ドル円揺れ返しの上昇一巡で三角持ち合い(4/28)

4月24日朝のフランス大統領選挙結果、25日の北朝鮮建軍記念日における核実験強行が無かったことにより、当面する重大な金融市場混乱リスクは回避

ドル円揺れ返しの上昇一巡で三角持ち合い(4/28)

<概況>

4月24日朝のフランス大統領選挙結果、25日の北朝鮮建軍記念日における核実験強行が無かったことにより、当面する重大な金融市場混乱リスクは回避されたとしてドル円は上昇してきた。
26日深夜には111.77円の高値をつけ、27日早朝には一旦111円を割り込んだが、27日夜には111.60円まで戻し、27日深夜の下落では111円割れを回避している。この結果、26日深夜以降は高値がやや切り下がり、安値がやや切り上がりの三角持ち合い型を形成している印象だ。
リスク回避感で円高ドル安が進行する前の水準は3月27日から4月10日にかけての間、110円割れを回避しては戻す持ち合いだったが、急落前の4月10日高値は111.57円、持ち合い期における最高値は3月31日の112.19円であった。このため、111.77円まで戻した現状は急落前水準への揺れ返しを概ね実現した状況にあり、上積み余地としては112円台序盤を試す可能性が残るという印象だ。もちろん、新たな円安ドル高材料が出てくれば一段高へ進む可能性があるが、今のところは手掛かり難で持ち合いという状況だと思われる。

【ECBの金融政策】

27日夜はECB理事会、ドラギ総裁会見があった。ECBは量的緩和による債券購入プログラムを継続し、月々の購入額を従来の月額800億ユーロから4月以降は600億ユーロへと若干縮小するものの、少なくとも2017年末まで続ける方針を示した。また政策金利のリファイナンスオペ最低応札金利はゼロ、中銀預金金利はマイナス0.4%で据え置いたが、この低金利政策については長期にわたって現行水準またはそれ以下の水準にとどまるとの見通しを示し、景気見通しが悪化した場合には量的緩和規模の拡大やゼロ金利政策の期間延長等で柔軟性を持たせるとした。
これらの内容にはサプライズ感はなかったもののユーロ上昇には歯止めがかかり、ドル円にとってはユーロ安円高による円高要因という側面も多少出ているかと思われる。

【米経済指標】

米労働省が発表した新規失業保険申請件数は前週比1万4000件増の25万7000件となり、市場予想の24万5000件を上回った。前週は24万3000件で速報値24万4000件から下方修正された。
米商務省が発表した3月の耐久財受注額は前月比0.7%増となり、市場予想の1.3%増を下回ったが、前月は2.3%増に上方修正された。航空機を除くコア資本財受注は0.2%増となり市場予想の0.5%増を下回った。
全米不動産協会(NAR)が発表した中古住宅販売成約指数は前月比0.8%低下し、市場予想の1.0%低下よりは良かった。前月は5.5%上昇だった。
このうち米耐久財受注統計が予想より悪かったことを踏まえ、金利先物市場における6月FOMCの利上げ確率はやや低下したようだが、まだ7割程度の確率で追加利上げされる可能性があると市場は見ているようだ。
来週は5月5日の米雇用統計を始め、重要指標の発表が相次ぐため、市場の関心は6月FOMCにおける利上げ問題へと徐々に傾斜するのではないかと思われる。
トランプ政権が打ち出した税制改革では財源が見えず、議会を通過するかどうかも不透明であるため、米政治情勢を巡っての混乱発生も警戒されてゆく。

5月7日には仏大統領選挙の決選投票もある。北朝鮮情勢も一服しているが、新たな行動等がみられる場合には市場も再びリスクを意識し始める。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

4月19日夜への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いた。その後も先行スパンに抵触するところまで下げたり、一時的な遅行スパン悪化があったものの26日深夜にかけては両スパンが好転する状況が継続してきた。
26日深夜高値の後は三角持合い型で横ばい推移となっているため、遅行スパンが悪化し始めている。また先行スパン帯に潜り込み始めている。

先行スパンは今晩にかけて下限を切り上げて徐々にスパンの厚さが薄くなるため、111円割れの状況が続き始める場合は先行スパンからの転落となりやすい。その際は110.50円前後、あるいは110円台序盤まで下落する可能性が警戒される。
先行スパンからの転落回避中は再び先行スパンを突破し、三角持合い上放れから一段高する可能性が継続すると思われる。111.50-60円越えからは上昇指向再開の可能性を優先し、26日深夜高値を超える場合は112円試し、112円台序盤への上昇へ進む可能性を考えるが、112円台到達後はいったん大き目の調整安も入りやすいと注意する。(了)<9:40執筆>

【今日から明日への主要イベント】

4月28日
米 21:30 米1-3月期GDP・速報値
米 22:45 米4月シカゴ購買部協会景気指数
米 23:00 米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値
米 26:15 ブレイナードFRB理事講演(イリノイ州エバンストン)
北朝鮮の核問題に関する国連安保理閣僚級会合=岸田外相出席(ニューヨーク)

4月29日
米 3:30 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る