可能だと発言する等タカ派色を強めたが、NY連銀総裁発言はそれをやや緩めたともいえる。しかし、ハト派を含めて年末にはバランスシートの縮小開始という金融政策正常化(緩和解除による引き締め)のステージが一段階進む印象は徐々に強まっている。
今週に入ってからは市場による米連銀の6月利上げ確率予想は8割、9月の追加利上げ確率が4割程度まで上昇している。

【60分足一目均衡表分析】

【60分足一目均衡表分析】

5月10日未明高値と11日早朝高値による114.30円台の高値でダブルトップ型を形成、昨晩は調整安が入った。60分足の一目均衡表では26本基準線割れから下げが加速、先行スパン下限まで下げたが、先行スパンからの転落は回避し、その後は先行スパン内での推移となっている。

遅行スパンは悪化(実線を下回る状態)だが、現状で横ばい推移か、114円台回復へとジリ高推移となる場合は夜間で好転しやすい。先行スパンを上抜き、遅行スパンも好転してくるところからは上昇再開とみる。

【直近3週のパターンとリズム】

先週は週明けから木曜日の5月4日夜まで上昇、金曜の5日は先行スパンから一時転落するところまで調整安となった。下げ幅は1円弱。その前の週も、週初に仏大統領選挙速報で上昇して27日未明(木曜日)に高値をつけてから28日(金曜日)まで三角持合い型で調整を入れた。今週も週明けから上昇、11日(木曜日)朝高値から調整安局面という状況であり、ここ3週、同じパターンを繰り返している。
現状はやや高値を切り上げ、安値も切り下がる拡張型の逆三角持合いの様相。114円越えからは高値を結ぶ抵抗線を目指すとみる。

概ね3日から5日周期の短期的な底打ちサイクルでは、4月22日安値、5日目の4月28日安値、5日目の5月5日安値と底をつけて一段高してきた。5月5日安値から5日目に入っているため、11日深夜安値を割り込まずに114円台を回復し、11日朝高値に迫る場合はこのサイクルの底をつけての上昇期入りとなる可能性が考えられるが、114円台を回復、維持しきれない内は12日夜にかけて調整安が継続し、あるいは11日深夜安値を割り込む可能性もあるが、その場合は113円前後試しとし、そこは押し目買いから反騰入りとなるのではないかと思われる。11日朝高値を上抜く場合は、もう一度戻り売りで下げる可能性があるが、高値更新なら114.50円台、114.60円台への上昇で週を終える可能性を考える。
全般的にはリスクオン心理の回復により3月10日高値115.50円への揺れ返し的な上昇局面が継続中と思われる。上方を視野に、柔軟な対応が引き継がれる。(了)<5/12 9:50執筆>

【5月12日の予定】

G7財務相・中央銀行総裁会議(11日から13日まで)

5月12日
21:30 米 4月消費者物価指数
21:30 米 4月小売売上高
22:00 米 エバンス米シカゴ連銀総裁講演
23:00 米 5月ミシガン大学消費者信頼感指数速報
23:00 米 3月企業在庫

5月13日
01:30 米 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

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